乾癬患者の治療として有用なUVB光線療法について、自宅で行っても外来で行うのと同じ効果が得られ安全面でも問題ないことが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学皮膚科学のMayke B G Koek氏らによって行われたプラグマティック多施設単盲検無作為化試験(PLUTO Study)からの報告で、自宅での治療は患者の負担軽減につながり、満足度が高いことも報告されている。自宅治療用のUVB光線療法機器は1970年代後半から使われているが、これまで効果や安全性、コンプライアンスについては検討されていなかった。BMJ誌2009年5月16日号(オンライン版2009年5月7日号)より。
UVB光線療法適応の乾癬患者を自宅治療群と外来治療群とに無作為化し検討
同研究グループはこれまでにも、皮膚科医の55%以上はUVB光線療法を自宅で行うことが外来治療よりも劣ると考えていること、約3割は自宅で行うのは大きなリスクを伴うと考えていることなどを明らかにしてきた。また機器販売は、ドイツでは3,000個、アメリカでは5,000個の実績があり、オランダでは在宅医療機関が毎年1,400例の患者に機器を供給し管理していることなども報告している。
PLUTO Studyは、オランダの14病院の皮膚科で、ナローバンド(TL-01)UVB光線療法が適応となった乾癬患者196例を、外来治療群と自宅治療群に無作為に割り付け行われた。このうち105例の患者について治療後1年間経過観察が行われた。
治療効果(主要評価項目)に関しては、乾癬面積が50%以下に減少した患者の割合、乾癬面積と重症度インデックスの組み合わせ指標(PASI)、自己管理下での乾癬面積と重症度インデックス(SAPASI)の組み合わせ指標を用いて判定。PASI 50とSAPASI 50に達した患者を「臨床的に効果があった」とした。また、PASIとSAPASIの中央値スコアの低下パーセンテージがほぼ同じ場合も、効果があったとし、PASI 75、SAPASI 75の患者は「治療に成功」、PASI 90、SAPASI 90の患者は「ほぼ完全にクリアランス」とした。
また、生活の質(SF-36、乾癬による障害指数)、治療負荷(アンケート)、患者選択と満足度(アンケート)、線量計測と短期副作用(日記)を副次評価項目とした。
生活の質改善への満足度、自宅治療群42%、外来治療群23%
SAPASI 50に達した患者の割合は、自宅群は82%、外来群は79%、PASI 50に達した割合はそれぞれ70%と73%だった。
自宅群のSAPASIスコア(中央値)は82%低下、PASIスコアは74%の低下が見られた。外来群はそれぞれ79%、70%の低下だった。PASIとSAPASIスコアの低下で定めた治療効果の指標は有意であった(P<0.001)。
UVB光線の総蓄積線量は両群とも同程度であり(51.5 J/cm2対46.1 J/cm2)、短期副作用の発生も違いはなかった。
UVB光線療法を受ける負担は、自宅群のほうが有意に低かった。
生活の質は両群とも等しく増大していたが、自宅群の患者(42%、38/90)のほうが外来群の患者(23%、20/88)と比べて「良好(excellent)」と感じている値が大きかった(P=0.001)。