内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:89

新型コロナEG.5.1、伝播力と免疫回避能が増強/東大医科研

 現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株は、アジアや欧州、北米を中心に、オミクロン株EG.5系統(エリス)の感染が急増し、主流となっている。XBB系統(XBB.1.9.2)の子孫株であるEG.5系統は、世界保健機関(WHO)により、XBB.1.5、XBB.1.16と共に注目すべき変異株(VOI)に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、EG.5系統のEG.5.1のウイルス学的特徴を解析したところ、XBB.1.5に比べて1.2倍高い伝播力を示し、BBの中和抗体に対して1.4倍高い抵抗性を示したことを、調査により明らかにした。本結果はThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。

食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。  20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。

糖分を多く含む食品は腎臓結石をできやすくする可能性

 糖分の多い食品を避けるべき理由は多々あるが、腎臓結石のリスクを避けることも、そうすべき理由の一つかもしれない。3万人近い米国成人を対象とした研究から、添加糖の摂取量の多寡で腎臓結石のリスクに39%の差が生じる可能性が明らかになった。川北医学院付属病院(中国)のShan Yin氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Nutrition」に8月4日掲載された。  食品への砂糖の添加はさまざまな健康リスクと関連しているが、腎臓結石との関連はこれまでのところ明らかにされていない。Yin氏らは、2007~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析してこの点を検討した。

犬は新型コロナウイルスのにおいをかぎ分けられる

 犬は、医療機関でのRT-PCR検査や自宅で行う抗原検査などの現代のテクノロジーよりも迅速で的確、かつ安価に新型コロナウイルス感染を検出し得ることが、過去2年ほどの間に犬による新型コロナウイルス検出に関して相次いで報告された研究論文のレビューで明らかにされた。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地理学名誉教授のTommy Dickey氏と米BioScent社のHeather Junqueira氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Osteopathic Medicine」に7月17日掲載された。  Dickey氏らは、2019年12月から2023年4月の間に発表された、新型コロナウイルスのにおいをかぎ分ける訓練を受けた犬に関する29本の査読済み論文を体系的に収集して、その有用性や安全性、実用性に関する評価を行った。対象論文では、32カ国の400人以上の科学者が、147頭の犬の嗅覚による新型コロナウイルスの検出能力を、3万1,000点以上のにおいのサンプルや直接人間のにおいをかがせることで検討していた。なお、Dickey氏らは、2021年8月にも同じテーマでレビューを実施したが、その際の対象論文はわずか4本であったという。

アルツハイマー病患者の大半は新規承認薬の対象外?

 米国では最近、早期段階のアルツハイマー病の患者にとって新たな希望となりそうな2種類の治療薬が承認された。しかし、これらの新規承認薬の恩恵を受けられる可能性のある人の多くは治療の対象外とみなされる可能性の高いことが、米メイヨー・クリニックのグループによる新たな研究で示された。この研究結果は、「Neurology」に8月16日掲載された。  米食品医薬品局(FDA)に7月に承認されたばかりのアルツハイマー病治療薬のレカネマブ(商品名レケンビ)と、2021年に承認されたアデュカヌマブ(商品名アデュヘルム)はいずれもモノクローナル抗体薬だ。論文の共著者の1人で米メイヨー・クリニック神経学分野のVijay Ramanan氏は、「新たに開発されたアルツハイマー病の治療選択肢に対して広く関心が持たれているのは当然のことだ。アルツハイマー病は深刻な疾患であるが、これまで20年以上にわたって新規に承認されたアルツハイマー病治療薬はなかったからだ」と話す。同氏は、「新しい治療薬が登場したことで、この状況から一歩前進した」とする一方で、「これらの治療薬が直面している大きな課題の一つは、臨床試験によって得られた知見を実臨床にどのように取り入れるかという点だ」と指摘する。

シンデレラ体重の若年日本人女性の栄養不良の実態が明らかに

 国内で増加している低体重若年女性の栄養状態を、詳細に検討した結果が報告された。栄養不良リスクの高さや、朝食欠食の多さ、食事の多様性スコア低下などの実態が明らかにされている。藤田医科大学医学部臨床栄養学講座の飯塚勝美氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に5月7日掲載された。  日本人若年女性に低体重者が多いことが、近年しばしば指摘される。「国民健康・栄養調査」からは、20歳代の女性の約20%は低体重(BMI18.5未満)に該当することが示されており、この割合は米国の約2%に比べて極めて高い。BMI18未満を「シンデレラ体重」と呼び「美容的な理想体重」だとする、この傾向に拍車をかけるような主張もソーシャルメディアなどで見られる。実際には、女性の低体重は月経異常や不妊、将来の骨粗鬆症のリスクを高め、さらに生まれた子どもの認知機能や成人後の心血管代謝疾患リスクに影響が生じる可能性も指摘されている。とはいえ、肥満が健康に及ぼす影響は多くの研究がなされているのに比べて、低体重による健康リスクに関するデータは不足している。

健康な人でも少量の習慣的な飲酒で血圧上昇

 高血圧でない人が少量のアルコールを習慣的に飲み続けていると、血圧が上昇する可能性のあることが明らかになった。モデナ・レッジョ・エミリア大学(イタリア)のMarco Vinceti氏らの研究によるもので、詳細は「Hypertension」に7月31日掲載された。  アルコール摂取が血圧を高めることが知られているが、摂取量がわずかな場合にもそのような影響が生じるのか否かは明確になっていない。そこでVinceti氏らは、飲酒量と血圧との関連を縦断的に調査した過去の研究のデータを用いた用量反応メタ解析によって、この点を検討した。PubMedまたはEmbaseに、2023年5月9日までに収載された論文から、研究参加者が健康な成人であることなどの包括基準を満たす、日本、米国から各3件、韓国から1件、計7件の研究報告を抽出。研究参加者数は合計1万9,548人、追跡期間は中央値5.3年(範囲4~12)だった。

家庭料理をターゲットに地域介入、減塩・降圧に効果/BMJ

 家庭内の調理人と家族をターゲットとしたコミュニティベースの減塩教育やモニタリングが、食塩摂取量および血圧の低下に有効であったことを、中国・疾病予防管理センターのXiaochang Zhang氏らが報告した。中国6省6都市、60コミュニティの788家族を対象に行ったクラスター無作為化比較試験の結果で、著者は、「こうした介入は、食塩の主な摂取源が依然として家庭料理である中国および他国で、広く用いることができるだろう」と述べている。中国の食塩摂取量は推奨制限量の2倍を超えており、摂取が主に加工食品からの西欧諸国とは異なり、中国では76%が家庭料理に由来していることが報告されていたが、これまで家庭料理をターゲットとした介入の無作為化試験によるエビデンスはなかった。BMJ誌2023年8月24日号掲載の報告。

モデルナのXBB.1.5対応コロナワクチン、追加免疫として承認/厚労省

 厚生労働省は9月12日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオミクロン株対応ワクチンの一部変更について承認したことを発表した。今回の承認で、モデルナの「スパイクバックス筋注」にオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む1価ワクチンが追加された。2023年7月7日に製造販売承認事項一部変更申請されていたもので、9月20日以降の秋開始接種に使用される。本ワクチンは、世界で急速に拡大し新たな懸念となっているEG.5(エリス)やFL 1.5.1、BA.2.86(ピロラ)といった変異に対しても強固なヒト免疫応答を示している。

睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。