乳児への肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7:7-valent pneumococcal conjugate vaccine )接種は、2回接種と3回接種があるが、2歳時点の鼻咽頭への保菌率低減効果については同等であるようだ。これまでの研究から、乳児へのPCV7接種によって、年齢を問わず肺炎球菌感染症の発症率が減少していることが明らかになっている。その要因として、乳児の肺炎球菌保菌率の減少によるものだと推測されていたが、具体的な研究結果はほとんど示されていなかった。オランダWilhelmina小児病院のElske J. M. van Gils氏らが、1,000人超の新生児を対象に行った、無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年7月8日号で発表した。
生後12ヵ月の鼻咽頭保菌率、2回接種、3回接種ともに減少
Gils氏らは、2005年7月~2008年2月にかけて、1,003人の新生児について、生後24ヵ月まで追跡を行った。被験者を無作為に3群に分け、一群には生後2ヵ月と4ヵ月に計2回PCV7を接種、次の一群には2、4、11ヵ月の計3回PCV7を接種、もう一群は対照群として接種を行わなかった。
生後12ヵ月時点で、ワクチン血清型肺炎球菌の鼻咽頭保菌率は、2回接種群は25%(95%信頼区間:20%~30%)へ、3回接種群は20%(同:16%~25%)へ、ともに減少した。一方対照群では、同保菌率は38%(同:33%~44%)だった(p<0.001)。
生後24ヵ月の鼻咽頭保菌率、2回接種が15%、3回接種が14%
また、生後18ヵ月時点の同保菌率は、生後12ヵ月に比べ3回接種群でのみ16%(同:12%~20%)へと有意な減少が見られた。2回投与群では12ヵ月時点と同等(24%)だった。
しかし生後24ヵ月時点では、3回投与群で同保菌率が14%(同:11%~18%)、2回投与群でも15%(同:11%~19%)へと低下していた。一方対照群の生後24ヵ月までの同保菌率は、36~38%だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)