スタチン(プラバスタチン)とプラセボとで比較した、英国スコットランド西部で行われた無作為化臨床試験WOSCOPS(West of Scotland Coronary Prevention Study)は、心筋梗塞の既往のない高コレステロール血症の男性6,595例を対象としたもので、平均追跡期間は約5年。冠動脈疾患および非致死性心筋梗塞の複合死亡が、スタチン群では7.9%から5.5%まで減少した(P<0.001)と報告された。
その試験終了後約10年間の延長追跡調査の結果が、同研究グループによって報告された。NEJM誌10月11日号掲載より。
試験生存者のその後の10年を追跡
この延長追跡調査は全国的な電子記録照合システムを用いて行われ、試験生存者の全死亡データ、冠動脈イベント・脳卒中による入院・死亡データ、偶発的な癌および癌による死亡データが調べられた。解析は、Coxハザードモデルを用いてイベント発生までの時間分析で行われた。
試験終了後5年の時点でスタチン治療を受けていたのは、スタチン群38.7%、プラセボ群35.2%だった。
冠動脈イベントの有意な低下と関連
試験終了後約10年間の、冠動脈疾患または非致死性心筋梗塞による死亡リスクは、プラセボ群10.3%に対してスタチン群8.6%(P=0.02)。全追跡調査期間でみるとその割合は、プラセボ群15.5%に対しスタチン群11.8%(P<0.001)だった。
同程度のパーセンテージ低下は、冠動脈疾患による死亡率と冠動脈イベントによる入院との複合的な割合でも、両期間ともにみられた。
また全追跡調査期間にわたって、心血管系に起因する死亡率は減少しており(P=0.01)、全死因死亡率も減少していた(P=0.03)。心血管系以外に起因する死亡の増加や、偶発的な癌による死亡の増加はみられていない。
研究グループは「5年にわたるスタチン治療が、心筋梗塞の既往がなかった高コレステロール血症の男性の、その後の10年間の冠動脈イベントの有意な低下と関連していた」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)