心房細動患者に対し、ビタミンK拮抗剤投与によって脳卒中リスクを減らせるが(64%、抗血小板剤は22%)、アスピリンと比べると頭蓋内・外出血リスクが高い(50~70%増)。一方、急性冠動脈症候群患者を対象とした試験で、アスピリン+クロピドグレル併用療法がアスピリン単独と比べて、血管イベント発症に関してベネフィットをもたらすことが証明されていることを受け、ACTIVE研究グループは、心房細動患者に対する同併用療法の有効性を検討した。NEJM誌2009年5月14日号(オンライン版2009年3月31日号)掲載より。
アスピリン単独と比べて併用群の相対リスクは0.89、要因は脳卒中の低下
試験は、脳卒中リスクの高い心房細動患者7,554例を、アスピリン+クロピドグレル1日1回75mg投与群(併用群)と、アスピリン+プラセボ投与群(プラセボ群)に無作為に割り付け行われた。
主要評価項目は、脳卒中、心筋梗塞、非中枢神経系塞栓症、血管疾患による死亡の複合とした。
追跡期間中央値3.6年の結果、主要な血管イベントが発生したのは、併用群832例(年率6.8%)、プラセボ群924例(年率7.6%)で、相対リスク0.89(95%信頼区間:0.81~0.98、p=0.01)だった。両群差の要因は、併用群で脳卒中の発症の低下が大きかったことによるもので、プラセボ群で408例(年3.3%)だったのに対し、併用群では296例(年2.4%)、相対リスクは0.72(0.62~0.83、p<0.001)だった。
しかし重大な出血イベントが1.57倍に
また、心筋梗塞も、プラセボ群で115例(年0.9%)だったのに対し、併用群では90例(年0.7%)で、相対リスク0.78(0.59~1.03、p=0.08)と低率だった。
しかし一方で、重大な出血イベントについて、プラセボ群で162例(年率1.3%)に対し、併用群群では251例(年率2.0%)と、相対リスクが1.57(1.29~1.92、p<0.001)に上った。
研究グループは「併用療法は、主要血管イベント、特に脳卒中のリスクが減少したが、重大な出血のリスクは増加した」と結論している。
(武藤まき:医療ライター)