救急治療部門での末梢静脈内への挿管処置の際、冷却スプレー(topical alkane vapocoolant spray)で効果的かつ安全に痛みを緩和できるとの報告が、BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月10日号)に寄せられた。メルボルン大学(オーストラリア)Ramzi Hijazi氏らのグループが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験による。
水スプレーと冷却スプレーとの比較で調査
試験は、オーストラリア都市部の教育病院の救急治療部門で、末梢静脈内への挿管処置を要した201例の成人患者(男性54%、平均年齢58.2歳)を対象に、挿管前に15秒以内で、冷却スプレー(介入群、103例)もしくは水スプレー(対照群、98例)を噴霧するというもの。冷却スプレー(プロパン、ブタン、ペンタン混合)は皮膚から12cm離し2秒間噴霧した。
主要評価項目は、挿管時の痛み、スプレー噴霧の不快度、視覚的評価(100 mm visual analogue scaleによる)とした。
両群間に、姓、年齢、挿管適応・部位の指示の相違、カニューレのサイズの相違、施術者の相違は特になかった(P>0.05)。
痛み緩和、選択率ともに冷却スプレーが優る
痛みの四分位範囲中央値スコア(mm)は、対照群36(四分位範囲中央値:19~51)に対し、介入群は12(5~40)であり(P<0.001)、スコアはそれぞれ59(60%)、33(32%)であった(P<0.001)。また、スプレー噴霧に対する不快度は、スコア0以上の回答者が介入群のほうが多く、わずかであるが有意差があった(P<0.001)ものの、スコアの中央値は両群とも0だった。
挿管手技回数に関して両群に差はなかった(成功率に関するP=0.39)。そして今後、また同じスプレーを受けるかとの質問に対し、対照群では34例(39%)だったのに対し、介入群では62例(62%)だった。
なお施術後5日時点で、介入群の患者で2例、皮膚発赤が報告された。