一般集団における心房細動の危険因子は明らかだが、特定の疾患を持つ患者への影響は不明である。今回、札幌医科大学の村上 直人氏らが、冠動脈疾患(CAD)患者と非CAD患者における心房細動の危険因子を調べた結果、CADの有無により心房細動の主要な危険因子が異なることが示唆された。CAD患者では血清尿酸値高値、非CAD患者ではスタチン非使用で心房細動が発症しやすいことが示された。Open heart誌オンライン版2017年1月16日号に掲載。
著者らは、BOREAS-CAGレジストリにおいて、2014年8月~2015年1月にCAD症状の評価のために冠動脈造影を実施した1,871例を連続して登録した。心臓弁膜症患者とPCI/心臓手術歴のある患者を除外した1,150例(非CAD群576例、CAD群574例)について、多変量ロジスティック回帰分析により心房細動の危険因子を同定した。また、2013年4月~2014年7月に札幌医科大学病院に入院したCAD患者361例のうち、BOREAS-CAGレジストリと同じ組み入れ基準と除外基準に合う166例のデータを分析した。
主な結果は以下のとおり。
・意外にも、CADが独立して「心房細動なし」に関連した。
・CADの有無にかかわらず、脳性ナトリウム利尿ペプチドレベルが心房細動と強い関連を示した。
・非CAD群では「スタチン非使用」が独立して心房細動に関連し、CAD群では「血清尿酸値高値」が心房細動の独立した説明変数となった。
・札幌医科大学病院のCADコホートに登録された患者群(166例)で、心房細動と血清尿酸値との関連が確認された。
(ケアネット 金沢 浩子)