大うつ病(MDD)患者における胃食道逆流症(GERD)の有病率は、健常人と比較して有意に高いことが台中ベテランズ総合病院のPo-Han Chou氏らの研究により明らかになった。精神科医は大うつ病患者を診る際、日常診療において、胸焼けや嚥下障害など、逆流性食道炎の症状がないか注意を払い、症状を認めた場合は専門医に相談すべきである。Psychosomatics誌オンライン版2013年8月13日号の報告。
GERDは、精神疾患の患者において一般的な疾患である。本研究では、GERD有病率とリスクを調査するために、台湾の国民健康保険の研究データベースを用いて横断的研究を行った。
調査対象は2005年にMDDと診断された4,790人(MDD群)と健常人72万8,749人(対照群)。GERD有病率は、カイ2乗検定を用いて、年齢、性別、所得、居住地域、他疾患の合併(糖尿病、高血圧症、腎疾患、高脂血症、虚血性心疾患などの治療中)ごとに比較した。また、GERDとMDDとの関連は、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・GERDの年間有病率は、MDD群で3.75%、対照群で1.05%であった。
・MDD群のGERDの有病率は、すべての年齢、性別、保険金額、居住地域、都市在住サブグループにおいて、対照群よりも有意に高かった(すべてp<0.001)。
・GERDの増加率は、対照群のそれと比較し、MDD群で有意に高かった(オッズ比:3.16、95%CI:2.71~3.68、p<0.001)。
・以上の結果より、MDD患者のGERD有病率は健常人と比較して有意に高いことが明らかとなった。
(ケアネット 武田 真貴子)