早期産児に対する誕生直後からの高濃度ドコサヘキサエン酸(DHA)の投与は、女児では神経発達に効果があるようだ。男児では、標準濃度DHAを投与した場合との格差は見られなかった。これは、オーストラリアWomen’s and Children’s Hospital and Flinders Medical CentreのMaria Makrides氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年1月14日号で発表した。
妊娠33週未満に生まれた乳児657人を18ヵ月追跡
同氏らは、妊娠33週未満に生まれた早期産児657人について、無作為化二重盲検試験を行った。
高濃度DHA群には、総脂肪酸の約1%にあたる量のDHAを、生後2~4日から、それぞれ本来の出産予定日まで投与した。一方の標準DHA群には、総脂肪酸の約0.3%量のDHAを、同じく投与した。
18ヵ月後に、ベイリー式心理発達指標を用いて、乳児の神経発達の程度を比較した。
女児では高濃度DHA群が有意にハイスコア
その結果、女児では、高濃度DHA群が標準DHAに比べ、ベイリー式心理発達指標の平均値が有意に高かった(補正前平均値の差:4.7、95%信頼区間:0.5~8.8、補正後平均値の差:4.5、同:0.5~8.5)。
一方、性別を問わない両群の同スコア平均値の差は1.9(95%信頼区間:-1.0~4.7)、男児のみの平均値の差は-0.6(同:-4.3~3.1)と、ともに有意差は見られなかった。
また、出生時体重が1,250g未満の乳児について見てみると、高濃度DHA群のほうが標準DHAより同スコアが高い傾向が見られた(補正前平均値の差:4.7、95%信頼区間:0.2~9.2)ものの、補正後には有意差は見られなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)