クロザピン関連遅発性ジスキネジアへの低用量アリピプラゾール 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/07 遅発性ジスキネジア(TD)は、長期間の抗精神病薬治療により発現する副作用である。TDは、精神疾患罹患率や死亡率の増加、著しいQOLの低下を伴うが、その治療方法は存在しない。統合失調症患者のTD治療オプションとして、クロザピンが使用される。興味深いことに、最近のいくつかの症例報告において、クロザピンがTDを増強または誘発することが示唆されている。韓国・仁済大学校のLyang Huh氏らは、クロザピン関連TDに対する低用量アリピプラゾール(0.5mg/日)治療の症例報告を行った。Turkish journal of psychiatry誌2017年秋号の報告。 主な内容は以下のとおり。 ・患者は、精神症状が認められ精神科病棟に入院中の51歳韓国人統合失調症女性。 ・クロザピン(200mg/日)治療開始1年後にTD症状の発現が認められた。 ・クロザピン(175mg/日)に低用量アリピプラゾール(0.5mg/日)を併用したのち、運動症状に著しい改善が認められた。 著者らは「アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであり、セロトニン1A受容体に対するパーシャルアゴニスト作用およびセロトニン2A受容体アンタゴニスト作用を有する。ドパミン作動性傾向は、アリピプラゾール活性にとって重要である。加えて、アリピプラゾールの抗酸化作用は、クロザピンの神経毒性作用を管理可能である。われわれの知る限りでは、クロザピン関連TD治療に対する適度なアリピプラゾール(10~15mg)治療についての報告は1件のみであった。本報告は、クロザピン関連TDに対する低用量アリピプラゾール治療の最初の報告であろう」としている。 ■関連記事 遅発性ジスキネジア治療に期待される薬剤は 治療抵抗性統合失調症、クロザピン+フルボキサミンの効果は 統合失調症患者の脳活性、リスペリドン vs. アリピプラゾール 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Huh L, et al. Turk Psikiyatri Derg. 2017;28:208-211. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 医療一般(2014/11/13) 遅発性ジスキネジア治療剤の新薬ジスバルカプセル40mg発売/田辺三菱 医療一般(2022/06/14) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 貧血を伴う動脈瘤性くも膜下出血の輸血、非制限戦略vs.制限戦略/NEJM(2024/12/24) 日本人双極症外来患者におけるアルコール依存症合併率とその要因〜MUSUBI研究(2024/12/24) 乳がん再発予測、ctDNA検査はいつ実施すべき?示唆を与える結果(ZEST)/SABCS2024(2024/12/24) DOACとスタチンの併用による出血リスク(2024/12/24) 不規則な睡眠習慣は主要心血管イベントリスクを高める(2024/12/24) 超加工食品の大量摂取は活動性乾癬と関連(2024/12/24) GLP-1RAによる肥満治療が食品ロスを増やしている(2024/12/24) 口の中でグミを細かくできないと要介護や死亡のリスクが高い―島根でのコホート研究(2024/12/24) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)