西アフリカ内陸部にあるニジェールで、そのまま食べられる栄養治療食品(Ready-to-use therapeutic foods:RUTF)を、子どもたちに3ヵ月配布したところ、8ヵ月間で、いわゆる痩せ過ぎである「るい痩」と診断される子供が、3~5割減少したことがわかった。これは、米国Harvard大学のSheila Isanaka氏らが行った研究で明らかにしたもので、JAMA誌2009年1月21日号で発表した。これまで、RUTFのるい痩予防効果については、住民ベースでの研究はなかったという。
6ヵ月~5歳の子どもに、RUTFを3ヵ月毎日
Isanaka氏らは、ニジェールの6つの村で、月齢が6~60ヵ月で、体重身長比が米国疾病対策センター(CDC)のNational Center for Health Statisticsが定める中央値に対し80%以上の子供を対象に、試験を行った。被験者には3ヵ月間、RUTF(92g、500kcal/日)を毎日配布した。対照として、別の6つの村ではRUTFを配布しなかった。研究グループは、8ヵ月間、毎月、被験者である子どもたちの観察を行った。
重度るい痩には58%、るい痩には36%の予防効果
試験開始後8ヵ月後に、世界保健機関(WHO)の子どもの成長基準を元に、体重身長比のZスコア(WHZ)について見てみたところ、開始時点からの増加幅はRUTF群のほうが有意に大きく、その差は0.22z(95%信頼区間:0.13~0.30)だった。
るい痩の発症率について見てみると、RUTF群では、WHZが-2未満のるい痩は0.17イベント/子ども年で、WHZが-3未満の重度るい痩は0.03イベント/子ども年だった。
一方対照群では、るい痩が0.26イベント/子ども年、重度るい痩は0.07イベント/子供年だった。
これを元に計算したRUTFによる予防効果は、るい痩は36%(95%信頼区間:17~50、p<0.001)、重度るい痩は58%(同:43~68、p<0.001)であった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)