交通騒音への曝露はストレスや睡眠障害につながる。一方、自己申告による睡眠時間と乳がんリスクに関する研究の結果には一貫性がない。デンマークがん協会研究センターのMette Sorensen氏らは、デンマークの人口ベースのコホートにおいて、居住地における道路や鉄道の交通騒音と乳がんリスクの関連を検討した。その結果、交通騒音によりエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが増大する可能性が示唆された。ただし著者らは「本研究は交通騒音と乳がんに関する最初の研究であり、これらの結果は慎重に扱われるべき」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年11月8日号に掲載。
著者らは、1993~1997年の登録時に50~64歳であった女性2万9,875人の人口ベースのコホートにおいて、2010年までの追跡期間に、閉経後乳がん1,219例を同定した。平均追跡時間は12.3年であった。道路や鉄道の交通騒音は、1987~2010年に居住していたすべての場所において計算した。解析にはCox比例ハザードモデルを使用し、ホルモン補充療法、出産歴、飲酒量、その他潜在的な交絡因子について調整した。
主な結果は以下のとおり。
・居住地における道路や鉄道の交通騒音と乳がんリスクとの間には、全体として関連性は認められなかった。
・すべての交絡因子で調整後、過去1、5、10年間における道路交通の騒音(連続スケール)が10 dB増加すると、エストロゲン受容体陰性乳がんのリスクは、それぞれ、28%(95%CI:1.04~1.56)、23%(95%CI:1.00~1.51)、20%(95%CI:0.97~1.48)増加した。
・同様に、鉄道による騒音が10 dB増加(1年平均値)すると、エストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが38%(95%CI:1.01~1.89)増加した。
・道路や鉄道の交通騒音とエストロゲン受容体陽性乳がんとの間には関連がなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)