第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」
人間ドックにおいて、糖尿病の疑いということで精査を勧められていた68歳の男性。
肥満も家族歴もないことから受診していませんでしたが、急な体重減少をきっかけに初めて検査を受けたところ、A1Cが13.7%と、急激に上昇していることが判明。
高血糖の要因は、I型II型糖尿病以外にも、膵炎、膵がん、ヘモクロマトーシス、Cushing症候群、先端肥大症、PCOSなどさまざまなものがあります。
本症例の患者さんは、急な体重減少もあることから膵臓のCTを撮影したところ、膵がんが発見されました。血糖の悪化が膵がん発見のきっかけになり、膵がんが糖尿病治療のきっかけになったという例を通して、糖尿病の裏に隠れている内分泌系の異常をどのようにして見抜くか、そしてその対応について解説します。
第5回「ただ風邪といっても」
もともと健康な21歳の女子大生。
発熱、咽頭痛など、感染症の症状を呈したため近医で受診しました。数種類の抗菌薬を処方されましたが改善せず、ついには意識低下で救急コール。
糖尿病の既往のある78歳の男性。
家族が訪ねて行ったら、すでに意識がなく倒れていた。
いずれも意識障害が出る危険な状態ですが、その裏には糖尿病がありました。
意識障害の鑑別AIUEO tipsから始まって、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、遷延性の低血糖による意識障害など、難度の高い診断について解説します。
第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」
最終回は、高血圧の裏に隠れた内分泌疾患を紹介します。
10年間高血圧があるも、降圧薬が効かない60歳女性。
特に目立った所見はないものの、低Kから原発性アルドステロン症をつきとめました。
内分泌性高血圧もさまざまなものがありますが、まずは患者をよく観察することがポイントです。たとえば、「クッシング症候群」ではにきび、肥満、多毛、「アクロメガリー」では大きな鼻顎手足、「腎血管性高血圧」では腎周囲の血管雑音など。その後、症状によって、所定の検査をおこなうことで診断します。
ともすれば、見逃して放置されてしまう可能性もある内分泌性高血圧を、具体的な症例を呈示して解説します。