新しい抗結核薬TMC207、多剤耐性肺結核の治療薬として有効:第II相第1段階試験

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/17

 



新たな抗結核薬として開発が進められているdiarylquinoline(TMC207)の第II相試験第1段階の結果、多剤耐性肺結核の治療薬として有効であることが確認された。南アフリカUniversity of Stellenboschヘルスサイエンス学部のAndreas H. Diacon氏らによる報告で、NEJM誌2009年6月4日号で発表された。TMC207は、結核菌のATP合成酵素を阻害するというこれまでにない作用機序を有する。in vitroで、薬剤感受性・薬剤耐性結核菌を強力に阻害すること、薬剤感受性の肺結核患者で殺菌作用を示すことが明らかになっていた。

多剤耐性肺結核47例を、TMC207群とプラセボ群に無作為化




第II相試験は、無作為化プラセボ対照試験が、試験ステージ(8週間)と検証ステージ(24週間)の2ステージにて行われた。本論は、8週間の試験ステージの報告。
 試験は、新たに多剤耐性肺結核と診断された47例を、TMC207群(400mg/日を2週間投与、続く6週間は週に3回200mgを投与、23例)と、プラセボ群(24例)に無作為に割り付け行われた。なお全患者に対してセカンドレジメンとして、標準的な5種類の抗結核薬の治療が合わせて行われた。

エンドポイントは、液体ブロスでの喀痰培養による、陽性から陰性への転換とされた。

有効性を確認




結果、TMC207群はプラセボ群に比べ、陰性へ転換するまでの期間が短く(ハザード比:11.8、95%信頼区間:2.3~61.3、COX回帰分析によるP=0.003)、また、陰性に転換した患者の割合が大きかった(48%対9%)。

喀痰培養におけるコロニー形成単位の平均値は、TMC207群のほうがプラセボ群に比べ迅速に減じた。

TMC207の平均血中濃度は陰性に転換しなかった患者と転換した患者とで有意な差は見られなかった。

有害事象の大半は軽度~中等度であったが、吐き気のみTMC207群で有意に頻度が高かった(26%対4%、P=0.04)。

(武藤まき:医療ライター)