造血幹細胞移植後の転帰における過体重の影響が議論されている。愛知県がんセンター研究所の中尾氏らは、過体重による急性移植片対宿主病(aGVHD)リスクや生存率への影響を評価するため、メタ解析を行った。Bone marrow transplantation誌オンライン版2013年8月19日号に掲載。
著者らは、aGVHDリスク因子または全生存率(OS)の予後因子としてレシピエントの移植前の過体重を評価した研究を、MEDLINEのデータからそれぞれ8報と21報、抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・同種造血幹細胞移植では、aGVHDリスクおよびOSとレシピエントの過体重との間に、統計的に有意な関連性があることがメタ解析により示された。
・aGVHDリスク因子を評価した8報のメタ解析では、非過体重患者に対する過体重患者の相対リスクは1.186(95%CI:1.072~1.312)であった。
・OSについては、同種造血幹細胞移植の11報のメタ解析で、非過体重患者に対する過体重患者の相対リスクは1.163(95%CI:1.009~1.340)であった。
・これらの結果から、レシピエントの移植前の過体重が、同種造血幹細胞移植後のaGVHD発症率の高さや生存率の低さに関連していることが示された。
(ケアネット 金沢 浩子)