本当にスタチンは、院外感染性肺炎のリスクを減少させる可能性があるのか?
米国ワシントン大学疫学部門Sascha Dublin氏ら研究グループが行った、住民ベースの症例対照研究の結果、「従前研究の所見は、“healthy user”のバイアスが反映されているのではないか」とする報告が寄せられた。BMJ誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月16日号)掲載より。
65~94歳の高齢者約5万人をコホートに
本研究は、2000~2002年の9月1日時点で最低2年、地域で暮らしていることが確認できた65~94歳の高齢者53,929例のうち、免疫適格性のあった46,824例(87%)を、肺炎症例群と対照群に照合させて行われた。
参加者の共存症疾患、身体機能、認知機能、スタチン使用と肺炎のリスクに関連する潜在的交絡因子に関する情報は、診療記録および薬局データから集められ、現在のスタチン使用に関する肺炎発症リスクの推定値を算出し検証された。
スタチン使用と肺炎リスク現象との関連は確認できず
同定された肺炎症例群は1,125例、照合対照群は2,235例だった。症例群は対照群と比べて、慢性の肺疾患および心疾患(重篤で、機能もしく認知機能障害を有する)がより多く見られた。
スタチン服用中の人は、症例群16.1%(181/1,125例)、対照群14.6%(327/2,235例)、補正オッズ比1.26(95%信頼区間:1.01~1.56)存在した。
入院中でスタチン服用中の人は、症例群17.2%(68/395)、対照群は14.2%(112/788)で、不使用の人と比較した補正オッズ比1.61(1.08~2.39)存在した。
2次予防を目的にスタチン服用中の人の肺炎発症リスクの補正オッズ比は、1.25(0.94~1.67)であった。一方、そのような徴候のない人においては、0.81(0.46~1.42)であった。
これらからDublin氏は、「免疫力があり地域で暮らす高齢者においては、スタチン使用と肺炎のリスク減少とは関連がない」と結論した。