プロゲステロンは双胎妊娠女性の早産を予防しない

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/06/25

 



プロゲステロンの膣内投与は双胎妊娠女性における早産を予防しないことが、イギリスEdinburgh大学 生殖・発達科学部のJane E Norman氏らが実施した無作為化試験(STOPPIT)とメタ解析によって示された。双胎妊娠女性は自然早産のリスクが高いとされる。プロゲステロンには周産期死亡率の低減効果はなく、また新生児における有用な効果のエビデンスもないが、早産のリスクが高い単胎妊娠女性においてそのリスクの低減効果を有する可能性が示唆されており、双胎妊娠女性の早産予防効果にも期待が持たれているという。Lancet誌2009年6月13日号(オンライン版2009年6月11日号)掲載の報告。

500人の双胎妊娠女性を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化試験




STOPPIT(STudy Of Progesterone for the Prevention of Preterm Birth In Twins)の研究グループは、双胎妊娠女性におけるプロゲステロンの早産予防効果について検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。

イギリスの双胎妊娠の管理を専門に行う9つのNHSの医療施設から500人の双胎妊娠女性が登録され、妊娠24週から10週間にわたりプロゲステロン・ゲル90mg/日を膣内投与する群(250人)あるいはプラセボ・ゲルを同様に投与する群(250人)に無作為に割り付けられた。

試験従事者や参加者には治療の割り付けは知らされなかった。主要評価項目は妊娠34週以前の出産あるいは胎児の子宮内死とし、intention-to-treat解析を行った。さらに、双胎妊娠女性の早産(<妊娠34週)あるいは胎児子宮内死の予防におけるプロゲステロンの有効性を確立するために、既報および未発表のデータのメタ解析を実施した。

エンドポイントの発生率に差はない、メタ解析で確認




各群とも3人のフォローアップができず、それぞれ247人が解析の対象となった。妊娠34週以前の出産あるいは胎児子宮内死の割合は、プロゲステロン群が24.7%(61/247人)、プラセボ群が19.4%(48/247人)と、むしろプロゲステロン群で高い傾向が認められた(オッズ比:1.36、95%信頼区間:0.89~2.09、p=0.16)。有害事象の頻度には両群間に差は見られなかった。

メタ解析により、プロゲステロンには双胎妊娠女性における早産の予防効果はないことが確認された(プール解析によるオッズ比:1.16、95%信頼区間:0.89~1.51)。

著者は、「プロゲステロンの膣内投与は双胎妊娠女性における早産を予防しない」と結論した上で、「単胎妊娠と双胎妊娠では早産を引き起こす生物学的メカニズムに違いがある可能性があるため、プロゲステロンについてはさらなる検討が望まれる」としている。

(菅野守:医学ライター)