乳がんのリスクにおけるアルコールと葉酸の影響は?~日本人での研究

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/21

 

 葉酸は、アルコールとの相互作用により、多くのがんのリスクに影響を及ぼすことが示唆されているが、これらの因子がアジア人の乳がんリスクに及ぼす影響については十分に検討されていない。今回、閉経前および閉経後の日本人女性の乳がん患者1,754例とコントロール3,508例におけるケースコントロール研究の結果が、European journal of cancer prevention誌オンライン版2012年11月20日号に報告された。

 Tania Islam氏らは、自己申告による飲酒量・食事による葉酸摂取量と、乳がんリスクとの関連を検討した。その結果、アルコール摂取により乳がんのリスクが増大する一方で、葉酸摂取量が多いと日本人の乳がんのリスクが減少することを報告した。著者らは、これら2つの因子は相互に作用しており、飲酒による乳がんリスクの増加が葉酸摂取量の増加により減らせるかもしれないと考察し、さらに葉酸やアルコールの影響は、腫瘍のサブタイプによって異なる可能性があるとしている。

 主な結果は以下のとおり。

・飲酒量は乳がんリスクと関連しており、非飲酒者に対する23g/日以上の飲酒者のオッズ比は1.39(95%信頼区間:1.07~1.80)であった。
・葉酸摂取量と全乳がんリスクの間に有意な逆相関が認められ、葉酸摂取量について最も高い三分位では最も低い三分位に比べオッズ比が0.79(95%信頼区間:0.68~0.93、傾向p=0.004)であった。
・葉酸摂取量の最も低い三分位では、非飲酒者に対する23g/日以上の飲酒者のオッズ比は1.58(95%信頼区間:1.06~2.33)であったが、葉酸摂取量の多い第2三分位と第3三分位では、飲酒量にかかわらず乳がんリスクの有意な増加は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)