45歳以上の健康な女性がアルコールを1日2杯以上定期的に摂取すると、全く飲まない人に比べ、心房細動の発症リスクはおよそ1.6倍に増大するという。一方で、1日2杯未満の摂取なら、同リスクは増えないとも。米国ハーバード大学医学部のDavid Conen氏らが「Women’s Health Study」で明らかにしたもので、JAMA誌2008年12月3日号で発表した。これまでの研究で、男性の中程度~多量のアルコール摂取が、心房細動の発症リスクを増大する可能性があることは知られていたが、女性についての適切な研究はなかった。
健康な中年女性約3万5千人を中央値12年追跡
同氏らは、1993~2006年にかけて、45歳以上で心房細動の病歴のない健康な女性3万4,715人について、そのアルコール摂取量を調べ追跡した。追跡期間の中央値は、12.4年だった。
アルコール摂取量については、試験開始時と、追跡開始後48ヵ月後に調査し、1日の摂取量に応じて、0杯(1万5,370人)、0~1杯(1万5,758人)、1~2杯(2,228人)、2杯以上(1,359人)の4グループに分け検討された。
1日2杯以上飲む人は、絶対リスクが0.66件/千人・追跡年の増加
追跡期間中に心房細動を発症したのは、653件だった。アルコール摂取量によるグループ別の年齢補正後発症率は、それぞれ千人・追跡年当たりで、0杯群が1.59件、0~1杯群が1.55件、1~2杯群が1.27件、2杯以上群が2.25件だった。
アルコールを全く飲まない人に比べ、1日2杯以上飲む人は、絶対リスクが0.66件/千人・追跡年増えていた。
また、心房細動発症に関する補正後ハザード比は、アルコール摂取量1日0杯のグループに対し、2杯以上群が1.60(95%信頼区間:1.13~2.25)だった。一方、0~1杯群と1~2杯群の同ハザード比はそれぞれ1.05と0.84で、0杯群に比べて有意差はなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)