内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

SGLT2阻害薬のCKD進行抑制:糖尿病およびアルブミン尿の有無にかかわらず得られる絶対的ベネフィット/JAMA(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? SMART-C(SGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium)は、SGLT2阻害薬のランダム化比較試験(RCT)における心・腎アウトカムをメタ解析する国際共同研究組織である。SMART-C研究の成果は、2024~25年にLancet誌などに4編の論文として主要誌に報告された。そのうち2編は主として腎保護効果に焦点を当てた解析であり、JAMA誌オンライン版(2025年11月7日号)に同時掲載された。その第1報はNeuenらによる論文で、これは「腎アウトカム」のクラスエフェクトを解析した研究である。

令和6年度 女性医師の勤務環境の現況に関する調査まとまる/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、12月24日に定例の記者会見を開催した。会見では、令和8(2026)年度の診療報酬改定がほぼ確定したことを受けて、医師会としての意見と先般完成した「令和6年度 女性医師の勤務環境の現況の関する調査報告」の概要が説明された。  はじめに松本氏が、令和8年度診療報酬改定について、「医療機関などにおける賃金上昇や物価高騰への対応、さらに日進月歩の医療の高度化への対応に理解が示されたことに心からお礼申し上げる。日本医師会は、さらなる地域医療の充実へ全力であたっていく」と今回のプラス改定への評価と展望を述べた。また、懸念事項として、「OTC類似薬の保険給付の見直し」については、子供や難病などの方々に対しては慎重な対応が必要だと語った。

抗CGRP抗体は中止したほうが良いのか? 中止後、片頭痛症状はどう変化する?

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体による治療は、片頭痛の予防に有意な効果をもたらしたが、抗CGRP抗体治療中止による長期的な影響は依然としてよくわかっていない。ブラジル・Clinical Hospital of the Federal University of ParanaのLuana Miyahira Makita氏らは、抗CGRP抗体治療中止後の臨床アウトカムに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。CNS Drugs誌オンライン版2025年9月30日号の報告。  2024年9月までに報告された研究をPubMed、Embase、Cochraneデータベースより検索した。対象研究は、抗CGRPモノクローナル抗体またはゲバントによる予防的治療を受けた反復性または慢性片頭痛患者における治療中止後の影響を報告したランダム化研究または観察研究とした。主要アウトカムは、ベースラインから中止後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の平均変化とした。副次的アウトカムは、急性頭痛薬の使用、積極的治療から治療中止までの片頭痛頻度の平均変化、50%以上の治療反応率とした。異質性は、二値アウトカムについては予測区間(PI)、連続データについてはI2を用いて評価した。ランダム効果モデルを用いて平均差(MD)とリスク比(RR)をプールし、フォローアップ期間、研究デザイン、慢性片頭痛患者に基づくサブグループ解析を行った。

餅などによる気道閉塞、腹部突き上げ法と背部叩打法の有効性~MOCHI研究班

 お正月は餅を食べる機会が多く、餅による窒息の初期対処法をいま一度確認しておきたい。日本医科大学の五十嵐 豊氏らが、餅などの異物による気道閉塞患者に対して腹部突き上げ法もしくは背部叩打法による初期対応を実施する場合の有効性を介入なしの場合と比較したところ、いずれの方法も介入なしと比べて有意に良好な神経学的転帰と関連し、さらに背部叩打法は生存率改善とも関連していたことが示された。Resuscitation Plus誌2025年9月号に掲載。

糖尿病患者は心臓突然死リスクが極めて高い

 1型か2型かにかかわらず糖尿病患者は、心臓突然死のリスクが極めて高いとする論文が、「European Heart Journal」に12月4日掲載された。コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のTobias Skjelbred氏らの研究によるもので、心臓突然死が多いことが一因となり、糖尿病患者は寿命も短いという実態も示されたという。  この研究では、デンマーク全国民の医療記録データベースが解析に用いられた。2010年の1年間で6,862件の心臓突然死が記録されており、そのうち97件が1型糖尿病、1,149件が2型糖尿病の患者だった。心臓突然死の発生率は一般集団と比較して、1型糖尿病では3.7倍、2型糖尿病では6.5倍だった。年齢層別に解析すると若年層で発生率の差がより大きく、50歳未満の糖尿病患者は一般集団の7倍であり、特に30代の1型糖尿病患者では22.7倍と極めて高値だった。

mRNAインフルエンザワクチンが「速い」「安い」「確実」を実現するかもしれない(解説:栗原宏氏)

不活化ワクチンの生産は、鶏卵への接種からワクチン原液の製造まで約6ヵ月を要し、従来のインフルエンザワクチンは次シーズンに流行する株を予測して生産するという、いわば「博打」のような状況である。それに加えて卵馴化による変異を起こすという不確定要素もある。実際に、過去10年をみると2014-15シーズンは予測したワクチン株と実際の流行株でミスマッチとなり、ワクチンの効果がかなり小さかったとされている。一方、mRNAワクチンは遺伝子配列から化学合成が可能であり、約1ヵ月程度で製造が可能とされている。流行直前まで見極めることで、精度の高いワクチン生産が可能になると推測される。理論上のmRNAワクチンの有意点に対し、実際の調査においても1シーズンのみではあるが、既存の不活化ワクチンに対する非劣性、優位性を示した意義は大きいと思われる。

認知機能低下のサインは運転行動に現れる?

 運転行動の変化は認知機能低下の早期サインになる可能性があるようだ。車両に設置したGPS付きデータロガーで収集した、走行頻度、走行時間、急ブレーキなどの運転データは、早期認知機能低下のデジタルバイオマーカーになり得ることが、新たな研究で示された。米ワシントン大学医学部のGanesh Babulal氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に11月26日掲載された。Babulal氏は、「われわれは、GPSデータ追跡デバイスを使うことで、年齢や認知テストの結果、アルツハイマー病に関連する遺伝的リスクの有無といった要因だけを見るよりも、認知機能に問題が生じた人をより正確に特定することができた」と話している。

健康診断の新視点、筋肉量指標で高血圧リスクを見える化

 従来のBMIでは筋肉量と脂肪量の違いを反映できないという問題がある。今回、男性の除脂肪体重指数(LBMI)を用い、低LBMIが高血圧リスクの増加と関連するという研究結果が報告された。BMIだけでは捉えられないリスク評価の重要性を提示している。研究は、慶應義塾大学医学部内科学教室の畔上達彦氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は11月10日付で「Hypertension Research」に掲載された。  高血圧は心血管疾患や慢性腎臓病の主要リスク因子であり、世界的に重要な公衆衛生課題となっている。肥満は高血圧リスクの主要因子とされるが、BMIでは脂肪量と除脂肪体重(筋肉量)を区別できず、正確なリスク評価には限界がある。除脂肪体重を正確に測定するには高コストの画像検査が必要だが、近年、身長・体重・ウエストなどから推定できる簡易LBMIが開発され、日常の健康診断データでも評価が可能になった。しかし、この簡易LBMIを用いた高血圧リスク評価はこれまで行われていない。本研究では、健康診断や医療請求データを用いて、男性のLBMIと高血圧発症リスクの関連を後ろ向きに解析した。

ミトコンドリア活性化技術で希少疾患に挑む、その機序や効果とは

 “細胞のエネルギー生産工場”とも呼ばれ、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官ミトコンドリア。これを用いた希少疾患の根本治療や加齢対策が、今、現実味を帯びている。先日開催された第7回ヘルスケアベンチャー大賞では、マイトジェニックの「ミトコンドリア活性化による抗加齢ソリューション『マイトルビン』事業」が将来性や抗加齢への観点を評価され、大賞を受賞した。同社が期待を集める創薬技術や将来ビジョンとは―。

マラソンの心臓への影響は?ランナーを10年追跡

 高強度かつ長時間の運動負荷が右室機能に及ぼす影響、運動誘発性の心筋トロポニンT(TnT)値の上昇と将来的な右室機能障害との関連は明らかになっていない。そこで、スイス・チューリッヒ大学のMichael Johannes Schindler氏らの研究グループは、市民マラソンランナーを対象とした10年間の縦断的コホート研究(Pro-MagIC研究)を実施した。その結果、フルマラソン直後には一過性の右室機能低下とTnT値の上昇が認められたものの、これらは数日で回復し、10年後の右室機能低下とは関連しないことが示された。本研究結果は、JAMA Cardiology誌オンライン版2025年12月10日号で報告された。