内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

睡眠薬の血圧コントロールに対する有効性、そのリスクとベネフィットは

 高血圧と睡眠障害を併発している患者における睡眠薬の有効性とリスクについては、依然として不明な点が多い。中国・First Affiliated Hospital of Jinan UniversityのZerui You氏らは、高血圧合併不眠症患者における睡眠薬の潜在的な有効性とリスクを調査した。BMC Cardiovascular Disorders誌2025年10月24日号の報告。  本研究は、米国成人を対象としたプロスペクティブコホート研究として、国民健康栄養調査(NHANES)の高血圧および薬剤使用データを用いて、分析を行った。睡眠薬の血圧コントロールにおける有効性を評価するため、線形回帰分析を用いた。Cox回帰分析により、睡眠薬と死亡率との関連性を検討した。

アナフィラキシー、日本の小児で急増している原因食物は

 2010年代後半以降、日本におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率は急速に増加しており、とくに初回発症の幼児で顕著であることが明らかになった。世界的にクルミアレルギーの有病率が増加しているものの、クルミによるアナフィラキシーの発生動向や臨床的特徴については明らかになっていない。町田市民病院のYuna Iwashita氏らは、2011年から11年間の日本国内の小児救急外来におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率の変化を評価し、患者の特性および症状について検討した。Pediatric Allergy and Immunology誌11月号掲載の報告。

新規作用機序の高コレステロール血症治療薬ベムペド酸を発売/大塚

 大塚製薬の新規作用機序の高コレステロール血症治療薬ベムペド酸(商品名:ネクセトール)が2025年11月21日に発売された。効能・効果は「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」で、スタチン効果不十分またはスタチンによる治療が適さない高コレステロール血症患者への新たな治療選択肢とされる。  本剤は、肝臓中のコレステロール合成経路においてスタチンの作用点よりも上流にあるATPクエン酸リアーゼに作用し、血中のLDLコレステロールの低下をもたらす。すでに米国や欧州をはじめ、世界の複数国・地域で高コレステロール血症治療薬として販売されており、国内においては、大塚製薬が2020年4月に本剤の独占的開発販売権を米国・エスペリオンから取得、2025年9月に製造販売承認を取得していた。

インフルにかかりやすい人の5つの特徴/弘前大学

 インフルエンザ感受性に関連する複数の背景因子とそれらの関連性を明らかにするため、大規模な健康診断データを解析した結果、インフルエンザにかかりやすい人の傾向として、高血糖、肺炎の既往、多忙・睡眠不足、栄養不良、アレルギーの5つの特徴パターンが特定されたことを、弘前大学の寺田 明秀氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2025年8月21日号掲載の報告。  インフルエンザ感受性の生物学的および環境的リスク要因は広く研究されているが、これらの要因間の複雑な関係を包括的に分析した研究は存在しないという。そこで研究グループは、複数の要因とその因果関係を明らかにするため、岩木健康増進プロジェクトの健診データ(2019年分)を解析した。

1日5,000〜7,500歩の歩行がアルツハイマー病から脳を守る?

 アルツハイマー病に関連する初期の脳の変化を遅らせたい人は、毎日の歩数を増やすと良いかもしれない。300人近い高齢者を最大14年間追跡調査した研究で、アルツハイマー病の早期兆候とされるアミロイドβ(Aβ)のレベルがすでに高い人でも、身体活動を行っている人では、記憶力や思考力の低下が遅いことが示された。このような身体活動の効果は、毎日の運動レベルが少量または中程度であっても認められ、1日の歩数が5,000〜7,500歩である人の思考力の低下率は、ほとんど活動していない人の半分程度であったという。米Mass General BrighamのWendy Yau氏らによるこの研究は、「Nature Medicine」に11月3日掲載された。

糖尿病治療薬がアルツハイマー病初期の進行を抑制する可能性

 糖尿病治療薬がアルツハイマー病の初期段階の進行を抑制する可能性のあることが報告された。米ウェイクフォレスト大学アルツハイマー病研究センターのSuzanne Craft氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer’s & Dementia」に10月7日掲載された。この研究では、既に広く使われているSGLT2阻害薬(SGLT2-i)のエンパグリフロジンと、開発が続けられているインスリン点鼻スプレー(経鼻インスリン)という2種類の薬剤が、記憶力や脳への血流、および脳機能の検査値などの点で、有望な結果を示したという。

高齢者への高用量インフルワクチンの入院予防効果:FLUNITY-HD試験(解説:小金丸 博氏)

高齢者に対する高用量不活化インフルエンザワクチン(HD-IIV)の重症化予防効果を検証した国際共同プール解析「FLUNITY-HD試験」の結果が、Lancet誌オンライン版2025年10月17日号に報告された。標準用量インフルエンザワクチン(SD-IIV)では免疫応答が不十分なことが知られており、HD-IIVの高齢者における追加的な防御効果を明らかにすることを目的とした。本試験は、デンマークのDANFLU-2試験(登録者:約33万人)とスペインのGALFLU試験(同:約13万人)という、同一デザインの実践的ランダム化比較試験を統合解析したものである。対象は65歳以上で、少なくとも1つの慢性疾患を有する者が約49%と重要なリスクグループが適切に含まれており、高齢者集団への一般化が可能であると思われる。いずれの試験も日常診療環境で実施され、主要評価項目は「インフルエンザまたは肺炎による入院」とされた。

へき地の在宅医療の利用実態が判明/頴田病院・横浜市立大

 わが国では、急激な高齢化と地方での医療者の不足により医療の地域偏在が問題となって久しい。では、実際にこの偏在、とくに在宅医療の利用について、地域格差はどの程度あるのであろうか。この問題について、柴田 真志氏(頴田病院)と金子 惇氏(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科)の研究グループは、レセプトデータを用いて、在宅医療利用の地域格差を調査した。その結果、日本全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在することがわかった。この結果は、Journal of General Internal Medicine誌2025年10月30日オンライン版で公開された。

実臨床における片頭痛予防薬フレマネズマブの有用性評価

 片頭痛は、社会的、経済的、機能的な負担を伴う疾患である。とくに慢性片頭痛(CM)または高頻度発作性片頭痛(HFEM)の患者において、その負担は顕著となる。イタリア・ローマ大学のFabrizio Vernieri氏らは、PEARL試験に登録されたイタリア人CMおよびHFEM患者を対象とした第2回中間サブ解析の結果として、イタリアの臨床現場における抗CGRPモノクローナル抗体フレマネズマブの使用に関する、最長12ヵ月間の治療期間における最新の実臨床データを報告した。Neurological Sciences誌オンライン版2025年10月17日号の報告。

風邪や咳症状に対する日本での市販薬使用状況は?

 OTC医薬品の適切な使用を促進し、国民医療費の削減に貢献するうえで、OTC医薬品の使用に影響を与える要因を理解することは重要である。大阪大学の田 雨時氏らは、COVID-19パンデミック後の日本における風邪や咳に対するOTC医薬品を用いたセルフメディケーションの現状を調査し、関連要因を明らかにするため、本調査を実施した。BMC Public Health誌2025年5月24日号の報告。  2024年4月25日〜6月26日にオンライン横断調査を実施した。日本の風邪や咳に対するセルフメディケーション行動の現状および社会背景や心理評価尺度に関する共変量を収集した。これらの関連性の分析には、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。結果のロバスト性を検証するため、サブグループ分析および感度分析を実施した。