冠動脈性心疾患の症状のない2型糖尿病患者に対し、アデノシン負荷心筋シンチグラムによりスクリーニングを行っても、心筋梗塞や心臓死の予防効果は認められないことが明らかにされた。1,000人超の2型糖尿病患者を対象に行われた、DIAD試験(無症状の糖尿患者における虚血の検出試験)からの結果で、JAMA誌2009年4月15日号で発表されている。
心イベント発生率は累積で2.9%、年率0.6%
DIAD(The Detection of Ischemia in Asymptomatic Diabetics)では、冠動脈性心疾患の症状のない2型糖尿病患者1,123人を無作為に2群に分け、一方にはアデノシン負荷放射性核種心筋シンチグラム(MPI)によるスクリーニングを行い、もう一方には行わなかった。
被験者の平均年齢は、スクリーニング群・対照群ともに約61歳。追跡期間の平均値は4.8年(標準偏差:0.9)、累積心イベント発生率は2.9%、年平均で0.6%だった。
スクリーニング群でイベント発生率減少せず、陽性的中率も12%と低率
両群それぞれにイベント発生率を比較したところ、スクリーニング群では非致死の心筋梗塞が7人、心臓死が8人と、両者併せた発生率は2.7%だった。一方の対照群は、非致死の心筋梗塞が10人、心臓死が7人で、両者併せた発生率は3.0%。スクリーニング群と対照群に有意差はなかった(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.44~1.88、p=0.73)。
スクリーニング群の中で、結果が正常だった人(409人)とMPIで軽度異常が見られた人(50人)を併せてグループ化し、MPIで中程度から重度の異常が見られた人(33人)と比較したところ、前者群では心イベント発生率が0.4%/年だったのに対し、後者群では同2.4%/年と、有意差が見られた(ハザード比:6.3、95%信頼区間:1.9~20.1、p=0.001)。
ただし、MPIで中程度・重度の異常の場合の陽性的中率は、12%と低かった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)