アテネ大学(ギリシャ)のAntonia Trichopoulou氏らは、地中海式ダイエット食(伝統的な地中海地方の食事)を嗜好する人と総死亡率との関連を調べ、低死亡率に寄与している・寄与していない食事要素について明らかにした。BMJ誌2009年7月4日号(オンライン版2009年6月23日号)より。寄与するのは、適度な飲酒、肉類はあまり摂らないこと、野菜、果物、ナッツ、オリーブオイル、豆類は豊富に摂ること。一方で、穀類、乳製品、魚類は、寄与していなかったという。
健康なギリシャ人男女23,000例の、食事傾向と死亡率を前向き調査
分析したのは、ヨーロッパで10ヵ国23施設が参加し行われている前向きコホート研究、がん栄養調査EPIC(European Prospective Investigation into Cancer and nutrition)のギリシャからの参加者分。
2008年6月までに登録された、がん、虚血性心疾患、糖尿病の診断歴がなく生存証明書類がある男女23,349例が対象となった。対象者は登録時に、栄養的変数と重要な共変動に関する情報を記録され追跡された。主要転帰は、全死因死亡率。
地中海式ダイエット食の摂取状況については、伝統的な地中海での食事要素+アルコールの9つの要素を設定し、いくつあてはまるかで、0~9でスコア化した。各要素に該当するか否かは、各要素摂取量の中央値を参照し判断された。アルコールについては、男性:100~500mL/日、女性:50~250ml/日が指標とされた。
地中海式食事の摂取スコアが高いほど死亡率減少
平均8.5年の追跡調査の間に、死因を問わず死亡したのは、地中海式ダイエット食スコアが0~4の人は、652/12,694例だった。スコア5以上の人は、423/10,655例だった。補正後、地中海式ダイエット食の摂取が高い人ほど、総死亡率が統計学に有意な減少と関連していた。スコアが2段階上がった時の総死亡率減少は0.864(95%信頼区間:0.802~0.932)。
この関連に寄与していた食事要素とその割合は、適度な飲酒23.5%、肉類の低摂取16.6%、野菜類の高摂取16.2%、果物・ナッツ類の高摂取11.2%、オリーブオイル等油類の高摂取10.6%、豆類の高摂取9.7%だった。
一方、穀類(高摂取推奨)、乳製品(低摂取推奨)、魚類(高摂取推奨)の要素は、貢献度が低かった。Trichopoulou氏は、「穀類、乳製品は、特異なヘルス効果をもつ食品カテゴリーに該当するものなのではないか。魚類については対象集団では摂取量自体が少なかった」とまとめている。
(朝田哲明:医療ライター)