高齢の2型糖尿病患者、重度低血糖で認知症リスクが増大

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/28

 



高齢の2型糖尿病患者で、入院や救急外来を必要とするほどの低血糖になると、認知症の発症リスクが有意に増大することが明らかにされた。1型糖尿病の小児で、急性低血糖が認知障害に関与する可能性があることは知られているが、高齢の2型糖尿病患者の同関連性についての研究は、これまで明らかにされていない。報告は、米国Kaiser PermanenteのRachel A. Whitmer氏らが、約1万7,000人の患者を追跡調査したもので、JAMA誌2009年4月15日号で発表した。

調査対象の約8.8%が低血糖で入院、11%が認知症発症




Whitmer氏らは、2型糖尿病患者で、2003年1月1日時点で認知症や軽度の認知障害などの診断を受けていない、55歳以上(平均年齢65歳)の1万6,667人について、2007年1月まで追跡調査を行った。低血糖の診断については、入院と病院の救急外来データを、1980年まで遡って調査した。

その結果、低血糖の診断を1回以上受けた人は、全体の8.8%に当たる1,465人だった。また、認知症の診断を受けたのは、全体の11%に当たる1,822人。さらに、低血糖で入院した人で、認知症の診断を受けたのは、250人だった。

1回の低血糖で認知症リスクは1.26倍、2回だと1.80倍に




年齢、性別、教育レベル、糖尿病の病歴などで補正した後、低血糖の診断を1回受けた人の、そうでない人に比べた認知症発症に関するハザード比は、1.26(95%信頼区間:1.10~1.49)であった。低血糖の診断を2回受けた人の同ハザード比は、1.80(1.37~2.36)、3回以上の場合は、1.94(1.42~2.64)だった。

調査対象となった高齢2型糖尿病群における、認知症発症に関する重度低血糖の寄与危険度は、2.39%/年だった。

なお同研究グループは、軽度低血糖と認知症リスクとの関係については、まだ不明であるとしている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)