golimumabは、TNFα阻害薬治療歴のある活動性関節リウマチ患者に有効

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/30

 



関節リウマチ(RA)の治療において、新規のTNFα阻害薬であるgolimumabは、既存のTNFα阻害薬による治療歴のあるRA患者対し有効であることが、オーストリアVienna医科大学のJosef S Smolen氏らが実施した無作為化第III相試験(GO-AFTER試験)で明らかとなった。RAの治療ではTNFα阻害薬の使用増加にともなって、TNFα阻害薬による既治療例が増えているが、このような治療中止例に対する他剤の有効性を検討したプロスペクティブな対照比較試験はないという。Lancet誌2009年7月18日号(オンライン版2009年6月29日号)掲載の報告。

プラセボと2種類の用量を、ACR20で評価




GO-AFTER試験の研究グループは、既存のTNFα阻害薬〔エタネルセプト(商品名:エンブレル)、アダリムマブ(同:ヒュミラ)、インフリキシマブ(同:レミケード)、など〕による治療歴を有するRA患者におけるgolimumabの有効性および安全性を評価する無作為化第III相試験を実施した。対象は、少なくとも1回のTNFα阻害薬投与歴を有することとした。メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、経口コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬の安定量を投与中の患者はそのまま継続した。

2006年2月~2007年9月までに、10ヵ国82施設から461例のRA患者が登録され、施設およびメトトレキサートの使用歴で層別化したうえで、プラセボ(155例)、golimumab 50mg(153例)、同100mg(153例)を4週ごとに皮下注する群に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、治療14週における米国リウマチ学会のRA評価基準による20%以上の改善(ACR20)とした。16週後に疼痛(圧痛)関節数、腫脹関節数の改善が20%未満の場合はレスキュー治療を行い、プラセボ群にはgolimumab 50mgを投与し、50mg群は 100mgに増量した。有効性についてはintention-to-treat解析を行い、安全性は個々の用量ごとに評価した。

ACR20達成率が有意に改善、重篤な有害事象は同等




前治療に使用されたTNFα阻害薬の中止理由は、無効が269例(58%)、耐用不能や医療施設への近接性など効果とは無関係の場合が246例(53%)であった。全群を合わせた腫脹関節数の中央値は14.0、疼痛関節数の中央値は26.0であり、全例が活動性の疾患を有していた。

2例が治療を受けず、57例が有害事象、治療効果への不満、追跡不能、死亡などの理由で治療を途中で中止した。有効性評価の対象となったのは、プラセボ群が155例、50mg群が153例、100mg群が153例であった。

14週後におけるACR20の達成率は、プラセボ群の18%(28例)に対し、50mg群が35%(54例)(オッズ比:2.5、p=0.0006)、100mg群は38%(58例)(同:2.8、p=0.0001)と、いずれも有意な改善効果を認めた。

1~16週までに報告された重篤な有害事象の発現率は、プラセボ群が7%(11例)、50mg群が5%(8例)、100mg群が3%(4例)であった。1~24週までに、レスキュー治療施行後に見られた重篤な有害事象の頻度は、プラセボ群が10%(15例)、50mg群が5%(14例)、100mg群が4%(8例)であった。

著者は、「golimumab は、TNFα阻害薬による治療歴を有する活動性のRA患者において、その徴候および症状を低減させる」と結論し、「既存のTNFα阻害薬やDMARDで十分な効果が得られないRA患者の治療選択肢になると考えられる」としている。

(菅野守:医学ライター)