経口セマグルチドの心血管安全性を確認/NEJM 心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象とした、標準治療への経口セマグルチド追加投与の安全性を評価した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Peptide Innovation for Early Diabetes Treatment 6:PIONEER 6試験」の結果が報告された。カナダ・トロント大学のMansoor Husain氏らによる検討で、心血管安全性について、経口セマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された。GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、現在国内外で承認・発売されているのは皮下注射剤のみで、経口剤の心血管安全性を確立することが望まれていた。NEJM誌オンライン版2019年6月11日号掲載の報告。
会員医師の最多年収帯は1,600~1,800万円 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、81%の医師が1,000万円以上の年収額を回答し、その中で最も多い年収帯は1,600~1,800万円であった(全体の13%)。また、全体の63%の医師が1,000~2,000万円に分布し、2,000~3,000万円は16%、3,000万円以上は4%であった。
高感度トロポニンT、アブレーション後のAF再発予測に有用か 高感度トロポニンT(hs-TnT)が、心房細動(AF)アブレーション後のAF再発および主要心血管イベント(MACE)の予測に有用である可能性を、大阪市立大学の田村 尚大氏らが報告した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2019年6月13日号に掲載。 初期アブレーションを受けたAF患者227例(平均年齢66±10歳、持続性AF 98例)を連続して登録した。AFアブレーションの前に測定したhs-TnT値により、低レベル(0.005μg/L以下)54例、中程度レベル(0.006~0.013μg/L)127例、高レベル(0.014μg/L以上)46例の3群に分けた。アブレーション後のAF再発またはMACE(死亡、脳卒中、急性冠症候群、心不全入院を含む)の複合エンドポイントを評価した。
冠動脈疾患疑い患者にCTAが有用な臨床的指標は?/BMJ 安定胸痛があり冠動脈疾患が疑われる患者に対して、冠動脈CT血管造影(冠動脈CTA)による恩恵があるのは、臨床的な検査前確率が7~67%の範囲の患者であることが明らかにされた。また、冠動脈CTAの診断精度は、経験的に64列超の検出器を用いたほうが感度・特異度ともに高いことや、狭心症がある患者でも低下しないこと、男性で高く、高齢者では低いことなども示された。ドイツ・シャリテ大学病院ベルリンのRobert Haase氏らが、65試験についてメタ解析を行い明らかにしたもので、BMJ誌2019年6月12日号で発表した。冠動脈CTAは、正確かつ非侵襲的に閉塞性冠動脈疾患(CAD)をルールアウトすることができる。しかし英国NICEや欧州心臓病学会の現行ガイドラインでは、典型的・非典型的狭心症のすべての患者についてのCTAは推奨されておらず、臨床的情報(性別、年齢、胸痛タイプなど)で推定されたCADの検査前確率が15~50%の患者にのみ実施されているという。
PPI服用、心血管疾患・CKD・上部消化管がんの過剰死亡と関連か/BMJ プロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用は、心血管疾患・CKD・上部消化管がんに起因する過剰死亡と少なからず関連することが明らかにされた。米国・セントルイス退役軍人ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによる長期観察コホート研究の結果で、BMJ誌2019年5月29日号で発表した。著者は「結果はPPI服用への警戒感を高めることを支持するものだった」とまとめている。これまでに、PPI服用は重篤な有害事象と関連しており、全死因死亡リスクを増大することが報告されていた。
HFpEFに対するneladenosonの第II相試験結果/JAMA 左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)に対する、アデノシンA1受容体部分作動薬neladenoson bialanateの安全性と有効性を検討した、第IIb相無作為化試験の結果が、米国・ノースウェスタン大学のSanjiv J. Shah氏らにより発表された。5つの用量反応性について検討されたが、ベースラインから20週時点の運動能の変化について、用量間に有意差は認められなかったという。事前に定義した臨床的に意味のある変化差に到達した用量群もなく、著者は、「今回の結果を鑑みると、HFpEF患者の治療薬としてneladenosonのさらなる開発を進めるなら、新たなアプローチが必要と思われる」と述べている。HFpEFに対する効果的な治療法は現在までに確立されていない。neladenoson bialanateは前臨床試験において、心不全関連の心臓性・非心臓性異常を改善する可能性が示唆されたが、HFpEF治療についての評価は行われていなかった。JAMA誌2019年6月4日号掲載の報告。
TIMI Studyから学ぶ臨床研究 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は2019年4月20日、都内においてJ-CLEAR講演会を開催。6名の講演者が特定臨床研究の現状や糖尿病領域の臨床試験の変遷などについて発表した。 本稿では、第1部「特定臨床研究法施行のあとさき」に続き、第2部、第3部の話題をお届けする。 第2部では、「相次ぐ糖尿病新規治療薬:助っ人、それとも敵?」をテーマに2題の講演が行われた。 はじめに「SGLT2阻害薬の腎機能保護作用に関する最近の知見」をテーマに栗山 哲氏(東京慈恵会医科大学 客員教授)が講演を行った。患者数が1,330万人と推定される慢性腎臓病(CKD)をコモンディジーズと位置付けた上で、CKDによる心血管イベント発生のリスクと関連性を概括し、腎臓を守ることは生命予後の改善になると述べた。そして、心・腎保護作用としてSGLT2阻害薬によるEMPA-REG、CANVAS、DECLARE TIMI 58、CREDENCEの各試験結果を示し、試験内容を説明した。
脳心血管病予防策は40歳からと心得るべき/脳心血管病協議会 日本動脈硬化学会を含む16学会で作成した『脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019』が日本内科学会雑誌第108巻第5号において発表された。2015年に初版が発行されてから4年ぶりの改訂となる今回のリスク管理チャートには、日本動脈硬化学会を含む14学会における最新版のガイドラインが反映されている。この改訂にあたり、2019年5月26日、寺本 民生氏(帝京大学理事・臨床研究センター長)と神﨑 恒一氏(杏林大学医学部高齢医学 教授)が主な改訂ポイントを講演した(脳心血管病協議会主催)。
超加工食品の高摂取で死亡リスク増大/BMJ 超加工食品を1日4サービング以上摂取すると、死亡のハザードが相対的に62%増加し、1日1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加することが、スペイン・ナバラ大学のAnais Rico-Campa氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2019年5月29日号に掲載された。既報の成人を対象とした前向きコホート研究により、超加工食品の摂取は、がん、過敏性腸症候群、肥満、高血圧のハザードの上昇と関連することが知られている。
大動脈弁狭窄症に対する治療の第1選択はTAVIの時代に(解説:上妻謙氏)-1058 超高齢時代を迎え冠動脈疾患、弁膜症、末梢動脈疾患、脳血管疾患などによる心血管イベントは、悪性腫瘍と並んで非常に多い死亡原因となっている。またそれらの疾患の終末像である心不全は、パンデミックといわれるほどの国民病となっており、冬期は救急医療機関が満床となる原因となっている。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は高齢者心不全の原因の1つとなっている大動脈弁狭窄症(AS)に対する根本的介入を行うもので、手術ハイリスク、超高齢者に対する治療としては第1選択となった。海外ではPARTNER 2試験など中等度リスク患者に対するTAVIは死亡、後遺症の残る脳卒中などの重大なイベントにおいて外科手術に対し優れることが示され、ガイドライン上でも中等度リスクまで適応が拡大されていた。