喫煙は大腸がんリスクを上昇させるが、大腸がん診断後の生存率との関連は不明である。今回、米国がん協会(ACS)が、大腸がんサバイバーにおける診断前・後の喫煙状況と死亡率(全死亡率および大腸がん特異的死亡率)の関連を検討し、Journal of clinical oncology誌オンライン版2015年2月2日号に報告した。
がん予防研究II栄養コホートにおいて、ベースライン時(1992年または1993年)に大腸がんではなかった成人のうち、2009年までに浸潤性非転移性大腸がんと診断された2,548例を特定し、2010年までの生存状況と死亡原因を調査した。喫煙状況は、ベースライン時の質問票における自己申告で「非喫煙」「元喫煙」「現喫煙」に分類し、1997年以降2年ごとに調査した。診断後の喫煙情報は2,256例(88.5%)で得られた。
主な結果は以下のとおり。
・大腸がんサバイバー2,548例のうち、追跡期間中に1,074例が死亡し、そのうち大腸がんによる死亡が453例であった。
・多変量調整したCox比例ハザード回帰モデルでは、診断前の調査で「現喫煙」であった被験者は、全死亡リスク(「非喫煙」であった被験者に対する相対リスク[RR]:2.12、95%CI:1.65~2.74)および大腸がん特異的死亡リスク(RR:2.14、95%CI:1.50~3.07)とも有意に高かった。一方、診断前の調査で「元喫煙」であった被験者は、全死亡リスク(RR:1.18、95%CI:1.02~1.36)は高かったが、大腸がん特異的死亡リスク(RR:0.89、95%CI:0.72~1.10)との関連は認められなかった。
・大腸がん診断後の調査で「現喫煙」であった被験者は、全死亡リスク(「非喫煙」であった被験者に対するRR:2.22、95%CI:1.58~3.13)および大腸がん特異的死亡リスク(RR:1.92、95%CI:1.15~3.21)とも有意に高かった。一方、診断後の調査で「元喫煙」であった被験者は、全死亡リスク(RR:1.21、95%CI:1.03~1.42)は高かったが、大腸がん特異的死亡リスク(RR:0.91、95%CI:0.71~1.18)との関連は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)