循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:235

ストレス対策は新たな循環器疾患の予防戦略となりうるか?(解説:有馬 久富 氏)-643

以前より、慢性的なストレスが循環器疾患のリスクを増大させうることが知られていたが、そのメカニズムは長い間不明であった。今回、マサチューセッツ総合病院でFDG-PET検査を受けた293例を平均3.7年間追跡した成績から、慢性ストレスが、扁桃体の活性化、骨髄由来前駆細胞の放出、動脈壁の炎症を経て、循環器疾患のリスクを増大させる可能性が示唆されたとLancet誌に報告された。ストレスから循環器疾患に至るメカニズムが明らかになったことにより、ストレス対策およびストレスから動脈硬化へ至るプロセスへの対策が、循環器疾患の予防戦略となりうることが示唆された。

冠動脈疾患患者における心房細動の危険因子は?

 一般集団における心房細動の危険因子は明らかだが、特定の疾患を持つ患者への影響は不明である。今回、札幌医科大学の村上 直人氏らが、冠動脈疾患(CAD)患者と非CAD患者における心房細動の危険因子を調べた結果、CADの有無により心房細動の主要な危険因子が異なることが示唆された。CAD患者では血清尿酸値高値、非CAD患者ではスタチン非使用で心房細動が発症しやすいことが示された。Open heart誌オンライン版2017年1月16日号に掲載。

NEJM誌は時に政策的、反トランプ的な米国エスタブリッシュメント層を代弁する立ち位置(解説:中川 義久 氏)-641

市販後調査(PMS)は、医薬品や医療機器が販売された後に行われるもので、有効性・安全性の担保を図るために重要なものである。実際の医療現場では、医薬品や医療機器が治験の段階とは異なる状況下で使用されることもあり、治験では得られなかった効果や副作用が発生する可能性がある。しかし、企業のみによるPMSにはさまざまな問題点がある。現在、世界的には産官学の連携による市販後レジストリの構築が重要とされている。よくデザインされた質の高い市販後レジストリによって、迅速な安全対策の実施や患者治療の最適化につながる可能性があるからである。

TAVR患者における左心耳血栓の評価と心臓CTの役割

 心房細動(AF)はTAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)を受ける患者においてよく認められ、心房細動と関連がある左心耳血栓は、周術期の脳梗塞の原因となりうる。TAVRの患者群における左心耳血栓の発生率とその臨床的な影響は報告されていない。また、左心耳血栓を診断するうえでどの画像診断が最適であるかも明確になっていない。そこで、英国のThe James Cook University HospitalのSonny Palmer氏らは、TAVRを受ける患者群において、左心耳の血栓の発生率と臨床的な影響と心臓CTの役割を評価した。JACC Cardiovascular Intervention誌2017年1月号に掲載。

心臓移植非適応患者への新たな左心補助装置の有効性/NEJM

 心臓移植非適応の進行心不全患者において、左心補助装置(LVAD)の新しいタイプ「小型心膜内遠心ポンプ」は、市販既存タイプの「軸流ポンプ」に対し、非劣性であることが示された。米国・デューク大学のJoseph G Rogers氏らが、多施設からの被験者446例を対象に行った無作為化試験で明らかにした。LVADは進行心不全患者の確立した治療法である。研究グループは今回、移植ができない患者に対する新しいデザインの有効性について、後遺症を残した脳卒中や機能不全・不具合によるデバイス除去のない生存を指標に検討した。NEJM誌2017年2月2日号掲載の報告より。

エンパグリフロジンの心血管イベント減少アジア人でも

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:パトリック・ジョンソン)は2017年2月2日、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験のアジア人サブグループ解析の結果が、1月25日Circulation Journalに掲載されたと発表した。

エボロクマブ FOURIER試験のエンドポイント達成か

 アムジェン社(THOUSAND OAKS, カリフォルニア)は2017年2月2日、アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)に対するエボロクマブ(商品名:レパーサ)のイベントリスク抑制を評価するFOURIER(Further Cardiovascular OUtcomes Research with PCSK9 Inhibition in Subjects with Elevated Risk)試験において、複合主要評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症または冠動脈再建術の入院)および副次的評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞または非致死的脳卒中)を達成し、新たな安全性の問題も認められなかった、と発表した。

血管止血デバイスの安全性評価に有用な監視システム/NEJM

 DELTA(Data Extraction and Longitudinal Trend Analysis)と呼ばれる前向き臨床登録データサーベイランスシステムを用いた検証により、血管止血デバイスの1つであるMynxデバイスが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の有害事象増加と関連しており、最初の1年以内で他の血管止血デバイスと有意差がみられることが明らかとなった。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのFrederic S. Resnic氏らが、PCI後の有害事象増加が懸念されているデバイスの安全性モニタリングについて、DELTAシステムを用いた戦略が実現可能かを評価したCathPCI DELTA試験の結果、報告した。これまで、医療機器の市販後の安全性を保証する過程は、有害事象の自主報告に依存しており、安全性の評価と確認が不完全であった。NEJM誌オンライン版2017年1月25日号掲載の報告。

安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。