新規抗肥満薬tesofensine、減量効果は既存薬の約2倍

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/11

 



新規抗肥満薬tesofensineの0.5mg/日24週投与は、既存薬の約2倍という有望な体重減少効果と良好な有害事象プロフィールを示すことが、デンマークで実施された無作為化第II相試験で判明した。同国Copenhagen大学生命科学部門のArne Astrup氏が、Lancet誌2008年11月29日号(オンライン版2008年10月23日号)で報告した。

0.5mg群と1.0mg群で効果は同等、有害事象は0.5mg群で良好




既存の抗肥満薬の平均的な体重減少効果は、食事療法とプラセボの組み合わせに比べ6ヵ月で3~5kgほどしかなく、肥満者にはより効果的な薬物療法が必要とされている。

tesofensineはノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンのシナプス前での取り込み阻害薬であり、パーキンソン病およびアルツハイマー病の肥満患者において意図せずに体重減少効果を認めた。この試験では食事療法やライフスタイルの変更指導は行っておらず、14週の投与で約4%とシブトラミンやリモナバンと同等の体重減少効果が得られ、血圧や気分への影響は見られなかった。

そこで、研究グループはデンマークの5つの肥満管理センターにおいて、肥満患者に対するtesofensineの有効性および安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した。

203例の肥満患者(BMI: 30~40kg/m2)が、エネルギー制限食とともにtesofensine 0.25mg(52例)、0.5mg(50例)、1.0mg(49例)あるいはプラセボ(52例)を1日1回24週間投与する群に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は体重の変化率とした。無作為割り付けされた全例のうち少なくとも1回は実薬あるいはプラセボの投与を受けた患者を解析対象とした(intention-to-treat解析変法)。

161例(79%)が治療を完遂した。24週後の平均体重減少率は、プラセボ群の2.0%(SE 0.60)に対し、tesofensine 0.25mg群は4.5%(SE 0.87)、0.5mg群は9.2%(SE 0.91)、1.0mg群は10.6%(SE 0.84)と有意な改善効果が認められた(p<0.0001)。

tesofensine投与群で高頻度に見られた有害事象は、ドライマウス、悪心、便秘、固形便、下痢、不眠であった。24週の治療終了後に、tesofensine 0.25mg群と0.5mg群はプラセボ群に比べ収縮期/拡張期血圧の有意な上昇は認めなかったが、0.5mg群では心拍数が7.4拍/分増加した(p=0.0001)。

著者は、「tesofensine 0.5mg群と1.0mg群は既存の抗肥満薬の約2倍の体重減少効果を示し、両群間に大きな効果の差は認めなかった。0.5mg群は、1.0mg群に比べ血圧上昇、有害事象、治療中止例が少なく、血行動態に及ぼす影響はシブトラミンと同等かわずかに低かった」とまとめ、「tesofensine 0.5mg/日の24週投与は、有望な体重減少効果と良好な有害事象プロフィールを示した。今後、大規模な第III相試験で確認する必要がある」と結論している。

(菅野守:医学ライター)