CMV糖蛋白Bワクチンの有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/01

 



サイトメガロウイルス(CMV)の先天性感染は、新生児の聴覚・認知機能・運動障害の重要な原因である。米国では、2001年に医学研究所委員会が、CMVワクチン開発を最優先事項の1つと定めたが、一方で、ワクチン開発が始まって30年以上になるものの、効果が確実なワクチンは未だ開発には至っていない。本論は、1990年代に臨床試験が開始されたCMV糖蛋白Bワクチン(MF59アジュバントを加えた組み換えCMVエンベロープ糖蛋白Bワクチン)の第2相試験の結果で、アラバマ大学(米国・バーミンガム)小児科のRobert F. Pass氏らによる報告である。NEJM誌2009年3月19日号より。

出産後0・1・6ヵ月時点で母体に接種




試験は無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、妊娠可能年齢の女性のうち出産後1年以内のCMV陰性の女性を対象に行われた。

参加者は、出産後0ヵ月時点、1ヵ月時点、6ヵ月時点でワクチン接種群(230例)あるいはプラセボ接種群(234例)に無作為に割り付けられ、3ヵ月ごとに42ヵ月間、CMV感染の有無が検査された。

主要エンドポイントは、CMV感染が確認されるまでの期間。


中間解析時点でワクチンの有効性確認




試験は中間解析の時点で、ワクチンの有効性が確認され、勧告により中止となった。

CMV感染者は、追跡期間1年時点で49例(ワクチン群18例、プラセボ群31例)。カプラン・マイヤー解析の結果、ワクチン群が42ヵ月間感染しない可能性は、プラセボ群より高いことが示された(P=0.02)。

ワクチンの有効性は、100人当たり感染率を基礎とし50%(95%信頼区間:7~73)と算出されている。

被験者新生児の先天性感染は、ワクチン群1例、プラセボ群3例。プラセボ群よりもワクチン群で、局所反応(疼痛、紅斑、硬結、熱感)、全身反応(悪寒、関節痛、筋肉痛)がより多く確認された。

これらの結果を踏まえ研究グループは、「CMV糖蛋白Bワクチンは、母体感染および先天性感染を減ずる可能性がある」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)