神経管欠損症と葉酸受容体自己抗体との関連は既報されている通りか?

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/22

 



これまでの報告で、神経管欠損症を伴う妊娠歴がある女性のうち75%に、葉酸受容体自己抗体が存在することが、一方対照群では10%であったことが報告されている。Trinity College Dublin(アイルランド)生化学/免疫学部門のAnne M. Molloy氏らは、伝統的に神経管欠損症の有病率が高いアイルランド人集団で、この所見の確認を行った。NEJM誌2009年7月9日号掲載より。

伝統的に有病率の高いアイルランド人103例で検討




Molloy氏らは、2つの試験を行った。スタディ1は、神経管欠損症を伴う妊娠歴のある103例の母体(ケース群)から、1993~1994年に収集され凍結保存された血清検体を解析したもの。対照群として妊娠歴と検体採取日をマッチさせた神経管欠損症を伴わない妊娠歴がある103例と、妊娠歴のない女性58例、男性36例を設定して行われた。

スタディ2は、保管検体の劣化を検討する試験。ケース群37例、対照群22例、妊娠歴のない女性10例、男性9例から、新鮮な血液検体を採取し行われた。

全検体について、葉酸受容体を遮断する自己抗体および結合する自己抗体について解析された。

関連性は乏しい




スタディ1で、ケース群の17%で葉酸受容体を遮断する自己抗体が確認された。対照群では13%だった(オッズ比:1.54、95%信頼区間:0.70~3.39)。また、結合する自己抗体は、ケース群29%、対照群32%で確認された(0.82、0.44~1.50)。

スタディ2の結果も、スタディ1の結果と同様で、凍結保存が検体に影響を及ぼしてはいないことが確認された。

Molloy氏は、「アイルランド人集団では、葉酸受容体自己抗体と神経管欠損症とが関連しているとは認められない」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)