内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」改訂のポイント

 2025年6月、日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本神経学会、日本精神神経学会、日本老年医学会、日本神経治療学会の監修により、「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」が公表された。2016年の第2版公表から9年ぶりとなる今回の改訂では、最新のエビデンスと新規薬剤の登場を踏まえた、より実践的な治療アルゴリズムが示されている。  本稿では、本ガイドラインのワーキンググループの主任研究者を務めた筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授の新井 哲明氏による解説を基に、改訂のポイントと臨床における留意点をまとめる。

連休中に健康的な生活習慣を維持する秘訣

 年末年始などの連休には、旅行に出かけたり家族でのイベントがあったりして、普段よりもかえって忙しくなり、健康的な生活習慣を続けられなくなる人も少なくない。ただ、専門家によると、健康を維持するために、そのような限られた期間も常に完璧であろうとする必要はないようだ。また、米バージニア工科大学のSamantha Harden氏は、気を付けるべきは忙しさもさることながら、連休という機会への過剰な期待だと、同大学が12月1日に発表したリリースの中で述べている。  人々が実生活の中でどのようにウェルビーイングを形成しているのかを研究しているHarden氏は、「私たちはしばしば、仕事から離れて時間ができたなら、健康づくりのためのルーティンを編み出して『最高の自分』に変わるチャンスが訪れると期待している。しかし、実際に連休に入ると、好むと好まざるを問わず他のさまざまな用事に時間が奪われてしまい、計画通りにいかないことが多い」と話す。そして同氏は、連休こそ生活習慣改善の理想的な機会と考えるのではなく、むしろ普段の休日の生活に健康的な行動を少しずつ取り入れることを提案している。

男性のビール腹は心不全リスクの可能性

 男性によく見られ、“ビール腹”と呼ばれることもある腹部肥満が、心不全のリスクと関連しているとする研究結果が、北米放射線学会年次総会(RSNA 2025、11月30日~12月4日、シカゴ)で報告された。ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター(ドイツ)のJennifer Erley氏らが発表した。  この研究から、腹部肥満は心筋の肥厚と心室の縮小に関連していることが示された。研究者らによると、これらの変化は心不全リスクにつながるものと考えられるという。Erley氏は、「腹部肥満、つまりウエスト・ヒップ比(W/H比)が高い状態は、単にBMIが高い場合よりも、心臓リモデリングとの関連が強いようだ。心筋が厚くなるのに心臓の全体的な大きさは増えず、心臓の容積が小さくなる」と解説。そして、「心臓の心室が狭くなるため、心臓が送り出す血液の量は減少する。また、血液を送り出した後に心臓が弛緩し拡張する能力も低下する。それらの変化により、最終的には心不全につながる可能性がある」とのことだ。

片頭痛予防のためのフレマネズマブ長期使用に関する実臨床データの解析結果

 片頭痛予防を目的としたフレマネズマブの長期使用に関して、実臨床におけるデータは限られている。このギャップを埋めるため、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMessoud Ashina氏らは、フレマネズマブの実臨床における有用性を評価したPEARL試験の第3回中間解析を行い、最長12ヵ月間投与した場合の長期的な有効性、安全性、忍容性を評価した。Neurological Sciences誌2025年12月号の報告。  PEARL試験は、欧州11ヵ国で実施された24ヵ月間のプロスペクティブ第IV相観察試験である。対象は、慢性または反復性片頭痛と診断され、フレマネズマブ(225mg月1回または675mg年4回)の皮下投与を受け、6ヵ月以上の治療を完了した18歳以上の成人患者。主要エンドポイントは、治療開始後6ヵ月間における1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)が50%以上減少した患者の割合と定義した。副次エンドポイントは、平均MMD、急性片頭痛薬の使用、片頭痛評価尺度(MIDAS)と頭痛影響テスト(HIT)で測定した片頭痛関連障害スコアのベースラインから12ヵ月目までの平均変化量とした。安全性は、有害事象データの収集により評価した。

帯状疱疹ワクチン、認知症予防だけでなく進行も抑制か/Cell

 認知症の発症と進行には神経炎症が関連しており、神経向性ウイルスが認知症の発症や進行の一因となっている可能性が指摘されている。今年に入って、帯状疱疹ワクチンが認知症発症を予防する可能性があるとの報告があったが、同じ米国・スタンフォード大学の研究グループが、帯状疱疹ワクチン接種と軽度認知障害発症、さらにすでに認知症を発症した人の死亡リスクとの関連について調査を行い、結果がCell誌オンライン版2025年12月2日号に掲載された。  研究者らは、ウェールズのプライマリ診療所の電子カルテのデータから1925年9月1日~1942年9月1日生まれの30万4,940例を抽出、うち認知障害歴のない28万2,557例を軽度認知障害(MCI)発症リスクの解析対象とし、すでに認知症と診断された1万4,350例を認知症関連死亡の解析対象とした。ウェールズでは帯状疱疹ワクチン接種プログラム開始時にワクチンの数に限りがあったため、開始直後に80歳の誕生日を迎えた人は1年間ワクチン接種対象となったのに対し、直前に誕生日を迎えた人は生涯にわたって対象外となり、ワクチン接種率に大きな差が出たことを利用し、接種資格の有無と、実際の接種の有無で比較した。

規則正しい就寝習慣が血圧に驚くべき効果

 毎晩、同じ時刻に就寝することで血圧を改善できる可能性のあることが、新たな研究で示された。就寝時間が不規則な人が、毎晩同じ時間に就寝することを2週間続けただけで、運動量の増加や塩分摂取量の削減と同等の降圧効果を得ることができたという。米オレゴン健康科学大学(OHSU)産業保健学准教授のSaurabh Thosar氏らによるこの研究結果は、「Sleep Advances」に11月17日掲載された。研究グループは、「これは、多くの高血圧患者の血圧をコントロールするための、単純だがリスクの低い補助的な戦略になるかもしれない」と述べている。  この研究では、高血圧を有する11人の成人(男性4人、平均年齢53歳)を対象に、まずベースラインとして、1週間にわたり活動量計で就寝時間や睡眠パターンを記録するとともに、24時間の自由行動下血圧を測定した。次に、試験参加者には2週間にわたり同じ時刻に就寝してもらい、その後、再度、24時間自由行動下血圧を測定した。その上で、就寝時間や入眠時間のばらつき(標準偏差)を計算し、血圧の「最小可検変化量(MDC95)」を使って個人レベルで血圧がどのくらい変化したかを確認した。

医師以外も投与可能な抗けいれん薬、スピジア点鼻液発売/アキュリスファーマ

 国内初となるジアゼパムの鼻腔内投与製剤の抗けいれん薬であるジアゼパム点鼻薬が2025年12月24日に発売された(製造販売元:アキュリスファーマ、販売情報提供活動:ヴィアトリス製薬)。本剤の効能効果は「てんかん重積状態」の改善であり、2歳以上のてんかん重積状態およびてんかん重積状態に移行する恐れのある発作(遷延性の発作や群発発作)が生じたときに投与する。医療機関外において医療者や介護者による投与が可能なレスキュー薬だが、「2歳以上6歳未満の小児へ投与する場合は、患者の状態を観察することができ、必要時に救急蘇生のための医療機器、薬剤等の使用が可能な医師の監視下においてのみ行うこと」「救急救命士による処置としての投与は認められていない」などの点には注意が必要である。

早期アルツハイマー病に対するドナネマブの78週間二重盲検長期延長試験の結果

 ドナネマブのピポタルスタディである国際第III相試験「TRAILBLAZER-ALZ 2(AACI)試験」では、76週間のプラセボ対照期間中に、早期アルツハイマー病患者の臨床進行をドナネマブが有意に遅延させることが示された。米国・イーライリリーのJennifer A. Zimmer氏らは、AACI試験を完了した患者に対し、78週間の二重盲検長期継続試験を実施し、その結果を報告した。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年12月1日号の報告。  対象は、AACI試験を完了した参加者のうち、ドナネマブ群に割り当てられた患者(継続群)およびプラセボ群に割り当てられた患者(投与開始群)。アミロイド治療コース完了基準を満たした患者は、プラセボへ切り替えた。外部対照コホートとして、AD Neuroimaging Initiative(ADNI)の参加者を用いた。

医師の奨学金、若手層ほど借入額増大で返済長期化か/医師1,000人アンケート

 医学部卒業までにかかる多額の費用を支える「奨学金」。本来、学問を志す者を支えるための制度であるが、返済義務を伴う貸与型が主流である現状では、実態として「若年期に背負う多額の負債(借金)」という側面も併せ持つ。今回、CareNet.comでは、「医師の奨学金利用と返済状況」と題したアンケートを実施し、奨学金の利用率や借入額、そして返済や利用条件が医師のキャリアに与えた影響を聞いた。対象はケアネット会員医師1,031人で、20代~60代以上の各年代層から回答を得た。  Q1では「卒業した大学の種別」を聞いた。全体では、国公立大学が72%と大半を占め、次いで私立大学が25%、目的別医科大学(防衛医大、自治医大、産業医大)が3%という構成であった。今回のアンケート結果は、比較的学費が抑えられている国公立大学出身の医師たちの視点が強く反映されており、その中での奨学金利用や「地域枠」に対する評価が浮き彫りとなっている。

失敗しない理想的なクリスマスプレゼントとは

 「クリスマス」と聞いて連想するイメージは何があるだろうか。ケーキ、ごちそう、キャンドル、雪などさまざまあるが、「楽しみはプレゼント」と回答する人も多いのではないだろうか。「どのようなプレゼントが喜ばれるのか」をテーマにデンマークのコペンハーゲン大学健康科学部のVictor Alexander Gildberg氏らの研究グループは、約30人の健康成人に理想的なクリスマスプレゼントについて調査した。その結果、満足度の高いプレゼントには「大きい」「重い」「金色の包装紙」などの傾向がみられた。この結果はUgeskrift for Laeger誌12月8日号に掲載された。