McBrien氏らは、2型糖尿病に対する積極的な降圧は、脳卒中発症のリスクをわずかに減少させることができるが、死亡リスク、心筋梗塞発症リスクを減少させられないことを、無作為化比較試験のメタアナリシスより示した。Arch Intern Med誌に発表されたこの解析結果は、8月6日よりONLINE FIRSTとして公開されている。
2型糖尿病の降圧治療は、厳格な目標を設定すべきか結論が得られていない。わが国では糖尿病を合併した高血圧患者の場合、130/80mmHg未満への積極的な降圧が推奨されている。拡張期血圧についてはHOT研究の糖尿病合併例のサブ解析で80mmHg未満群が85mmHg未満群、90mmHg未満群より心血管イベントが少なかったことに裏付けられている。しかし、収縮期血圧が130mmHg未満を推奨する根拠は観察研究によるもでのあり、むしろ2010年に発表されたACCORD試験の結果は、120mmHg未満を降圧目標とする超積極的降圧群と、140mmHg未満を降圧目標とする治療群と一次エンドポイントにおいて有意差がなかったことを示しており、糖尿病患者の積極的な降圧の意義については議論の余地がある。
McBrien氏らは、成人の2型糖尿病の降圧目標を比較した無作為化比較試験のメタアナリシスを行い、積極的降圧治療によるリスク減少度を算出した。
主な結果は下記のとおり。
〔死亡〕相対リスク減少度=0.76 (95%信頼区間=0.55〜1.05)
〔心筋梗塞〕相対リスク減少度=0.93(95%信頼区間=0.80〜1.08)
〔脳卒中〕相対リスク減少度=0.65(95%信頼区間=0.48〜0.86)
絶対リスク減少度=-0.01(95%信頼区間=-0.02〜0.00)
(ケアネット 藤原 健次)