医療一般|page:3

高血圧の日本人、大腸がん発症率が高い

 高血圧と大腸がん発症率の関連については依然として議論されている。今回、静岡社会健康医学大学院大学の水野 仁美氏らが、日本の大規模コホートデータを用いて、高血圧と大腸がん発症率の関連を検討したところ、降圧薬非服用者では男性において高血圧と大腸がん発症率が関連し、降圧薬服用者では女性において高血圧と大腸がん発症率が関連していた。一方、血圧に関する多遺伝子リスクスコアと大腸がん発症率には関連はみられなかった。Hypertension Research誌オンライン版2026年7月28日号に掲載。

本当にCGRP関連抗体薬で片頭痛の高水準ケアは可能となったのか?

 国際頭痛学会は、より高い治療水準を確立するため、実臨床における片頭痛予防の新たな治療目標を提示した。スペイン・Vall d'Hebron HospitalのEdoardo Caronna氏らは、CGRP関連抗体薬による片頭痛特異的治療を6ヵ月間行った後に、これらの目標を達成した患者の割合を評価する初の研究として、欧州における多施設共同実臨床プロスペクティブコホート研究(EUREkAコホート研究)を実施した。Cephalalgia誌2026年6月号の報告。  対象は、CGRP関連抗体薬(エレヌマブ70mgまたは140mgを毎月、ガルカネズマブ120mgを毎月+240mgの負荷投与、フレマネズマブ225mgを毎月またはフレマネズマブ675mgを四半期ごと)による治療を行った成人片頭痛患者。

母親の素早い応答は子どもの精神疾患リスク低下と関連か

 忙しくてイライラしがちな母親にとってはさらにプレッシャーとなるかもしれないが、赤ちゃんの「あー」や「うー」などの発声(クーイング)や「ばばば」「ダーダー」などの喃語に対する反応が遅いと、子どもが後に精神疾患を発症するリスクが高まる可能性があるようだ。新たな研究で、乳児の発声に対し、母親が1秒以内に応答する確率が高いほど、乳児が7歳までに精神疾患と診断されるオッズは低かったことが示された。英アバディーン大学のPhilip Wilson氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に7月1日掲載された。Wilson氏は、「今回の結果は、乳児からのサインに対する母親の応答が遅いことと、その後の子どもの精神健康上の問題との間に強い関連があることを示唆している」と述べている。

hinotoriによるロボット支援前立腺全摘、real-worldデータでda Vinciと比較

 手塚治虫氏の漫画『火の鳥』にちなんで名付けられた国産手術支援ロボット「hinotori」の前立腺がん手術への臨床導入が進む中、real-worldデータを用いて「da Vinci」との治療成績を比較した研究結果が報告された。hinotoriでは手術時間が長かった一方、陽性切除断端率や尿禁制回復、早期の生化学的再発などの主要アウトカムはda Vinciと同等の成績だった。研究は、滋賀医科大学泌尿器科講座の西田将成氏らによるもので、詳細は6月15日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

断水時の熱中症や災害関連死を防ぐポイント/3学会合同記者会見

 2026年8月3日、日本救急医学会、日本災害医学会、日本生気象学会の3学会合同による緊急オンライン記者会見『避難生活における熱中症予防の留意点』が開催された。本会見は、令和8年熊本地震の被災地において、猛暑とライフライン障害(断水・停電)が重なる中、避難所や復旧作業現場での「熱中症」および「災害関連疾病」の予防・対策・処置について、各専門家が最新の知見と緊急提言を発信するために実施された。  被災地での災害関連死を防ぐためには、避難所環境の改善から二次災害(エコノミークラス症候群[深部静脈血栓症]、感染症、誤嚥性肺炎などの発生)予防、そして熱中症対策が今回の災害では重要になる。

長鎖脂肪酸代謝異常症患者のエネルギー代謝を改善/ウルトラジェニクス ジャパン

 希少疾患分野に特化し、治療薬の研究開発・製造・販売を行うウルトラジェニクス ジャパンは、希少疾患である長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)について、2026年5月21日に治療薬トリヘプタノイン(商品名:ドジョルビ内用液100%)を発売した。この発売によせ、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、LC-FAODの診療やトリヘプタノインの概要などみついて専門医がレクチャーを行った。  「エネルギー代謝の破綻にどのように向き合うか-長鎖脂肪酸代謝異常症とトリヘプタノイン-」をテーマに村山 圭氏(順天堂大学大学院医学研究科 小児科学講座 /難治性疾患診断・治療学 教授)が、LC-FAODの病態や診療の実際、トリヘプタノインの特徴や臨床試験の概要などを説明した。

抗精神病薬の治療反応と関連する生物学的マーカーは?

 精神疾患において抗精神病薬治療に反応しないことと関連する神経生物学的マーカーを明らかにすることは、転帰予測や新たな治療標的の特定に役立つ可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのBridget King氏らは、個々の参加者データおよびメタ解析を用いて、抗精神病薬治療に反応しない精神疾患患者と反応する患者との間で、神経代謝物質の差異を検討した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2026年6月24日号の報告。  1980年1月1日〜2025年11月1日までに公表された研究を対象に、Web of Scienceより検索した。2024年8月以前に特定された適格な21件の研究の著者に対し、個々の参加者データの提供を依頼した。

日本人高齢者、ゴルフと認知機能が関連

 ゴルフは身体的、認知的、社会的要求を伴う多面的な活動であるため、高齢者の身体的および認知的機能の維持に関連している可能性があるが、ゴルフの継続期間や頻度と認知機能との関係は明らかになっていない。そこで、国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターの島田 裕之氏らは、高齢者におけるゴルフと認知機能との関連、継続期間や練習パターンとの関連を検討した。その結果、高齢期にゴルフを継続することは認知機能低下リスクが低いことと関連しており、またゴルフ歴が長いほどリスクが低いことが示された。Acta Psychologica誌2026年8月号に掲載。

ブラシ検査で口腔扁平上皮がんを高精度に検出

 新たな研究で、口腔扁平上皮がん(OSCC)を1時間以内に診断できる非侵襲的なブラシ検査が、がんの検出率向上につながる可能性が示された。ブラシで採取した細胞からRNAを抽出し、対象とする遺伝子のmRNA発現量を調べる多遺伝子アッセイ「qMIDSV3」により、OSCCを感度95.7%、特異度95.1%で検出できたという。英ロンドン大学クイーン・メアリー校分子口腔腫瘍学教授のMuy-Teck Teh氏らによるこの研究結果は、6月23日付で「Biomarker Research」に掲載された。  米国がん協会(ACS)によると、米国では2026年に、口腔・中咽頭がんの新規患者数は約6万480人、これらのがんによる死亡者数は約1万3,150人になると予測されている。

わずかな天候の変化もメンタルヘルス関連の受療行動に影響

 日常的に起きている些細な天候の変化であっても、メンタルヘルス関連の医療利用に影響が生じることを示唆するデータが報告された。英イースト・アングリア大学のRichard Elson氏らの研究結果であり、詳細は「Frontiers in Psychiatry」に6月30日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「猛暑のような異常気象だけでなく、日々の天候状況もメンタルヘルス関連の受療行動に影響を及ぼす」と述べている。  気象の変化がメンタルヘルスに影響を及ぼすことは既に報告されている。しかし、既存の研究の多くは熱波などの異常気象に焦点を当て、関連性の評価指標にも自殺などの深刻な臨床転帰を用いており、日常的な気象条件の変化とメンタルヘルス関連の医療利用との関連については、エビデンスが限られている。

「令和8年熊本地震復旧・復興応援プログラム」を開始/READYFOR

 大規模災害や突発的な危機が発生した際、被災地域の医療機関が直面する最大の壁の1つが「初動資金の確保」である。設備損壊や緊急用資材の調達など、発災直後から資金のニーズは多発する。一方で、公的補助金や保険金の給付は手続きや審査に時間を要するため、実際に着金するまでタイムラグが生じることが少なくない。  この公的支援が行き届くまでの「時間のギャップ」を埋め、緊急時のつなぎ資金を獲得する選択肢として機能するのが、寄付型クラウドファンディング(以下、CF)である。

実臨床におけるレカネマブとAChE阻害薬の有用性比較

 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬は、アルツハイマー病の症状を緩和する。一方、レカネマブは、アルツハイマー病の進行を修飾する可能性が示されている。しかし、レカネマブの安全性や臨床的影響に関するリアルワールド・エビデンスは、依然として限られている。台湾・Mackay Medical UniversityのChuo-Yu Lee氏らは、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病の患者を対象に、レカネマブ投与を開始した場合とAChE阻害薬を投与した場合の安全性および有効性を比較するため、本研究を実施した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2026年6月22日号の報告。

医師の4割が抱える歯の悩みとは/医師1,000人アンケート

 近年、口腔疾患は糖尿病、脳梗塞、動脈硬化に伴う心筋梗塞など、全身疾患リスクとの関連性が見いだされたり、高齢者の健康寿命を縮めるさせる10大原因の1つとしても問題視されたりしている。このような状況を踏まえ、日本でも2026年度より『歯周病検診マニュアル2023』1)や歯科健康診査票を用いた歯周病検診がスタートし、国を挙げて国民の歯周病の早期発見・重症化予防に乗り出している。

軽症~重症の成人アトピーへのデルゴシチニブクリーム、用量反応的な有効性を示す/BJD

 アトピー性皮膚炎(AD)患者において、0.5%デルゴシチニブ軟膏は基剤軟膏と比較して有効性の改善をもたらし、良好な安全性プロファイルを示している。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らは、軽症から重症の成人AD患者を対象に、デルゴシチニブの用量反応関係、有効性、および安全性を検討した二重盲検基剤対照第IIb相試験を実施。結果を、British Journal of Dermatology誌オンライン版2026年7月22日号に報告した。

COVID-19後の眼症状、通常検査では見逃される異常が明らかに

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に12週間以上持続する目の症状に関する新たな知見が、リンショーピング大学(スウェーデン)実験眼科学教授のNeil Lagali氏らにより、7月8日付で「Nature Communications」に報告された。この研究によると、軽症のCOVID-19罹患後12週間以上、最長3年にわたり、強い目の痛みや光過敏(まぶしさ)、読書時の見えづらさ、ピントの合わせにくさといった症状に悩まされる患者が存在し、通常の眼科検査ではこうした症状の原因となる異常は見つからないものの、特殊な検査で神経や免疫の異常が確認されたという。Lagali氏は、「こうした患者が訴える眼症状の原因は、標準的な眼科検査では確認できず、異常を見つけるには特殊な検査を行う必要があった。その結果、パズルのピースがつながるように症状の原因が明らかになった」と述べている。

話せる言語数が多いほど脳年齢は若い?

 言語を学ぶことには思わぬメリットがあるかもしれない。新たな研究で、複数の言語を話す人は、1つの言語しか話さない人と比べてAIで推定された脳年齢が若い可能性があることが示唆された。バスク認知・脳・言語センター(スペイン)の副科学ディレクターであるLucia Amoruso氏らによるこの研究結果は、欧州神経科学会連合フォーラム(FENS Forum 2026、7月6~10日、スペイン・バルセロナ)で発表された。Amoruso氏は、「簡単に言えば、話せる言語数が多い人ほど、脳年齢が実年齢より若い傾向が見られた」と述べている。

子どもの頃の逆境体験、成人後の市販薬乱用と関連

 近年、市販薬の過量服薬(オーバードーズ)が社会問題となる中、幼少期の逆境体験がその背景に関与する可能性が示された。日本の成人約2万5,000人を対象とした全国調査の解析により、子どもの頃に虐待や家庭機能不全などの逆境体験を多く経験した人では、成人後の市販薬の習慣的乱用との関連が認められた。特に、電子たばこや加熱式たばこの使用者では、その関連がより強く認められたという。研究は、福島県立医科大学神経精神医学講座の森湧平氏、東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野の長岡敦子氏らによるもので、詳細は6月2日付の「Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports」に掲載された。

スマホ依存は本当に自殺リスクと関連しているか?

 スマートフォン依存は、精神衛生上の悪影響と関連付けられてきたが、自殺念慮や自殺企図との関連については、いまだ結論が出ていない。中国・University of Health and Rehabilitation SciencesのYufeng Li氏らは、スマートフォン依存と自殺念慮や自殺企図との関係に関するエビデンスを統合することを目的とし、システマティックレビューを実施した。PeerJ誌2026年6月8日号の報告。  スマートフォン依存と自殺念慮または自殺企図との関連を検討した査読付き英語論文を対象に、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryより検索した(対象期間:1971~2025年8月)。研究の質は、ニューカッスル・オタワ尺度を用いて評価した。

働き方改革で研修医のバーンアウトは減ったのか~2万5千人を調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、世界中で医師、とくに臨床研修医においてバーンアウトが大幅に増加した。一方、わが国では、医師の過重労働を減らし健康状態を改善するため、2023年に医師の働き方改革の準備を開始し、2024年4月に施行した。今回、千葉大学/英国・グラスゴー大学の小野 亮平氏らは、COVID-19流行時および国の働き方改革の準備期・施行期における、研修医のバーンアウトと労働環境の経時的変化について、多施設共同反復横断研究で調査した。その結果、臨床研修医のバーンアウトは2020年度に最も高く、その後、仕事への満足度、勤務時間、診療負担の改善に伴い減少したことが示された。BMJ Open誌2026年7月21日号に掲載。

日本におけるVZV髄膜炎発生率、12年で3倍超に

 日本における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)髄膜炎の発生率は、過去12年間で3倍超に増加していることが、東京大学の山形 直毅氏らによる研究で明らかになった。一方で、大多数の患者はアシクロビルの長期静注療法により治療され、退院時には転帰が良好であったことも示されている。Journal of the Neurological Sciences誌2026年9月15日号掲載の報告より。  本研究では、2011年4月~2023年3月にVZV髄膜炎と診断された1,680例を、日本の全国入院患者データベースであるDPCデータを用いて特定した。