安静時心拍数が冠動脈イベントの予測因子となることは、男性では知られているが、女性ではその関連性が明らかにされていなかった。そこでジョージ・ワシントン大学のJudith Hsia氏らが、全米の40施設で前向きコホート研究WHI(Women's Health Initiative)を実施。男性同様、独立予測因子になることが確認された。BMJ誌2009年3月7日号(オンライン版2009年2月3日号)より。
閉経後女性で心拍数が冠動脈イベントの独立予測因子に
参加者は12万9,135例の閉経後女性で、主要評価項目は臨床上の心血管イベント。
平均7.8年(SD 1.6)の追跡期間中、2,281例が心筋梗塞または冠動脈関連死と診断され、1,877例が脳卒中と診断された。
安静時心拍数と心血管イベントとの関連について、共変量調整後のCox回帰モデルを使い多重比較を試みた結果、安静時心拍数の高値が冠動脈イベントの独立予測因子となることが確認された。最大五分位群(≧76拍/分)対最小五分位群(≦62拍/分)のハザード比は1.26(95%信頼区間:1.11~1.42、P=0.001)。一方、脳卒中では相関は認められなかった。
心拍数と冠動脈イベントとの関連は、人種間(白人女性群と他の人種群)、糖尿病の有無でも差は認められなかった(それぞれP=0.45、P=0.31)。ただしベースライン時において、50~64歳群が65~79歳群よりもより強い関連が認められた(P=0.009)。
ローテクで簡便な測定法でイベント予測は可能
研究グループは、「安静時心拍数と心血管イベントの関連の強さについて、最小・最大五分位の比較は喫煙や糖尿病との関連ほどではないが、臨床的に十分意味があるだろう」と述べている。
また、自律神経系の評価をするには、時間とコストをかけられれば、より精巧な方法も利用可能だが、自律神経系の緊張の指標である安静時心拍数を、単純に、ローテクで、安価に測定するだけでも、心筋梗塞や冠動脈死といったイベントの独立予測因子が得られることを証明できたと報告している。