無作為化試験に関するプロトコルと発表論文の不一致

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/26

 



無作為化試験の結果および結論は、統計解析方法の選択と、サンプルサイズの決め方に影響を受ける。したがってそれらがあらかじめ決められているか、データ検証後に変えられたのかは、示された試験結果が偏った都合のよいものなのかを知り得ることが可能という点で重要である。メイヨー・クリニック(アメリカ)のAn-Wen Chan氏らは、1994~1995年にコペンハーゲン市とフレデリクスバーグ市の科学倫理委員会の承認を受け発表された70の無作為化試験(発表時期中央値1999年)について、試験プロトコル論文と発表論文との比較でどれぐらい相違が生じているか調査を行った。BMJ誌2008年12月13日号(オンライン版2008年12月4日号)より。

ほとんどの試験が、辻褄が合わずあからさま




サンプルサイズについて報告記述があったのは62試験で、そのうち試験プロトコルと発表論文とで完全に一貫していたのは11試験だけであった。

プロトコル逸脱について説明されていたのは、プロトコルでは37試験、発表論文では43試験だった。

欠測値について説明されていたのは、プロトコルでは16試験、発表論文は49試験だった。

主要評価項目を少なくとも1つデザインしていたのは、プロトコルでは49試験、発表論文では43試験で、そのうち主要評価項目の解析方法について報告していたのは、プロトコルでは39試験、発表論文では42試験だった。

プロトコル論文と発表論文とで相違があるにもかかわらず明らかにしていなかったのは、サンプルサイズについては34試験中18試験、プロトコル逸脱については43試験中19試験、欠測値については49試験中39試験、主要評価項目の解析方法については42試験中25試験、サブグループ解析については25試験全例、調整解析については28試験中23試験で見つかった。中間解析については、プロトコルでは13試験が述べていたが、対応言及していた発表論文は5試験だけだった。

Chan氏は、「統計解析の手法やサンプルサイズについて、プロトコルと発表論文で辻褄が合わなかったり事前特定されていないことは頻繁であからさまであった。また発表論文でそういったことを行ったと認めていたのはごく稀だった」とまとめ、試験結果はプロトコルとの完全一致が前提でなければ信頼できないと結論した。