左心室拡張機能障害が大きいほど、運動強度が減少

提供元:ケアネット

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公開日:2009/02/03

 



安静時左心室拡張機能障害の程度が大きいほど、運動強度が減少することがわかった。また、安静時や運動後の左心室充満圧が高いことも、運動強度の減少につながるという。これは、米国Mayo ClinicのJasmine Grewal氏らが、3,000人近くについてドップラー心エコー検査を行い、明らかにしたもの。JAMA誌2009年1月21日号で発表した。

安静時左心室拡張機能障害でMETsスコアが-0.7~-1.3




Grewal氏らは、2006年に運動負荷ドップラー心エコー検査を受けた2,867人を対象に、試験を行った。運動誘発性虚血や心駆出率50%未満、中・重度の心臓弁膜症のある人は、除外した。ドップラー心エコー検査の結果と、運動強度を示す単位であるMETスコア(Exercise capacity in metabolic equivalents;METs)、年齢や性別などとの関係を調べた。

その結果、安静時左心室拡張機能障害の程度が大きくなるにしたがって、運動強度は減少する強い傾向が見られた。中~重度の安静時左心室拡張機能障害の人は、同機能が正常な人に比べ、運動強度が有意に劣っていた(-1.30 METs;95%信頼区間:-1.52~-0.99、p<0.001)。また、軽度の同機能障害がある人も、運動強度が有意に劣っていた(-0.70 METs;同:-0.88~-0.46、p<0.001)。

左心室充満圧の増加もMETスコアの減少に




また、左心室充満圧の指標であるE/e’が、安静時に15以上の場合は、METスコアが-0.41(95%信頼区間:-0.70~-0.11、p=0.007)、同指標が運動後15以上の場合は、同スコアが-0.41(同:-0.71~-0.11、p=0.007)減少していた。

さらに、軽度の拡張機能障害または安静時E/e’が15以上の人は、加齢による運動強度の減少が、そうでない人よりも加速していた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)