統合失調症の再燃や再入院を減少させるには:システマティックレビュ―

提供元:ケアネット

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公開日:2013/03/11

 

 統合失調症の再燃や再入院を減少させるには、早期警告症状への気づきを促す介入が重要であることが、英国・ノッティンガム大学のRichard Morriss氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかとなった。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。

 本レビューでは早期警告症状気づきを促す介入による効果(再燃までの時間、入院、機能的側面、陰性・陽性症状)について、通常精神科治療に加えた場合と通常治療のみとを比較することを目的とした。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2007年7月~2012年5月)において該当する無作為化試験による論文を検索し、データを抽出した。追跡不能な参加者が50%以上いた試験はあらかじめ除外した。

 主な結果は以下のとおり。

・無作為化試験32件、クラスター無作為化試験2件において無作為化された3,554例のデータが本レビューに組み込まれた。早期警告症状気づきへの介入単独でのアウトカムを検討した試験は1報のみであった。
・早期警告症状気づきへの介入群は、通常治療群よりも再燃率が有意に低かった(23%対43%、RR:0.53、95%CI:0.36~0.79、15試験・1,502例;エビデンスレベルはとても低い)。
・再燃までの時間は、両群間で有意な差はみられなかった(6試験・550例;エビデンスレベルはとても低い)。
・再入院のリスクは、早期警告症状気づきへの介入群が通常治療群よりも有意に低かった(19%対39%、RR:0.48、95%CI:0.35~0.66、15試験・1,457例;エビデンスレベルはとても低い)。
・再入院までの時間は、両群間で有意な差はみられなかった(6試験・1,149例;エビデンスレベルはとても低い)。
・介入を受けた被験者の満足感やコストについては、確定的なエビデンスが不足していた。
・著者らは、「一連の試験のエビデンスレベルは低く、また介入単体としての効果が不明である(検討が1試験のみであったため)」とした上で、「再燃や再入院の減少は費用対効果への波及も期待できることから、コストや各種の医療サービス活用について、重症患者・家族が期待する有効性のアウトカムを含めた系統的評価を行うべきである」とまとめている。

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(ケアネット)