循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:236

原因不明の失神と最新のICMデバイス

 日本メドトロニック株式会社から低侵襲の植え込み型心臓モニタReveal LINQ(リビール リンク)が2016年9月発売された。この機器は、体積比で従来品から87%小型化しており、皮下挿入型長時間心電計(以下、ICM)ともいわれる。原因が特定できない失神と潜在性脳梗塞の診断に適応を持ち、胸部皮下に挿入することで最長3年間の持続的な心電図モニタリングが可能である。また、データの自動的送信機能により遠隔からでも医師がイベントを確認できる。Reveal LINQの発売にあたり開催されたメディアセミナーにて「失神診療への貢献が期待される皮下挿入型心電計」と題し、産業医科大学 不整脈先端治療学 安部治彦氏が講演した。

LG入りヨーグルトがアスピリン誘発小腸傷害を軽減

 アスピリン誘発小腸傷害に対するプロバイオティクスの効果はまだ十分に検討されていない。今回、東海大学の鈴木孝良氏らが実施したプラセボ対照二重盲検比較試験で、ラクトバチルスガセリOLL2716(LG)が、アスピリン誘発小腸傷害の軽減および消化管症状の緩和に有用であることが示された。Digestion誌2017年1月号に掲載。

スタチンが静脈血栓塞栓症を予防~メタ解析

 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症)に対するスタチンの予防効果が示唆されているが、明確なエビデンスはない。英国ブリストル大学のSetor K Kunutsor氏らは観察コホート研究と無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューおよびメタ解析を行ったところ、静脈血栓塞栓症の1次予防にスタチンが有益であることが示唆された。また、スタチンによって効果に差があることも示された。Lancet Haematology誌オンライン版2017年1月12日号に掲載。

減塩政策、世界中で高い費用対効果/BMJ

 政府が基準を設けて推奨する減塩加工食品生産と、国民への減塩喚起キャンペーンを組み合わせた自主的取り組みを促す減塩政策(soft regulation policy)は、世界中で高度な費用対効果をもたらしていることが示された。米国・スタンフォード大学のMichael Webb氏らが、183ヵ国の政策と費用対効果を定量化し明らかにした。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。

ハイリスクな僧帽弁逆流症に対するTMVR―その有効性と安全性

 症候性の僧帽弁逆流症(MR)は罹患率および死亡率が高い。外科的な修復および弁置換術で改善が期待できるにもかかわらず、多くのMR患者は外科手術を受けていない。カテーテルを用いた僧帽弁置換術(Transcatheter mitral valve replacement:TMVR)は、重症のMR患者に対して選択肢となりうると考えられている。St.Vincent’s Hospital(シドニー、オーストラリア)のDavid W.M.Muller氏らによる本研究は、開心術がハイリスクと考えられる自己弁のMR患者に対して、TMVRが有効かつ安全であるかを評価する目的で行われた。Journal of the American College of Cardiology誌2016年12月号の掲載。

ストレスによる心血管疾患発症のメカニズムとは/Lancet

 扁桃体の活性化が心血管疾患の発症と関連し、活性化の増大は心血管疾患イベントの予測因子となる可能性があることが、米国・マサチューセッツ総合病院のAhmed Tawakol氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月11日号に掲載された。慢性的なストレスは心血管疾患の増加と関連し、その寄与リスクは他の主要な心血管リスク因子に匹敵するとされるが、ストレスが心血管イベントに転換するメカニズムはよくわかっていない。認知や情緒のような複雑な機能に関与する脳のネットワークが活性化すると、恐怖やストレスと典型的に関連するホルモン、自律神経系、行動の変容が引き起こされるが、扁桃体はこのネットワークの主要な構成要素と考えられている。

四半世紀で成人の収縮期血圧が上昇、心血管死も増加/JAMA

 2015年において、収縮期血圧(SBP)値が110~115mmHg以上の成人は世界で約35億人、140mmHg以上の成人は8億7,400万人に上ることを、米国・ワシントン大学のMohammad H.Forouzanfar氏らが、世界154ヵ国からの844試験を基に分析を行い明らかにした。SBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、1990~2015年にかけて、10万人当たり約7万3,000人から約8万1,000人へと大幅に増加し、SBP高値に起因する虚血性心疾患や出血性脳卒中などの死亡率も増大したという。JAMA誌2017年1月10日号掲載の報告より。

食生活の改善は医薬品開発よりも効率的に健康寿命を延ばせることがわかった(解説:折笠 秀樹 氏)-635

政府による塩分摂取削減政策の費用対効果は非常に高いことが示された。どういった政策かというと、食品関連企業と塩分削減の約束をすること、その実行状況を政府がモニタリング(監視)すること、そして国民への健康教育をするといった政策である。こうした政策を10年間持続することによって、10%の塩分摂取削減を目標とする。