循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:238

AFの抗凝固療法での骨折リスク、ダビガトランは低減/JAMA

 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の抗凝固療法では、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)がワルファリンに比べ骨粗鬆症による骨折のリスクが低いことが、中国・香港大学のWallis C Y Lau氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年3月21日号に掲載された。ワルファリンは、骨折リスクの増大が確認されているが、代替薬がないとの理由で数十年もの間、当然のように使用されている。一方、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)ダビガトランは、最近の動物実験で骨体積の増加、骨梁間隔の狭小化、骨代謝回転速度の低下をもたらすことが示され、骨粗鬆症性骨折のリスクを低減する可能性が示唆されている。

日本人心房細動患者における左心耳血栓、有病率と薬剤比較:医科歯科大

 心房細動(AF)は、一般的な心臓不整脈であり、血栓塞栓性事象を含む心血管罹患率および死亡率の増加と関連している。東京医科歯科大学の川端 美穂子氏らは、抗凝固療法中に前処置経食道心エコー(TEE)を受けている日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における左心耳(LAA)血栓の有病率を評価し、ワルファリンと直接経口抗凝固薬(DOAC)の有効性の比較を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月7日号の報告。

PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。

PCSK9合成阻害薬、2回投与で半年後にLDL-C半減/NEJM

 前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)遺伝子のメッセンジャーRNAを標的とする低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)であり、肝細胞でのPCSK9の合成を阻害するInclisiranの第II相試験(ORION-1)の中間解析の結果が、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。LDLコレステロール(LDL-C)高値の心血管リスクが高い患者において、6種の投与法をプラセボと比較したところ、すべての投与法でPCSK9値とLDL-C値(180日時、240日時)がベースラインに比べ有意に低下したという。報告を行った英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKausik K Ray氏らは、「肝でのPCSK9 mRNA合成の阻害は、PCSK9を標的とするモノクローナル抗体に代わる治療薬となる可能性があり、注射負担はほぼ確実に軽減されるだろう」と指摘している。

虚血性心筋症の患者へのCRT+ICDの有効性を検討

 非虚血性拡張型心筋症(DCM)の患者は、虚血性心筋症の患者と比較すると心室性不整脈のリスクが少ないかもしれない。さらに、DCMは心臓再同期療法(CRT)が奏効する指標の1つとして知られている。そこで英国のSérgio Barra氏ら研究グループが、心不全患者の1次予防として、CRTに植込み型除細動器(ICD)を追加することの有効性について、大規模研究で検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月号に掲載。

中等度リスクASへのTAVR、自己拡張型デバイスも有用/NEJM

 中等度リスクの重度大動脈弁狭窄症(AS)患者を対象に、外科的大動脈弁置換術(SAVR)と経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の有効性と安全性を比較したSURTAVI試験の結果、TAVRはSAVRに対し非劣性であることが認められた。また、有害事象は両手技で異なるものの、TAVRは中等度リスクの重度AS患者においてもSAVRの代替治療となり得ることが示唆された。米国・メソジスト・ドゥベーキー心臓血管センターのMichael J Reardon氏らが報告した。これまで、外科手術による死亡リスクが高い重度AS患者においては、TAVRがSAVRの代替治療となっていたが、中等度リスク患者での転帰はよく知られていなかった。NEJM誌オンライン版2017年3月17日号掲載の報告。