乳がん治療後の経過観察を、通院ではなく専門看護師による電話で行ったら?
英国マンチェスター大学看護学部Kinta Beaver氏らによる無作為化同等性試験の結果が、BMJ誌2009年2月7日号(オンライン版2009年1月14日号)で報告された。電話フォローのほうが、肉体的にも精神的にも負荷が少ないと患者に好評であること、再発の発見に関しても遅れをとるようなことはないとしている。
再発リスク中等度の374例を、通院フォロー群と電話フォロー群に無作為化
試験は、イングランド北西部の2つの公的病院の外来クリニックで、乳がん再発のリスクが中等度の374例を対象に行われた。試験期間は中央値24ヵ月。対象者は、従来通りの病院で経過観察を行う群(183例:診察、臨床検査、乳房撮影でフォロー)と、専門看護師が電話により経過観察を行う群(191例:体系化された問診、乳房撮影でフォロー)に無作為化され、心理状態(指標:STAI、GHQ-12)、患者の求め、満足感、検査の必要性、再発発見期日を主要評価項目とし調査された。
再発までのタイムラグもない
STAIスコア(95%信頼区間:-3.33~2.07)は、あらかじめ定義された同等性(-3.5~3.5)の範囲内だった。
全例解析の結果、電話フォロー群が臨床検査や対面診察がないことに不安を抱くことはなく、満足度は通院フォロー群よりも高かった(P<0.001)。
検査が必要となった者は、両群間で相違はなかった。再発者は少数で(4.5%)、発見までの時間にも相違はなかった(通院フォロー群:60.5日(範囲:37~131) vs. 電話フォロー群:39.0日(10~152)、P=0.228)。
Beaver氏は、「専門看護師による電話フォローは、再発リスクが中等度で、いつ再発するかわからない女性にとっては、忙しい病院通いの重荷を軽くするという面で適している」と結論している。