日本では今年から、子宮頸がんへの関心を高めようと4月9日を「子宮の日」と称し、子宮の健康を考える日とされた(命名はNPO法人子宮頸がんを考える市民の会:理事長・笹川寿之 金沢大学医学部助教授)。
さて本論だが、子宮頸がん検診の普及を推進するWHOの付属機関、国際がん研究機関(IARC;International Agency for Research on Cancer、フランス・リヨン)のRengaswamy Sankaranarayanan氏らが、「検診が普及していない発展途上国」で、3つの検診法(細胞診、HPV検査、VIA検査)のいずれが有用かを、標準的ケア群(対照群)と比較検証した試験結果。「資源に乏しい発展途上国で1回検診を行うとすれば、HPV検査が有効」とする報告を寄せている。NEJM誌2009年4月2日号掲載より。
30~59歳の健康な女性13万1,746例を4群に無作為割り付けし8年間追跡
過去30年において、発展途上国での子宮頸がんの発生率は減っていないが、対照的に先進国では、細胞診の大規模検診の普及とともに死亡率が大きく低下した。しかし発展途上国での細胞診普及には限界があり、HPV検査、VIA検査実施への期待が高い。
Sankaranarayanan氏らはインド中西部、マハラシュトラ州の南部にあるウスマーナーバードで1999年10月に、3つの検査と検査未実施群の4集団を比較検討するクラスター無作為化比較試験を開始。本論では追跡期間8年間の結果を報告している。
試験は、52村(30~59歳の健康な女性13万1,746例を含む)を無作為に13村ずつ4群に分け、3つの検査群と対照群に無作為に割り付け行われた。
対照群と比べHPV検査群が、最も早期発見に優れ、がん死亡半減
対照群との比較で、子宮頸がんのうちステージ2以上の進行がん発生数および死亡発生数について有意差(減少)が見られたのは、HPV検査群(34,126例)だけで、細胞診群(32,058例)とVIA群(34,074例)で有意な減少は見られなかった。
HPV検査群の子宮頸がん例は127例に対し、対照群は118例。このうちステージ2以上の進行がんについてはそれぞれ39例と82例で、HPV検査群の進行がん発見のハザード比は0.47(95%信頼区間:0.32~0.69)だった。細胞診群は同0.75、VIA群は同1.04にとどまった。
また、がんによる死亡については、HPV検査群34例に対し、対照群は64例で、ハザード比は0.52(0.33~0.83)。細胞診群は同0.89、VIA群は同0.86だった。
(武藤まき:医療ライター)