お知らせがあります

2024/07/10
7月10日より「Web講演会」「CARENQ」の送信元メールアドレスを変更いたしました。
■変更前:seminar@carenet.co.jp、enquete@carenet.co.jp
■変更後:seminar@www.carenet.com、enquete@www.carenet.com
メールアドレスまたはドメインによる受信拒否や振り分けなどを設定されている方は、設定の変更をお願いいたします。

サイト内検索|page:20

検索結果 合計:432件 表示位置:381 - 400

381.

STEMI患者、エビデンス治療の導入率増加に伴い死亡率低下

1996~2007年にかけて、ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者に対するエビデンスに基づく治療の導入率が上がるに従い、院内死亡率や30日・1年死亡率が低下していたことが明らかにされた。スウェーデン・カロリンスカ大学病院循環器部門のTomas Jernberg氏らが、同期間にSTEMIの診断を受け治療・転帰などを追跡された「RIKS-HIA」研究登録患者6万人超について調査し明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月27日号で発表した。エビデンスベースやガイドライン推奨の新しい治療の実施状況や実生活レベルへの回復生存との関連についての情報は限られている。再灌流、PCI、血行再建術の実施率、いずれも増大研究グループは、1つの国で12年間以上追跡された連続患者の新しい治療導入率と短期・長期生存との関連を明らかにすることを目的に、1996~2007年にかけて、スウェーデンの病院で初めてSTEMIの診断を受け、基線特徴、治療、アウトカムについて記録された「RIKS-HIA(Register of Information and Knowledge about Swedish Heart Intensive Care Admission)」の参加者6万1,238人について、薬物療法、侵襲性処置、死亡の割合を推定し評価した。被験者の年齢中央値は、1996~1997年の71歳から、2006~2007年の69歳へと徐々に若年化していた。男女比は試験期間中を通じて有意な変化はなく、女性が34~35%であった。エビデンスベースの治療導入率は、再灌流が66%から79%へ、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が12%から61%へ、血行再建術は10%から84%へと、いずれも有意に増加した(いずれもp<0.001)。スタチンやACEなどの薬剤投与率も増大、死亡率は院内・30日・1年ともに低下薬剤投与についても、アスピリン、クロピドグレル、β遮断薬、スタチン、ACE阻害薬の投与率がいずれも増加していた。具体的には、クロピドグレルは0%から82%へ、スタチンは23%から83%へ、ACE阻害薬もしくはARBは39%から69%へと、それぞれ投与率が増加した(いずれもp<0.001)。同期間の推定死亡率についてみてみると、院内死亡率は12.5%から7.2%へ、30日死亡率は15.0%から8.6%へ、1年死亡率は21.0%から13.3%へと、それぞれ有意な低下が認められた(いずれもp<0.001)。補正後、長期にわたる標準死亡率の一貫した低下傾向も認められ、12年生存解析の結果、死亡率は経年的に低下していることが確認された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

382.

中等症~最重症COPD患者の増悪予防に有効なのは?

中等症~最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の増悪予防には、LABA(長時間作用性β2刺激薬)のサルメテロール(商品名:セレベント)よりも、長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウム(商品名:スピリーバ)のほうが有効であることが、7,300例超を対象とした1年間の無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験の結果示された。COPD治療ガイドラインでは、同患者の症状軽減と増悪リスク低下に対して長時間作用性の吸入気管支拡張薬が推奨されているが、LABAもしくは長時間作用性抗コリン薬のいずれが推奨されるかは明らかではない。ドイツ・Giessen and Marburg大学病院Claus Vogelmeier氏ら「POET-COPD」研究グループは、長時間作用性抗コリン薬がLABAよりも優れているのかどうかを検討するため、25ヵ国725施設共同で本試験を行った。NEJM誌2011年3月24日号掲載より。チオトロピウム群とサルメテロール群に無作為化、初回増悪発生までの期間を主要エンドポイントに試験は、中等症~最重症COPD(40歳以上、喫煙10箱・年以上、GOLD II~IVなど)で前年に増悪の既往がある患者を対象とし、無作為に、チオトロピウム18μg・1日1回投与群もしくはサルメテロール50μg・1日2回投与群に割り付け、中等度~重度の増悪発作に対する治療効果を比較した。主要エンドポイントは、初回増悪発生までの期間とした。被験者は2008年1月から2009年4月の間、計7,376例(チオトロピウム群3,707例、サルメテロール群3,669例)が登録された。基線での両群被験者の特徴は均衡しており、おおよそ75%が男性、平均年齢63歳、現喫煙者48%、COPD歴8年などだった。チオトロピウム群のほうが42日間遅く、17%のリスク低下結果、初回増悪発生までの期間は、チオトロピウム群187日、サルメテロール群145日で、チオトロピウム群の方が42日間遅く、17%のリスク低下が認められた(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.77~0.90、P<0.001)。またチオトロピウム群のほうが、初回重度増悪の初回発生までの期間も延長(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.61~0.85、P<0.001)、中等度または重度増悪の年間発生回数の減少(0.64対0.72、発生率比:0.89、95%信頼区間:0.83~0.96、P=0.002)、重度増悪の年間発生回数の減少(0.09対0.13、発生率比:0.73、95%信頼区間:0.66~0.82、P<0.001)も認められた。なお重篤な有害事象、治療中止となった有害事象の発現率は、総じて両群で同程度だった。死亡例は、チオトロピウム群64例(1.7%)、サルメテロール群78例(2.1%)だった。(武藤まき:医療ライター)

383.

心房細動患者に対するイルベサルタンの効果の検討

心房細動患者に対するARB・イルベサルタン(商品名:アバプロ、イルベタン)の効果について、カナダ・マクマスター大学のYusuf S氏ら「ACTIVE I」研究チームによる無作為化プラセボ対照試験の結果が報告された。心房細動患者では心血管疾患イベントリスクが高い。イルベサルタンが同リスクを抑制するかどうかが検討された。NEJM誌2011年3月10日号掲載より。9,016例をイルベサルタンかプラセボに無作為化、平均4.1年追跡ACTIVE I(Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular Events I)は、脳卒中の危険因子既往があり収縮期血圧110mmHg以上の患者を、イルベサルタン300mg/日目標用量群か二重盲検でプラセボ群に投与する群に無作為に割り付け行われた。被験者はすでに、2試験のうちの1つ〔クロピドグレル(商品名:プラビックス)+アスピリン対アスピリン単独試験または経口抗凝固薬試験〕に登録されていた。第一主要複合アウトカムは、脳卒中・心筋梗塞・血管系が原因の死亡で、第二主要複合アウトカムは、これらに心不全による入院を加えたものとされた。9,016例が登録され、平均4.1年追跡された。第一主要複合アウトカムの発生率、両群とも100人・年当たり5.4%結果、イルベサルタン群がプラセボ群よりも収縮期血圧の平均低下が2.9mmHg大きかった。また拡張期血圧の平均低下は1.9mmHg大きかった。第一主要複合アウトカムの発生率は、両群とも100人・年当たり5.4%だった(イルベサルタンのハザード比:0.99、95%信頼区間:0.91~1.08、P=0.85)。第二主要複合アウトカムの発生率は、100人・年当たりイルベサルタン群7.3%、プラセボ群7.7%だった(同:0.94、0.87~1.02、P=0.12)。心不全による初回入院率(事前に副次アウトカムとして規定)は、イルベサルタン群2.7%、プラセボ群3.2%だった(同:0.86、0.76~0.98、P=0.02)。基線で洞調律だった患者では、心不全による入院、12誘導心電図上の心房細動の予防におけるイルベサルタンのベネフィットは認められなかった。また電話モニタリングを受けたサブグループにおいてもベネフィットは認められなかった。一方イルベサルタン群は、プラセボ群と比較して症候性低血圧(127例対64例)、腎機能障害(43例対24例)がより多く認められた。研究グループは、「心房細動患者に対するイルベサルタンは、心血管疾患イベントを抑制しなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

384.

外傷患者の3年死亡率は16%、病院から高度看護施設への退院で死亡リスク増大

米国の病院に外傷で入院した患者の3年死亡率は16%で、退院後に高度看護施設(skilled nursing facility)に入所した人においては、年齢にかかわらず死亡リスクが増大することが示されたという。米国・ワシントン大学外科部門Harborview外傷予防研究センターのGiana H. Davidson氏らが、12万超の成人外傷患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月9日号で発表した。院内死亡率は約3ポイント減だが、長期死亡率は2.7ポイント増研究グループは、ワシントン州外傷患者レジストリを基に、1995年1月~2008年12月にかけて、州内78ヵ所の病院に外傷で入院した、18歳以上の患者12万4,421人について、後ろ向きにコホート試験を行った。Kaplan-Meier法とCox比例ハザードモデル法を使って、退院後の長期死亡率について分析を行った。被験者のうち男性は58.6%、平均年齢は53.2歳(標準偏差:23)だった。外傷重症度スコアの平均値は10.9(標準偏差:10)だった。結果、被験者のうち、入院中に死亡したのは7,243人、退院後に死亡したのは2万1,045人だった。外傷後3年の累積死亡率は16%(95%信頼区間:15.8~16.2)だった。院内死亡率については、調査期間の14年間で8%から4.9%へと減少したものの、長期死亡率は4.7%から7.4%へと増加していた。退院後に高度看護施設に入所した患者、長期死亡リスクが1.4~2.0倍に交絡因子について補正後、高齢で、退院後に高度看護施設に入所した人が、最も死亡リスクが高かった。また年齢を問わず退院後に高度看護施設に入所した人は死亡リスクが高く、入所しなかった人に対する補正後ハザード比は、18~30歳が1.41(95%信頼区間:0.72~2.76)、31~45歳が1.92(同:1.36~2.73)、46~55歳が2.02(同:1.39~2.93)、56~65歳が1.93(同:1.40~2.64)、66~75歳が1.49(同:1.14~1.94)、76~80歳が1.54(同:1.27~1.87)、80歳超が1.38(同:1.09~1.74)だった。その他、退院後死亡のリスク因子として有意であったのは、最大頭部外傷の略式傷害尺度(AIS)スコア(ハザード比:1.20、同:1.13~1.26)、傷害の原因が転倒によるもの(同:1.43、同:1.30~1.58)、またメディケア加入者(同:1.28、1.15~1.43)、政府系保険加入者(同:1.65、1.47~1.85)だった。一方、外傷重症度スコア(同:0.98、0.97~0.98)、機能的自立度評価表(FIM、同:0.89、0.88~0.91)なども有意な予測因子だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

385.

ARBカンデサルタン、急性脳卒中への有用性:SCAST試験

血圧の上昇を伴う脳卒中患者における、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン(商品名:ブロプレス)の有用性について、ノルウェー・オスロ大学のElse Charlotte Sandset氏らが実施したSCAST試験の結果が報告された。血圧の上昇は、急性脳卒中の一般的な原因であり、不良な予後のリスクを増大させる要因である。ARBは梗塞サイズや神経学的機能に良好な効果を及ぼすことが基礎研究で示され、高血圧を伴う急性脳卒中患者を対象としたACCESS試験では、カンデサルタンの発症後1週間投与により予後の改善が得られることが示唆されていた。Lancet誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月11日号)掲載の報告。1週間漸増投与の有用性を評価SCAST試験の研究グループは、血圧上昇を伴う急性脳卒中患者に対するカンデサルタンを用いた慎重な降圧治療の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。北ヨーロッパ9ヵ国146施設から、18歳以上、症状発現後30時間以内、収縮期血圧≧140mmHgの急性脳卒中(虚血性あるいは出血性)患者が登録された。これらの患者が、カンデサルタン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、7日間の治療を受けた。第1日に4mgを、第2日に8mgを投与し、第3~7日には16mgが投与された。患者と担当医には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、血管に関する複合エンドポイント(6ヵ月以内の血管死、心筋梗塞、脳卒中)および機能アウトカム(6ヵ月の時点において修正Rankinスケールで評価)とし、intention-to-treat解析を行った。主要評価項目に大きな差は認められず2,029例が登録され、カンデサルタン群に1,017例、プラセボ群には1,012例が割り付けられた。そのうち6ヵ月後に評価が可能であったのは2,004例(99%、カンデサルタン群:1,000例、プラセボ群:1,004例)であった。7日間の治療期間中の平均血圧は、カンデサルタン群[147/82mmHg(SD 23/14)]がプラセボ群[152/84mmHg(SD 22/14)]よりも有意に低下した(p<0.0001)。6ヵ月後のフォローアップの時点における複合エンドポイントの発生率は、カンデサルタン群が12%(120/1,000例)、プラセボ群は11%(111/1,004例)であり、両群間に差を認めなかった(調整ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.84~1.41、p=0.52)。機能アウトカムの解析では、不良な予後のリスクはカンデサルタン群のほうが高い可能性が示唆された(調整オッズ比:1.17、95%信頼区間:1.00~1.38、p=0.048)。事前に規定された有用性に関する副次的評価項目(全死亡、血管死、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、心筋梗塞、脳卒中の進行、症候性低血圧、腎不全など)や、治療7日目のScandinavian Stroke Scaleスコアおよび6ヵ月後のBarthel indexで評価した予後はいずれも両群で同等であり、事前に規定されたサブグループのうちカンデサルタンの有用性に関するエビデンスが得られた特定の群は一つもなかった。6ヵ月のフォローアップ期間中に、症候性低血圧がカンデサルタン群の9例(1%)、プラセボ群の5例(<1%)に認められ、腎不全がそれぞれ18例(2%)、13例(1%)にみられた。この結果から、血圧の上昇を伴う急性脳卒中患者においては、ARBであるカンデサルタンを用いて慎重に行った降圧治療は有用であることを示すことはできなかった。

386.

カンデサルタン vs. ロサルタンの心不全患者死亡リスク

心不全患者に対する、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタン(商品名:ブロプレス)投与は、同じくARBのロサルタン(商品名:ニューロタン)投与と比べ、死亡リスクが0.7倍と低いことが示された。これまでの研究結果から左室駆出率が低下した心不全患者へのARB投与は、死亡・入院リスクを低減することは知られているものの、ARB同士で、その効果を直接比較した試験はこれが初めてという。スウェーデン、ストックホルムSouth Hospital循環器部門のMaria Eklind-Cervenka氏らが、5,000人超の心不全患者について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月12日号で発表した。カンデサルタンまたはロサルタン服用の5,139人を追跡研究グループは、2000~2009年に、スウェーデンの心不全患者レジストリ「Swedish Heart Failure Registry」に登録された3万254人のうち、カンデサルタンまたはロサルタンを服用する5,139人について追跡した。カンデサルタンを服用していたのは2,639人、ロサルタンを服用していたのは2,500人だった。被験者の平均年齢は74歳(SD 11)で、うち39%が女性だった。2009年12月14日まで追跡し、両群の1年・5年の総死亡率について比較した。死亡リスク、カンデサルタン群がロサルタン群の0.7倍1年生存率は、カンデサルタン群が90%(95%信頼区間:89~91)に対しロサルタン群が83%(同:81~84)、5年生存率はカンデサルタン群61%(同:54~68)に対しロサルタン群が44%(同:41~48)であった(ログランク検定P<0.001)。プロペンシティ・スコア補正後の多変量解析の結果、ロサルタン群のカンデサルタン群に対する死亡ハザード比は1.43(同:1.23~1.65、P<0.001)であった。逆に、カンデサルタン群のロサルタン群に対する同ハザード比は0.70だった。結果は、層別解析でも変わらなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

387.

今後の心房細動治療はシンプルになる

 2010年12月7日、「変わる!!心房細動治療」をタイトルとしたプレスセミナーが開催された。演者は、財団法人心臓血管研究所常務理事(研究本部長)の山下武志氏。 このプレスセミナーにおいて、山下氏は、心房細動治療における「CHANGE」と「SIMPLE」を強調した。その内容をレポートする。患者と治療ツールの変化 今後の心房細動治療を考える中で、まず、患者側の変化を考えなければならない。ここ30年の間に患者数は増加し、背景因子も多様化した。その結果、心房細動を原因とする心原性脳塞栓症の発症が増加した。久山町研究では、第一集団(1961-1973年)に比べ、第三集団(1988-2000年)では、ラクナ梗塞は約0.8倍、アテローム血栓性脳梗塞では約1.3倍、心原性脳塞栓症では約2.3倍と報告されており、いかに心原性脳塞栓症が増加してしまったかがわかる。 次に、治療ツールにも変化が起こった。新しい抗不整脈薬が次々に開発されたのである。それは、新たな分類としてSicilian Gambit分類が生まれるほどであった。また、これまでの単純な電気生理学から、より広範な理論構築が行われるようになった。 その結果、21世紀の心房細動治療では、患者ごとに最適の治療を行う「個別化診療」という複雑な診療が模索され始めた。しかし、その裏で、誰がその複雑な診療を担うのか、それほど複雑化する必要があるのか、どういう形で患者の役に立ちたいのか、といった疑問も生じてきた。エビデンスが変えた治療戦略 「疾患を病態生理から理解する」ことと、「疾患を病態整理から治療する」ことは違う。現在の知識レベルは、疾患の病態整理をすべて網羅しているわけではないため、妥当だと思われる治療を行っても、それが必ずしも臨床的メリットにつながるとは限らない。臨床的メリットにつながっているかを検証するのが臨床試験である。 例えば、有名なCAST試験では、心筋梗塞後の心室性不整脈を有する患者に心室性不整脈薬を投与すると、死亡率が増加することが示された。 AFFIRM試験では、心房細動症例に対してリズムコントールを行った群とレートコントロールを行った群での死亡率に変化はなかった。これは日本人のみを対象としたJ-RHYTHM試験でも同様の結果が示されている。 ACTIVE-W試験では、脳卒中の危険因子を有する心房細動患者にクロピドグレル+アスピリンを投与した群は、ワルファリン投与群に比べ、脳心血管疾患の発症抑制という点で劣ることが示された。日本人を対象としたJAST試験でも、抗血小板薬による治療が無投薬群と有意な差がないことが示された。 さらに、心房細動の再発抑制を一次エンドポイントとしたGISSI-AF試験では、心房細動既往例において通常治療にARBを追加投与しても、心房細動の再発を抑制できなかったと報告された。同様に、CCB群とARB群で心房細動の発症抑制を比較検討したJ-RHYTHM IIでも、ARBがCCBに比べて心房細動の発症を抑制することは認められなかった。 これらの心房細動に関連したエビデンスを受け、ある二つの概念が重要視されてきた。それは、「“心房細動”から、心房細動を有する“患者さん”へ」「“複雑”から“シンプル”へ」という二つの概念である。今後の心房細動治療は3ステップで考える 今後の心房細動は、3つのステップで考えるべきである。その3つとは「命を護る」「脳を護る」「生活を護る」の3つで、むしろ、他のステップや考えは必要ない。実際、2010年のESCから発表された心房細動ガイドラインは、従来に比べ、驚くほどシンプルな内容になっている。(1)命を護る 心房細動患者の生命予後は、心房細動の背景因子により規定されており、これはすべての試験で共通した結果である。つまり、患者の生命予後を是正するには、一度心房細動の存在を頭から解き放ち、患者の背景因子を再確認して、それを改善すれば良い。(2)脳を護る 心房細動患者において、脳を守るツールは現在のところワルファリンのみである。ワルファリンの投与対象患者は、CHADS2スコアを用いればすぐに割り出すことができる。(3)生活を護る 患者のQOLを向上させる必要があれば、洞調率維持を目指す。唯一残された「複雑」も「シンプル」に 唯一残された「複雑」はワルファリンである。ワルファリンは説明事項、注意事項といった制約が多く、医師からみても、患者から見ても複雑である。しかし、新しい抗凝固薬の登場により大きく緩和されると予想されている。 新しい抗凝固薬は、ワルファリンと異なり、薬物相互作用、食事制限の必要性、血中濃度の測定の必要がなく、誰もがわかりやすい薬剤である。また、脳卒中の発症予防効果は、ワルファリンに対する非劣性を示した。 最後に山下氏は、「心房細動の治療は、今後、“心房細動”から、心房細動を有する“患者さん”へ、さらに、“複雑”から“シンプル”へと変化し、誰でも同じ治療が行えるようになる。心房細動治療が激変する時は、もうすぐそこまで来ている」と結んだ。

388.

高血圧2010 第1回 減塩 2010 (1)患者さんの食塩摂取量を知る

第33回日本高血圧学会総会が10月15~17日に開催された。前回の開催以降、高血圧の領域では、レニン阻害薬、 ARBとCa拮抗薬の配合剤が発売され、これら薬剤の処方のあり方が話題になりがちではあり、本総会でもそれらを主眼としたセッションが開かれた。それらは他の情報ソースに任せるとして、ケアネットでは前回の総会が開催された 2009年10月からこの1年の間に影響力が大きい研究結果が発表された「減塩」「微量アルブミン尿」「降圧目標」の3つにテーマを絞り、学会での発表内容とこの1年間のトピックスをシリーズで採り上げたいと思う。第1回、第2回は「減塩」を採り上げる。現状:「1日6g以下」の減塩を指示している医師は3割未満 ―第33回日本高血圧学会総会より―久留米大学心臓・血管内科の甲斐久史氏らは「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」が実地医家における有用度および診療実態に関するアンケート調査結果を発表した。対象は福岡県内科医会と佐賀県医師会内科医部会の会員2,415 名に郵送し、896名から回答を得た(回答率37.1%)。1日の食塩摂取量をどのくらいに指導しているかという質問に対して、 JSH2009で推奨している「6g以下」と回答したのは30%未満であったの対し、「7g以下」が約17% 、「10g以下」が約16% 、「指示していない」が約23%にのぼった。+5g/日の食塩摂取により脳卒中が23%増える ―BMJ誌2009年12月5日号より―減塩の重要性を支持する新しい知見が昨年12月に得られた。この報告によると、塩分摂取量が多い群は、少ない群よりも脳卒中のリスクが有意に高く(相対リスク:1.23、95% 信頼区間:1.06-1.43 、p=0.007)、心血管疾患のリスクは有意差がないものの高い傾向がみられた(相対リスク:1.14 、95% 信頼区間:0.99-1.32 、p=0.07)。これは過去 40年に実施されたプロスペクティブ試験13件、19コホートをメタ解析し、17万7,025人(正常血圧者も含む、87,809 名は日本人)のデータから得られた結果で、1日の塩分摂取量が 5g多いと脳卒中のリスクが23%、心血管疾患のリスクが17%高まることを示した。弊社が実施したアンケートにおいても高血圧診療における減塩に関する重要度は他の生活習慣修正に比べて群を抜いて高い。高血圧診療において減塩が重要であると認識されているにもかかわらず、減塩指導が難しいのはなぜか。減塩指導の第一歩である食塩摂取量の評価にその一因がある。実際に患者さんの食塩摂取量を把握するのに難渋している先生方も多いと思われる。本総会でも、より簡便に、それであって正確に食塩摂取量を評価する方法について発表された。起床後第2尿は、24時間蓄尿に近い信頼性で食塩摂取量を評価できる ―第33回日本高血圧学会総会ポスター発表より―岩手県立中央病院の大本晃弘氏は、起床から臥位にならずに採取した「起床後第2尿」が簡便かつ「24時間蓄尿」に近い信頼性が得られることはすでに報告されているが、「随時尿」では食塩摂取量を過少評価することを発表した。減塩下における男性(n=53)の食塩摂取量を「24時間蓄尿」「起床後第2尿」「随時尿」によって評価したところ、それぞれ6.6±1.5g、6.2±1.7g、5.6±1.5gであり、随時尿による評価は24時間蓄尿に比べ、有意に低く評価された。女性では有意差が認められなかった。次に男性高血圧患者(n=22)において高食塩食を摂取した期間の「24時間蓄尿」「起床後第2尿」「随時尿」によって食塩摂取量を評価したところ、15.7±2.1g、16.2±2.3g、11.3±1.3gであった。これらの結果から、随時尿は24時間蓄尿に比べ、有意に低く評価し、特に高食塩摂取下では過小評価の程度が著しいことを示した。高血圧患者では正常血圧者より減塩モニタによる食塩排泄量が高値 ―第33回日本高血圧学会総会ポスター発表より―減塩モニタは、夜間尿(約8時間相当)の食塩量を電動法を用いて測定し、そこから24時間食塩排泄量を推定する。すでに減塩モニタを用いた自己測定が簡便かつ信頼性が高いことが報告されている。国立病院機構の今泉悠希氏は、減塩モニタを用いた自己測定によって高血圧患者、正常血圧者の食塩排泄量を家庭での自己測定により、30日間の平均値を比較検討した。その結果、高血圧患者の30日間平均食塩排泄量は9.1g/日と、正常血圧者の8.3g/日より高かった。特に肥満高血圧では9.6g/日と高く、非肥満群では8.1g/日と正常血圧者と同程度であり、肥満高血圧患者における減塩指導戦略の構築の必要性を訴えた。日本高血圧学会 減塩ワーキンググループの報告では、食塩摂取量の各評価法について信頼性と簡便性を比較しているが、「起床後第2尿」は、簡便性がやや劣るものの、信頼性はやや優れると評価し、「減塩モニタ」は、信頼性がやや劣るものの、簡便性が優れると評価している。診療現場で食塩摂取量を評価する目的は、正確性よりむしろ患者に減塩を継続しようという意識をもってもらうことであり、種々の評価法の特徴を把握し、診療現場に合わせて選択することが薦められている。では、減塩指導の方法についてどのような試みがみられているのだろうか。 次回は、減塩に対する試みの成果をレポートする。(ケアネット 藤原 健次)

389.

開発中の抗癌(がん)剤BIBF 1120およびBIBW 2992の臨床開発プログラムを更に拡大

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は12月17日(現地時間)、臨床開発の後期段階にある2つの抗癌(がん)剤のうちBIBF 1120で、進行卵巣癌を対象とした第III相試験(LUME-Ovar-1試験)を開始すると発表した。本試験では、新規経口血管新生阻害剤BIBF 1120 またはプラセボを標準化学療法に併用した場合の有効性・安全性を比較検討するとのこと。LUME-Ovar-1試験(AGO-OVAR12)は、ドイツの研究グループAGO(AGO: Arbeitsgemeinschaft Gynaekologische Onkologie)が主導する国際コンソーシアムとベーリンガーインゲルハイムの共同研究。BIBF 1120(海外での予定製品名VargatefTM)は、腫瘍の増殖と拡大に必要な血管新生に関与する3つの受容体を同時に阻害する新規経口薬剤。血管新生は、すべての固形腫瘍の増殖で重要な役割を果たしていることから、現在、BIBF 1120では非小細胞肺癌(NSCLC)、大腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)などの一連の固形癌を対象として有用性が検討されているという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9976

390.

HPV-16/18ワクチンの子宮頸がん長期予防効果を確認

HPV-16/18 AS04アジュバントワクチン(商品名:サーバリックス)の接種により、6年以上が経過しても子宮頸がん発生に対する良好な予防効果が持続することが、カナダAlberta大学のBarbara Romanowski氏らが実施したフォローアップ試験で確認された。子宮頸がんは女性の悪性腫瘍のうち世界で2番目に頻度が高く、2002年にはほぼ50万人が新たに診断を受け約27万人が死亡しているが、その多くが開発途上国の女性だという。2001年に始まった本ワクチンの有効性に関する主試験の成果がすでに報告され、2003年に開始された長期フォローアップ試験についても2度の中間解析の結果が発表されている。なお、本ワクチンは日本でも2009年10月に承認を受けている。Lancet誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月3日号)掲載の報告。6.4年のフォローアップ試験と主試験の解析研究グループは、HPV-16/18 AS04アジュバントワクチンの有効性、免疫原性、安全性について評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験の接種後6.4年におけるフォローアップデータの解析を行った。スクリーニング時にHPV-16/18血清反応陰性、発がん性HPV DNA(14タイプ)陰性で細胞診が正常と診断された15~25歳の女性が、ワクチン接種群(560人)あるいはプラセボ群(553人)に無作為に割り付けられた。フォローアップ試験には3ヵ国27施設から登録された776人(ワクチン群393人、プラセボ群383人)が参加した。HPV DNA検査用の子宮頸部検体は6ヵ月毎に採取された。細胞診で異常所見を認めた場合の管理法は事前に規定され、HPV-16/18抗体力価の検査が行われた。HPV-16、HPV-18あるいは両方の子宮頸部感染に対するワクチンの長期的な予防効果について評価した。6.4年の時点におけるフォローアップ試験とともに、主試験の解析も行った。主要評価項目である有効性に関してaccording-to-protocol(ATP)解析を行い、grade 2以上の子宮頸部上皮内がん(CIN2+)については全ワクチン接種者(TVC)を対象に解析を行った。接種後6.4年の予防効果は95.3%、抗体濃度は自然感染の12倍以上を維持主試験とフォローアップ試験の統合解析ではワクチン群465人とプラセボ群454人についてATP解析を行い、TVC解析の対象となったのはそれぞれ560人、553人であった。HPV-16/18感染に対するワクチンの予防効果は95.3%であり、12ヵ月持続感染の予防効果は100%であった。CIN2+の予防効果は、HPV-16/18関連病変については100%、HPV DNA非検出病変では71.9%であった。HPVに自然感染した女性は新たに同型のHPVに感染しやすい状態が続くが、これは自然感染後の抗体濃度がHPVの予防には十分でないためとされる。今回、ELISA法で測定したところ、ワクチンで誘導された抗体濃度は、HPV-16、HPV-18ともに自然感染による抗体濃度の12倍以上が維持されていた。安全性のアウトカムは両群で同等であり、フォローアップ試験中に重篤な有害事象を発現したのはワクチン群が8%(30/373人)、プラセボ群は10%(37/369人)であった。そのうちワクチン接種に関連、あるいはその可能性があると判定されたものはなく、死亡者も認めなかった。著者は、「HPV-16/18 AS04アジュバントワクチンは、接種後6.4年が経過しても極めて良好な長期的有効性を示すとともに高い免疫原性が持続し、良好な安全性が確認された」と結論し、「本ワクチンはHPV DNAが検出されない病変やHPV-31、HPV-45の予防効果をも併せ持つことが確認された。今回のデータからは、HPV-16/18の予防効果はさらに長期にわたって持続すると予測される」としている。(菅野守:医学ライター)

391.

高用量ARBが、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者の臨床転帰を改善:HEAAL試験

 高用量のロサルタン(商品名:ニューロタン)は低用量に比べ、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者において心不全による入院率および死亡率を有意に低減させることが、アメリカTufts大学医学部Tufts医療センターのMarvin A Konstam氏らが実施した無作為化試験(HEAAL試験)により明らかとなった。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、ACE阻害薬併用の有無にかかわらず心不全患者の合併症発生率や死亡率を低減し、左室駆出率(LVEF)を改善することが示されているが、これらの臨床試験は1種類の用量の評価にすぎないため、種々の用量のレジメンのうちの至適用量や相対的なリスク/ベネフィットのプロフィールの指針とはならないという。心不全患者に対するARB治療では、高血圧治療に使用される通常用量よりも高用量のほうが臨床転帰は改善される可能性が指摘されていた。Lancet誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月17日号)掲載の報告。ロサルタンの高用量と低用量を比較する二重盲検試験 HEAAL試験の研究グループは、ARBの一つであるロサルタンを用い、心不全患者の臨床転帰の改善効果は高用量と低用量のいずれが優れるかを検討する二重盲検無作為化試験を実施した。 2001年11月~2005年3月までに、30ヵ国255施設からNYHAクラスII~IV、LVEF<40%で、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者3,846例が登録された。これらの患者が、ロサルタン150mg/日を投与する群(1,927例)あるいは50mg/日を投与する群(1,919例)に無作為に割り付けられた。 無作為割り付けの際に、施設およびβ遮断薬の併用の有無で層別化が行われ、患者、医師ともに割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は死亡および心不全による入院の複合エンドポイントとした。高用量群で死亡および心不全による入院が有意に低減、ARB漸増法は有用 両群とも、データの質の不良により6例ずつが除外された。フォローアップ期間中央値4.7年の時点で、死亡および心不全による入院の割合は50mg群の46%(889/1,913例)に対し、150mg群は43%(828/1,921例)と有意に低減した(ハザード比:0.90、p=0.027)。 主要評価項目の2つの構成因子のうち、死亡については有意な差はなかった[150mg群:33%(635/1,921例) vs. 35%(665/1,913例)、ハザード比:0.94、p=0.24]が、心不全による入院は高用量群が低用量群よりも有意に優れた[150mg群:23%(450/1,921例) vs. 26%(503/1,913例)、ハザード比:0.87、p=0.025]。 Kaplan-Meier法による主要評価項目の累積発現率は、150mg群では1年後11.7%、2年後21.4%、3年後28.9%、4年後35.7%であり、50mg群はそれぞれ13.3%、24.4%、31.5%、38.9%と推移した(ハザード比:0.90、p=0.027)。サブグループ解析では、高血圧の既往歴のない心不全患者では、高用量群が低用量群よりも有意に臨床転帰が優れた(p=0.01)。 高用量群で、腎不全(150mg群:454例 vs. 50mg群:317例)、低血圧(203例 vs. 145例)、高カリウム血症(195例 vs. 131例)が多く見られたが、これらの有害事象によって高用量群の治療中止例が有意に増加することはなかった。 著者は、「ロサルタン150mg/日は、50mg/日に比べACE阻害薬不耐容の心不全患者の死亡および心不全による入院の割合を有意に低減した」と結論し、「これらの知見は、臨床的ベネフィットがもたらされるまでARBを漸増する方法の有用性を示す」と指摘している。

392.

スタチン併用療法ではniacinがエゼチミブを凌駕

スタチン単独療法患者の脂質プロファイルを改善する併用療法としては、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールを高める併用療法と、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させる併用療法の2つがある。ウオルター・リード米軍医療センターのAllen J. Taylor氏らの研究グループは、それぞれの併用療法の臨床効果を比較した有効性比較試験ARBITER-6 HALTSの結果について発表した。NEJM誌2009年11月26日号(オンライン版2009年11月16日号)より。スタチン単独療法患者を、niacin併用群とエゼチミブ併用群に無作為割り付けARBITER-6 HALTSは前向き無作為化平行群オープンラベル試験で行われた。冠疾患または同等の冠疾患リスクがあり、長期間スタチン療法を受けていて、LDLコレステロール値が100mg/dL(2.6mmol/L)以下、かつ、HDLコレステロール・レベルが男性は50mg/dL未満、女性は55mg/dL未満(男女各1.3、1.4mmol/L)を達成していた患者が登録された。被験者は、徐放性製剤niacin(目標:2,000mg/日)またはエゼチミブ(10mg/日)(商品名:ゼチーア錠)を併用投与するようランダムに割り付けられた。主要評価項目は、14ヵ月後の平均総頸動脈内膜中膜厚の基線からの変化とした。試験は、208例が試験を完了した時点で実施された解析で有効性が認められ、早期終了されている。平均・最大頸動脈内膜中膜厚ともniacin群で有意に低下14ヵ月の追跡期間中、niacin群の平均HDLコレステロール値は、18.4%増え50mg/dLとなった(P

393.

アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス欧州委員会より追加適応の承認を取得

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は27日(現地時間)、欧州委員会より、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)が、「I.アテローム性動脈硬化性疾患(冠動脈心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症)または II.臓器障害を合併する2型糖尿病 を有する患者での心血管疾患発現リスクの減少」の追加適応を承認されたと発表した。今回の承認は、臨床試験ONTARGETを中心とした臨床データに基づいたもの。この試験では、心血管イベント高リスク患者25,620例を対象に、ミカルディスについて、心血管イベントの抑制効果を有するARBの中で唯一の治療選択肢として検証が行われた。また従来ゴールデンスタンダード(標準治療薬)であったラミプリルと比べて忍容性が高く、優れたアドヒアランスも示されたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9872

394.

2型糖尿病・CKD患者への貧血治療薬darbepoetin alfa投与はリスクが上回る

貧血症が、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)患者の心血管および腎臓イベントの、リスク増加と関連することは知られているが、貧血治療薬darbepoetin alfaの、これら患者の臨床転帰に対する効果は十分検討されていない。米国ブリガム&ウィメンズ病院循環器部門のMarc A. Pfeffer氏らは、被験者約4,000名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TREAT」にて、その効果について検討した。NEJM誌2009年11月19日号(オンライン版2009年10月30日号)より。死亡または心血管イベントと、死亡またはESRDの各複合転帰を評価TREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)試験には、24ヵ国623施設から、糖尿病、CKD、貧血症を有する患者4,038例が参加した。被験者は、ヘモグロビン濃度約13g/dLを目標として、darbepoetin alfa投与群(2,012例)とプラセボ投与群(2,026例)に無作為に割り付けられた。なお、ヘモグロビン濃度9.0g/dL未満となった場合は緊急的にdarbepoetin alfaを投与することとされた。主要エンドポイントは、死亡または心血管イベント(非致死的心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、心筋虚血による入院)、死亡または末期腎不全(ESRD)の各複合転帰とした。複合転帰改善せず、脳卒中リスクを増加死亡または心血管イベントの複合転帰は、darbepoetin alfa群では632例で発生し、プラセボ群は602例だった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:0.94~1.17、P = 0.41)。死亡またはESRDの複合転帰は、darbepoetin alfa群では652例発生し、プラセボ群は618例だった(1.06、0.95~1.19、P = 0.29)。また致死的あるいは非致死的脳卒中が、darbepoetin alfa群で101例発生した。プラセボ群では53例で、ハザード比は1.92(95%信頼区間:1.38~2.68、P

395.

アンジオテンシンII受容体拮抗薬「ミカルディス」FDAより適応追加を取得

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムは20日(現地時間)、米国食品医薬品局(FDA)より、同社のアンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)について、「55歳以上の心血管イベント高リスク患者における心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスク減少」の適応追加の承認を取得したと発表した。今回の適応追加は、ミカルディス(テルミサルタン)について脳・心血管イベント抑制効果を検討するために患者25,620例を対象に最長6年にわたり実施された大規模臨床試験ONTARGETのデータに基づいたもの。この試験によりミカルディス(テルミサルタン)は、ARBとして唯一、心血管イベントの高リスク患者において心血管イベント減少効果を示すことが確認されている。今回、ONTARGETで実証された有用性が評価されたことは、今後の高血圧治療におけるテルミサルタン(ミカルディス)の存在意義を、従来より高めたと考えられるという。詳細はプレスリリースへ http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9802

396.

併用ホルモン補充療法は閉経後女性の肺がん死を増やす:WHI試験の事後解析

閉経後女性に対するエストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、肺がんの発症率には影響しないが、肺がん死を増加させることが、アメリカHarbor-UCLA医療センターLos Angelesバイオメディカル研究所のRowan T Chlebowski氏らが行ったWomen’s Health Initiative(WHI)試験の事後解析で示された。併用ホルモン補充療法は骨折や結腸・直腸がんのリスクを減少させるものの、心血管疾患、冠動脈心疾患、脳卒中、静脈血栓塞栓症、乳がんのリスクを増大させることがわかったため、WHI試験は早期中止となっている。Lancet誌2009年10月10日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。肺がん診断女性をフォローアップ期間終了後も追跡した事後解析WHI試験では、プラセボ群よりもエストロゲン+プロゲスチン併用ホルモン補充療法群で発がんリスクが高く、肺がん死が増加する可能性が示唆されたことから、研究グループは、試験期間中に肺がんと診断された女性をフォローアップ期間終了後も追跡して事後解析を行った。WHI試験は、アメリカの40施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験。1993~98年に、50~79歳の子宮を切除していない閉経後女性16,608例が、結合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg(合剤)を1日1回投与する群(8,506例)あるいはプラセボ群(8,102例)に無作為に割り付けられた。試験期間中および追加フォローアップのデータを用いて、全肺がん、小細胞肺がん、非小細胞がんの発症率および死亡率についてintention-to-treat解析を行った。年間肺がん発症率:0.16% vs. 0.13%、年間肺がん死亡率:0.11% vs. 0.06%平均試験期間5.6年および平均追加フォローアップ期間2.4年の時点で肺がんと診断された女性は、併用ホルモン補充療法群が109例(年間発症率:0.16%)、プラセボ群は85例(同:0.13%)であり、両群間に差は見られなかった(ハザード比:1.23、p=0.16)。非小細胞肺がんの発症率も、併用ホルモン補充療法群は96例(年間発症率:0.14%)、プラセボ群は72例(同:0.11%)と、両群で同等であった(ハザード比:1.28、p=0.12)。年間肺がん死亡率は併用ホルモン補充療法群(73例、0.11%)がプラセボ群(40例、0.06%)よりも有意に高く(ハザード比:1.71、p=0.01)、その原因は主に非小細胞肺がんによる死亡率の差[62例(0.09%)vs. 31例(0.05%)、ハザード比:1.87、p=0.004]であった。小細胞肺がんの発症率および死亡率は両群で同等であった。著者は、「エストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、閉経後女性の肺がん発症率には影響しないが、特に非小細胞肺がんによる死亡率を増加させる」と結論し、「これらの知見は、併用ホルモン補充療法を考慮中の女性(肺がんリスクの高い女性の場合は特に)とそのリスク/ベネフィットについて話し合う際に取り入れるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

397.

直接的レニン阻害剤(DRI)「ラジレス錠150mg」新発売

ノバルティス ファーマ株式会社は1日、高血圧治療薬として、直接的レニン阻害剤(Direct Renin Inhibitor: DRI)である「ラジレス錠150mg」(一般名:アリスキレンフマル酸塩)を発売した。同薬剤は、高血圧症を引き起こすRAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)の起点に位置する酵素であるレニンを直接的に阻害する、新しい作用機序を持つ薬剤であり、新規作用機序を持つ高血圧治療薬としては10余年ぶりに承認された薬剤。同薬剤はレニンを直接的に阻害することで、血漿レニン活性(Plasma renin activity:PRA)を抑制し、アンジオテンシンI以降のすべてのアンジオテンシンペプチドの産生を抑制する。同薬剤は国内外の臨床試験において、単独療法では既存のARB治療薬と同等の良好な降圧効果を示し、他の降圧薬との併用でもさらなる降圧効果を示したという。また、1日1回の投与で24時間以上にわたり持続的に安定した血圧コントロールを示し、プラセボと同様の安全性と良好な忍容性を示したとのこと。早朝高血圧や24時間血圧の変動は心血管イベントのリスクを高めることが知られており、同薬剤は高血圧症患者の血圧コントロールに有用な薬剤であるといえるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20091001.html

398.

四価HPVワクチン、市販後調査で失神と静脈血栓塞栓症が他種ワクチンより高率

米国で四価ヒトパピローマウイルス組換えワクチン(qHPV)の市販後調査で、ワクチン投与後の有害事象発生率について2年半の調査の結果、失神と静脈血栓塞栓症の発生率が、他のワクチン投与後と比べ高率であることが明らかになった。米国疾病予防対策センター(CDC)のBarbara A. Slade氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。米国食品医薬品局(FDA)は2006年6月にqHPVを承認、その後CDCの予防接種に関する委員会Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)では、女児の11~12歳に対する投与と、13~26歳の追加投与を勧告している。2年半で1万2,000件超の有害事象報告、うち772件が重度Slade氏ら研究グループでは、予防接種後の有害事象に関する、任意で報告を受動的に受け取る全米調査システム、「US Vaccine Adverse Event Reporting System」(VAERS)をもとに調査を行った。それによると、2006年6月から2008年末までに、1万2,424件の接種後有害事象の報告が寄せられていた。全報告件数の6.2%に当たる772件が重度有害事象で、うち32件が死亡だった。有害事象の症状別の報告率は、10万qHPV接種当たり、失神が8.2件、局所反応が7.5件、めまいが6.8件、吐き気が5.0件、頭痛が4.1件、過敏反応が3.1件、蕁麻疹が2.6件、静脈血栓塞栓症、自己免疫障害、ギラン・バレー症候群は各0.2件、アナフィラキシーと死亡が各0.1件などだった。失神と静脈血栓塞栓症は、承認前データと比べても高率このうち、ほとんどの有害事象発生率は、他種のワクチンの有害事象発生率と同等だったが、失神と静脈血栓塞栓症については、他種ワクチンと比べて発生率が高率で、また承認前のデータと比べても高率だった。なおこれら所見について同研究グループは、VAERSは受動的な報告をもとにしているため、過小報告の可能性もぬぐえないことについても言及している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

399.

メカブフコイダンの鳥インフルエンザの感染予防作用を確認

 理研ビタミン株式会社は21日、富山大学大学院 医学薬学研究部 生薬学研究室 林 利光教授との共同研究でわかめのメカブから抽出したフコイダンに、鳥インフルエンザの感染予防作用があることを動物試験にて確認したと発表した。  7N2 亜型)を鼻から感染させ、メカブフコイダンをウイルス感染1週間前から感染1週間後までの2週間、経口投与した。その結果、メカブフコイダンの投与により肺や気道でのウイルス増殖が有意に抑制されたとのこと。また、抗体の産生量が上昇していることもわかり、これらの効果はメカブフコイダンの投与量に依存したものだという。  さらに、ウイルスが感染する場であるのどや鼻などの粘膜面に存在し、ウイルスや細菌などの侵入を阻止する生体防御成分である分泌型IgA の産生量が、メカブフコイダンの摂取により増加することが明らかになったとのこと。 なお、同研究成果はオーストリア・ウィーンで開催される国際会議「15th European carbohydrate symposium」で発表するとのこと。 詳細はプレスリリースへ(PDF) http://www.rikenvitamin.jp/profile/ir/20090721_ir.pdf

400.

非小細胞性肺がんのPET-CT診断、臨床効果に疑問符

迅速で正確な病期分類は、非小細胞性肺がん(NSCLC)の治療を選択する上で必須である。コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のBarbara Fischer氏らは、NSCLCの術前病期分類について、PET-CTを行うことによる臨床効果の評価を目的とした無作為化試験を行った。NSCLCのPET-CTによる病期分類は2001年以降盛んに行われるようになっているが、診断制度の改善が治療効果の改善に寄与しているのかは明らかになっていない。NEJM誌2009年7月2日号より。術前病期分類を、PET-CT群と従来群に無作為化し追跡試験は、NSCLCの術前病期分類の依頼のあった患者を無作為に、従来の病期分類群(病歴聴取、身体検査、血液検査、胸部と上腹部のCT、気管支鏡検査)と、従来の病期分類+PET-CT群とに割り付け、死亡もしくは12ヵ月以上追跡し行われた。主要エンドポイントは、無益に終わった開胸術件数。定義付けは、病理学的所見としてステージIIIA(N2)に相当する縦隔リンパ節転移だった、あるいはステージIIIBまたはIVだった場合、もしくは良性肺病変だった場合、試験開胸に終わった場合、また無作為化後1年以内に再発性または死亡した場合とされた。手術件数(実施数、無益だった件数とも)減少したが、全死亡率は従来群と同等2002年1月から2007年2月の間で、患者98例がPET-CT群に、91例が従来群に無作為化された。縦隔鏡検査は、患者の94%で実行された。PET-CT群では検査後、38例が手術不能と同定された。従来群では18例だった。開胸術が行われたのは、PET-CT群は60例、従来群は73例だった(P=0.004)。そのうち手術が無益だったのは、PET-CT群21例、従来群は38例だった(P=0.05)。無益ではなかった開胸術件数(PET-CT群:40%、従来群:38%)、および生存率(生存期間中央値 PET-CT群:31ヵ月、従来群:49ヵ月、P=0.29)は、両群で同等だった。Fischer氏は「PET-CTによる手術前病期分類は、開胸術件数および無益な開胸術件数ともに減らす効果はあったが、全死亡率への影響は確認できなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

検索結果 合計:432件 表示位置:381 - 400