内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

日本における若年性アルツハイマー病の診断遅延の現状

 若年性アルツハイマー病の診断には、高齢発症アルツハイマー病と比較し、特有の課題がある。しかし、日本における診断に至るまでの経過については、これまで明らかになっていなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本において若年性アルツハイマー病と高齢発症アルツハイマー病の症状から診断までの期間を比較して、診断までの期間に影響を及ぼす要因を調査した。BMC Neurology誌オンライン版2026年7月9日号の報告。

インフルエンザワクチンの有効性、前シーズンの感染・接種歴で変動―17シーズン解析

 前シーズンのインフルエンザ感染歴は今シーズンのワクチン有効性(VE)を高め、前シーズンの接種歴はVEを減弱させることが、日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班の河合 直樹氏らによる日本での17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究の解析で示された。今シーズン未接種者における罹患率(AR)は、前シーズン接種歴のある小児で14.0%、接種歴のない小児で8.6%と有意差が認められた(p<0.001)。研究成果はThe Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年7月11日付で発表された。 本研究は、日本で2002~03年シーズンから2018~19年シーズンにかけて実施された17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究のデータを用いた解析である。

スタチン使用に伴う重篤な筋障害はまれ

 スタチンによる重篤な筋障害への懸念は過大視されている可能性があるようだ。英オックスフォード大学の研究グループが開発した新たなリスク予測モデルでスタチン治療の適応となる成人の重篤な筋障害リスクを推定したところ、98%超が低リスクであることが示された。この研究結果は、「The Lancet Digital Health」に6月25日掲載された。筆頭著者である同大学のTing Cai氏はニュースリリースで、「重篤な筋障害は、スタチンに関して最も広く懸念されている副作用の一つである。しかし今回の結果から、スタチン治療の効果を期待できる大多数の人では、そのリスクは極めて低いことが示唆された」と述べている。

健康的な脳の老化にはDHAが重要~EPAとの比較

 高齢者では脳萎縮が認知機能低下に先行することが多いため、脳構造の評価は神経保護の中間バイオマーカーとなる。近年、n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、脳の構造的完全性との関連が示唆されている。しかし、魚の摂取量が多く、n-3系PUFA濃度がかなり高い日本人のデータは少なく、また、脳構造との関連でDHAとエイコサペンタエン酸(EPA)を比較した研究はほとんどない。今回、滋賀医科大学NCD疫学研究センターの近藤 慶子氏らが、高齢日本人女性においてEPA、DHA、EPA+DHAの血清濃度と脳容積の関連を検討したところ、DHAはEPAよりも灰白質容積との関連が強く、EPAとの関連は限定的なことがわかった。Journal of Nutrition誌オンライン版2026年7月25日号に掲載。

肥満症治療薬単独では血管の健康改善効果は限定的

 GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬は、肥満治療を大きく変えつつある。しかし、血管の健康の維持には、運動が依然として決定的な役割を果たす可能性を示した研究が、6月24日付で「Nature Metabolism」に掲載された。論文の上席著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)生物医学分野教授のSigne Torekov氏は、「本研究は、薬物療法は体重維持を支える一方で、血管の健康を改善するのは、薬物療法の有無にかかわらず運動であることを示している」と述べている。  肥満と身体活動不足は、血管内皮機能の低下や動脈硬化と関連付けられている。

非糖尿病CKDへのフィネレノン、eGFR低下を有意に抑制/NEJM

 非糖尿病の慢性腎臓病(CKD)成人患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンはプラセボと比較して、32ヵ月間にわたる推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を抑制したことが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のHiddo J. L. Heerspink氏らFIND-CKD Investigatorsが、国際共同第III相二重盲検無作為化試験の結果を報告した。先行の無作為化試験において、フィネレノンは2型糖尿病およびCKDを有する患者における腎・心血管アウトカムを改善したが、糖尿病を伴わないCKD患者への効果は明らかになっていなかった。NEJM誌2026年8月6日号掲載の報告。

血液検査でアルツハイマー病がわかる世界へ(解説:岡村毅氏)

「将来、血液検査によってアルツハイマー病がわかるようになる」と、長い間言われ続けてきた。10年ほど前まで、アルツハイマー型認知症の診断は、CTやMRIなどの形態画像、SPECTなどの機能画像、脳脊髄液検査、心理検査、そして臨床的な面接などを組み合わせて行われてきた。脳脊髄液検査とは、腰から針を刺して髄液を採取する侵襲的な検査である。検査する側にとっても、される側にとっても、なかなか大変だったのだ。ところが、アルツハイマー病の神経病理が徐々に明らかになり、アミロイドPETなどの分子イメージングも臨床実装された。さらに現在では、認知症という臨床像だけではなく、アミロイドやタウといったバイオマーカーによってアルツハイマー「病」を捉える方向へと大きく動いている。

2型糖尿病に対するトリプルアゴニストretatrutideの効果(解説:小川大輔氏)

2型糖尿病の治療薬としてGLP-1受容体作動薬が登場し、その後GIP受容体に対する作用を併せ持つGIP/GLP-1受容体作動薬が使用されるようになった。そしてGIP受容体、GLP-1受容体に加え、グルカゴン受容体を同時に刺激するGIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬、いわゆる「トリプルアゴニスト」が開発されている。今回2型糖尿病に対するトリプルアゴニストretatrutideの第III相試験の結果が報告された1)。食事療法と運動療法で血糖コントロール不良(HbA1c 7.0~9.5%)の2型糖尿病患者を対象に、retatrutide群(4mg、9mg、12mg)とプラセボ群に無作為に割り付け、40週間投与した。

日本人Lp(a)の実態解明、2つのカットオフ値を提案(LEAP研究)

 日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)の心血管疾患(CVD)との関連を明らかにするために国内で実施されている多施設共同後ろ向き観察研究(LEAP研究)。2025年の第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会での発表時には、日本人におけるLp(a)濃度分布と冠動脈疾患(CAD)をはじめとする併存疾患の関連性について、具体的に示されていなかった。今回、本研究の筆頭著者である山田 知明氏(東京科学大学病院 医療情報部)らはそれらを明らかにし、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌2026年8月1日号で報告した。

PPI長期使用、即時中止vs.漸減中止

 長期投与中のプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、症状改善後も漫然と継続されることが少なくない。一方、中止後の症状再燃への懸念から、減量しながら中止すべきか、あるいは即時中止でも問題ないかについては十分なエビデンスがなかった。今回、多施設ランダム化比較試験により、臨床的に安定した胃食道逆流症(GERD)患者において、PPI(P-CABを含む)の即時中止と漸減中止の有効性を比較した結果、両群の中止成功率に有意差は認められなかった。順天堂大学消化器内科の北條 麻理子氏らによる本研究はJournal of Gastroenterology誌2026年8月号に掲載された。