大腸ポリープと大腸がんの検出について、カプセル内視鏡と光学大腸内視鏡との比較検討が、ベルギーのブリュッセル自由大学Erasme大学病院胃腸病部門のAndre Van Gossum氏らによって行われた。カプセル内視鏡は、ほとんどの患者の大腸粘膜の検出を可能とするが、大腸内視鏡と比べて、病変検出の感度は劣ると報告している。NEJM誌2009年7月16日号より。
光学大腸内視鏡とで、ポリープ・進行腺腫・がんの検出力を比較
本研究は、大腸疾患が確認されている患者および疑われる患者を対象とした前向き多施設共同研究。患者は、検査前処置の後、大腸清浄度(不良、普通、良、優良)が4段階で評価された。また、ポリープ、進行腺腫、がんの病変検出に関して、カプセル内視鏡の感度と特異度を算出し検討された。
感度は、6mm以上ポリープ64%、進行腺腫73%、大腸がん74%
検討されたのは、328例(平均年齢58.6歳)だった。
カプセル内視鏡は、飲み込んでから10時間以内に排出された。バッテリー切れになる前に92.8%が排出された。
大腸内視鏡と比べ、カプセル内視鏡の6mm以上ポリープ検出の感度は、64%(95%信頼区間:59~72)、特異度は84%(同:81~87)であった。
進行腺腫検出に関しては、感度73%(同:61~83)、特異度79%(同:77~81)だった。
大腸がんに関しては、大腸内視鏡で検出した19例のうち、カプセル内視鏡で検出できたのは14例だった(感度74%、95%信頼区間:52~88)。
カプセル内視鏡の病変検出感度は、清浄度が不良・普通の人に比べて、良・優良の人で高かった。
軽症・中等症の有害事象が26例(7.9%)で報告され、大部分は検査試料に関係することだった。
(武藤まき:医療ライター)