産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

sFlt-1/PlGFの繰り返し検査は妊娠高血圧腎症に伴う新生児合併症率を低下させず(解説:前田裕斗氏)

Soluble fms-like tyrosine kinase-1(sFlt-1)と血管新生因子、とくに placental growth factor(PlGF)を用いた検査は、妊娠中から後期にかけて妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦について1週間以内の発症可能性を予測するための検査であり、日本でも妊娠18週から36週未満の間に、原則一連の妊娠に対して1回のみ算定することができる。今回のPARROT-2試験の前身であるPARROT試験では、PlGFベースの検査結果を診療に利用する群で妊娠高血圧腎症の診断までの期間が有意に早くなり、母体合併症の有意な減少を認めた。PARROT-2試験ではPlGFベースの検査を繰り返し行い、結果を利用しながら管理する群と管理に検査結果を利用しない群で新生児合併症を主要評価項目としてランダム化比較試験が行われた。

一部の鯨類で閉経があるのはなぜ?

 哺乳類の中では、ヒト以外に何種類かの鯨類(クジラ目)とチンパンジーに閉経があることが知られている。しかし、閉経が何のために、どのように進化してきたのかについては不明だった。こうした中、英エクセター大学動物行動研究センターのDarren Croft氏らの研究から、閉経のある鯨類はそれ以外の鯨類よりも大幅に寿命が長く、それは閉経することで自分の娘と繁殖相手を競い合うことなく、子どもや孫の生存を助けるためであることが示唆された。この研究結果は、「Nature」に3月13日掲載された。  論文の共著者である英ヨーク大学生物学分野のDaniel Franks氏は、閉経の進化に関するこれまでの研究は、単一種に焦点を当てたものであったと指摘する。それに対し、今回の研究は、ハクジラ類の複数の種に閉経のあることを明らかにした最近の研究成果により実現したものであり、複数の種を横断的に検討した初の試みであると述べている。

同性カップルの遺伝子を受け継ぐ子どもも夢ではない?

 マウスの皮膚細胞の核を、核を取り除いた別のマウスの卵子に移植して染色体を操作し、人工授精を行うことで、皮膚提供マウスと精子提供マウスの遺伝子を受け継いだ胚を作り出せることが示された。この技術は、加齢やがん治療などが原因で健康な卵子を産生できない女性に役立つ可能性があるだけでなく、同性カップルでも両者の遺伝子を受け継ぐ子どもを持てる日が来る可能性のあることを意味する。米オレゴン健康科学大学(OHSU)胚細胞・遺伝子治療センターのShoukhrat Mitalipov氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に3月8日掲載された。

レンバチニブ+ペムブロリズマブ進行・再発子宮体がん1次治療の成績(LEAP-001)/SGO2024

 進行子宮体がんにおけるレンバチニブ+ペムブロリズマブの1次治療は主要評価項目を達成できなかった。  レンバチニブ+ペムブロリズマブは第III相KEYNOTE‐775試験で、既治療の進行子宮体がんにおける生存改善が示されている。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、オーストリア・インスブルック医科大学のChristian Marth氏が1次治療でのレンバチニブ+ペムブロリズマブを評価したENGOT-en9/LEAP-001試験の中間解析結果を報告した。

3つのプロゲストーゲン、髄膜腫の新たなリスク因子に/BMJ

 高用量プロゲストーゲン(nomegestrol acetate、クロルマジノン、cyproterone acetate)は、頭蓋内髄膜腫のリスク因子として知られているが、他の多くのプロゲストーゲンのリスクの評価はなされていなかった。French National HealthのNoemie Roland氏らは、今回、新たにmedrogestone、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、promegestoneの長期使用が髄膜腫の過剰なリスクと関連し、プロゲステロン、ジドロゲステロン、子宮内レボノルゲストレル放出システムにはリスクの上昇はみられず安全であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号に掲載された。

女性に対してもHIV曝露前予防(PrEP)成否の鍵は服薬率(解説:岡慎一氏)

 HIV感染リスクのある人が予防薬を飲むことにより感染を防ぐ(PrEP)取り組みが、試験的に行われていたのは2010年前後である。2012年には、米国でPrEPはHIV感染予防に有効として正式に承認され、その後世界中でその研究が進んだ。2024年4月現在PrEPが承認されていない国は、先進国では日本のみである(12年遅れで日本でもやっと薬事承認される可能性が出てきている)。  感染リスクの高い集団として、まず予防投薬の対象になったのが肛門性交を行う男性同性愛者(MSM)と、膣性交を行う性産業従事者(CSW)の女性であった。MSMは、自ら感染リスクが高いことと認知している人が多いため、多くの臨床試験においてPrEPの有効性は高かった。一方、CSWのPrEP有効率は、MSMに比べるとはるかに低く、プラセボ群と比べてもほとんど差のない試験結果まであった。その原因として考えられていた理由は2つあった。

ペムブロリズマブ+化学療法の進行・再発子宮体がんに対するOS(NRG GY018)/SGO2024

 化学療法・ペムブロリズマブ併用は、ミスマッチ修復機能(MMR)状況にかかわらず、未治療の進行・再発子宮体がんの全生存期間(OS)を改善する傾向を示した。  進行・再発子宮体がんを対象とした第III相無作為化プラセボ対照NRG GY018試験において、ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)とペムブロリズマブのシークエンス治療は、MMR状況を問わず主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRamez Eskander氏は、米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で、NRG GY018試験の副次評価項目の結果(中間解析1)を発表した。

dostarlimab+化学療法+ニラパリブが進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

 抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法からdostarlimab+PARP阻害薬ニラパリブのシークエンス治療は進行・再発子宮体がんの全集団およびミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団の生存を改善した。  dostarlimabと化学療法の併用は第III相RUBY試験Part1で進行子宮体がんの無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している。免疫療法へのPARP阻害薬の追加は、pMMR集団も含めた進行子宮体がんに対してさらなる生存改善が期待されている。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、デンマーク・コペンハーゲン大学のMansoor Raza Mirza氏がRUBY試験Part2の初回中間解析の結果を発表した。

デュルバルマブ+化学療法±オラパリブの進行子宮体がん第III相試験、副次評価項目も改善(DUO-E)/SGO2024

 デュルバルマブ+化学療法による1次治療とデュルバルマブ+オラパリブの維持療法の組み合わせは、進行子宮体がんに対する全生存期間(OS)の延長など有効性を示した。  ベルギー・Cliniques大学のJean-Francois Baurain氏が米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で発表した進行・再発子宮体がんに対する上記レジメンの第III相試験DUO-Eの副次評価項目の結果である。

高リスク局所進行子宮頸がん、ペムブロリズマブ追加でPFS改善/Lancet

 新規に診断された高リスクの局所進行子宮頸がん患者の治療において、PD-1阻害薬ペムブロリズマブを化学放射線療法と併用し、化学放射線療法終了後も継続投与することで、化学放射線療法単独と比較して統計学的に有意で臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善が得られ、安全性は各レジメンの既知のプロファイルと一致することが示された。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelli IRCCS and Catholic University of Sacred HeartのDomenica Lorusso氏らが「ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験」の結果を報告した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年3月20日号に掲載された。