内視鏡検査による結腸直腸がんリスク低下の効果、7年後時点では確認できず

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/19

 



内視鏡検査が結腸直腸がんを、前悪性腺腫の段階で検出・除去でき予防に寄与することは確認されている。しかし、腺腫の自然退縮の期限についてはほとんどわかっていないため、この内視鏡検査による効果は過大評価されているのではとも言われている。そこで、ノルウェーのGeir Hoff氏らの研究グループは、大規模コホートを対象とする、軟性S状結腸鏡検査後被験者の追跡調査を行っている。その7年時点の結果が、BMJ誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月31日号)にて掲載された。

検査群と対照群、男女計約5万5,000例を追跡




軟性S状結腸鏡によるスクリーニングを受けた群の、その後の結腸直腸がんリスクの評価を目的とする無作為化試験は、ノルウェーのオスロ市とTelemark郡の2地域(都市部と、都市と農村の混合)での集団スクリーニングをベースとする。参加者は55~64歳の男女計5万5,736例で、2群に分けられ追跡。一方は、軟性S状結腸鏡スクリーニング群(内視鏡検査群)で1万3,823例(内視鏡検査単独群と、便潜血検査を併せて実施した群から成る)。もう一方は、内視鏡検査を受けなかった群(対照群)4万1,913例だった。

主要評価項目は、5年、10年、15年後の結腸直腸がんの累積罹患率および死亡率となっている。本論は本研究の第一報として、追跡調査7年時点の累積罹患率と、6年時点の死亡率(ハザード比)が報告された。

死亡率は低下も、累積罹患率では有意差見られず




結腸直腸がんの7年累積罹患率は、内視鏡検査群と対照群で有意差は見られなかったが(100,000人年につき134.5例対131.9例)、死亡率は、内視鏡検査群で低下の傾向が見られた(ハザード比:0.73、95%信頼区間:0.47~1.13、P=0.16)。対照群との傾向比較で、結腸直腸がん(0.41、0.21~0.82、P=0.011)、直腸S字結腸がん(0.24、0.08~0.76、P=0.016)の死亡率で、有意な低下が確認された。

研究グループは、「内視鏡検査を行ったことによる結腸直腸がんの累積罹患率の低下は、追跡7年時点の調査では認められなかった。しかし、死亡については、有意な低下は認められなかったものの低下傾向にあることは認められた。バイアスを考慮する必要はあるが、プロトコル解析で結腸直腸がん59%低下、直腸S字結腸がん76%の死亡率の低下が認められた」とまとめている。