内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

ほとんどのPPIが高血圧の発症と関連

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)と高血圧症の関連はまだ明確ではない。今回、名古屋大学のBasile Chretien氏らはこれらの関連やPPIのクラス効果、用量依存性があるかどうかを調査したところ、ランソプラゾール以外のPPIで高血圧症との関連が示唆され、用量反応傾向が認められた。BMJ Open誌2025年11月27日号に掲載。  著者らは、WHOの薬物監視データベースであるVigiBaseのリアルワールドデータを使用した。Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)V.26.1を用いて、1種類以上のPPI投与に関連する高血圧症の新規発症例を特定し、2024年10月28日までに系統的に収集した。多変量case/non-case研究デザインにおいて調整済み報告オッズ比(aROR)を算出し、PPI使用と高血圧症との医薬品安全性監視シグナル、およびPPI投与量と高血圧症の発症・悪化の用量依存性を分析した。

糖尿病を予防するにはランニングよりも筋トレの方が効果的?

 糖尿病の発症予防のために運動をするなら、ランニングよりもウエートリフティングの方が適しているのかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が、「Journal of Sport and Health Science」に10月30日掲載された。米バージニア工科大学運動医学研究センターのZhen Yan氏らが行った動物実験の結果であり、高脂肪食で飼育しながらランニングをさせたマウスよりもウエートリフティングをさせたマウスで、より好ましい影響が確認されたという。  論文の上席著者であるYan氏は、「私たちは誰でも長く健康な人生を送りたいと願っている。そして、運動を習慣的に続けることが、その願いの実現のためにメリットをもたらすことは誰もが知っている。ランニングなどの持久力をつける運動と、ウエートリフティングなどのレジスタンス運動(筋トレ)は、どちらもインスリン感受性を高めるというエビデンスが、ヒトを対象として行われた数多くの研究で示されてきている」と話す。

eGFRcysとeGFRcrの乖離は死亡・心血管イベントと関連/JAMA

 外来患者において、eGFRcys(シスタチンC値を用いて算出した推定糸球体濾過量)の値がeGFRcr(クレアチニン値を用いて算出した場合)の値より30%以上低い患者は、全死因死亡、心血管イベントおよび腎代替療法を要する腎不全の発現頻度が有意に高いことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichelle M. Estrella氏らChronic Kidney Disease Prognosis Consortium Investigators and Collaboratorsが、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium(CKD-PC)の患者データのメタ解析結果を報告した。eGFRの算出にクレアチニン値を用いた場合とシスタチンC値を用いた場合でeGFR値が異なる可能性があるが、これまでその差異の頻度および重要性は明らかになっていなかった。今回の解析では、外来患者の約11%および入院患者の約35%で、eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低い患者が認められることも示されている。JAMA誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。

夕食時間が蛋白尿に影響、時間帯や患者特性は?

 蛋白尿や微量アルブミン尿は、心血管疾患および全死亡リスク上昇との関連が報告されている。また、いくつかの研究で、夕食時間の遅さと蛋白尿との関連が報告されているが、患者特性などは明らかにされていない。そこで今回、りんくう総合医療センター腎臓内科の村津 淳氏らは、夕食時間の遅さが蛋白尿を来すことを明らかにし、とくに低BMIの男性で強く関連することを示唆した。本研究結果はFront Endocrinol誌2025年11月10日号に掲載された。  研究者らは、夕食時間の遅さと蛋白尿の出現との関連を評価するため、りんくう総合医療センターの健康診断データを用い、推定糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2以上で腎疾患の既往のない2,127人(男性1,028人、女性1,099人)を対象に横断研究を実施。週3日以上、就寝前2時間以内に夕食を取った参加者を夕食時間が遅い群と定義した。夕食時間による蛋白尿の影響は、臨床的関連因子(年齢、性別、喫煙歴、飲酒歴、既往歴など)を調整したロジスティック回帰モデルを用いて評価した。また、これまでに報告された横断研究では、蛋白尿の有病率はBMI(kg/m2)とJ字型関係を示していることから、今回、男女別でBMIと腹囲を各3群に区分。BMIは、男性では22.3未満、22.3~24.9、24.9以上に分け、女性では20.3未満、20.3~23.0、23.0以上と分けた。ウエスト周囲径(cm)は、男性は83.0未満、83.0~90.1、90.1以上、女性は75.0未満、75.0~83.5、83.5以上として評価した。

中年期の高感度トロポニンI高値が認知症と関連/Eur Heart J

 中年期の高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI)高値は、その後の認知症発症リスクの上昇、認知機能低下の加速、脳容積の減少と関連していたことが示された。本結果は、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのYuntao Chen氏らが実施した前向きコホート研究「Whitehall II研究」で示され、European Heart Journal誌オンライン版2025年11月6日号で報告された。  研究グループは、Whitehall II研究の参加者のうち、ベースライン時(1997~99年)に45~69歳で、認知症および心血管疾患の既往がなく、hs-cTnI値が得られた5,985例を対象として解析を行った。hs-cTnI値に基づき、参加者を4群(2.5ng/L未満[定量下限未満:参照群]、2.5~3.4ng/L、3.5~5.2ng/L、5.2ng/L超)に分類した。主要評価項目は認知症の発症とした。認知機能の推移および脳MRI画像指標(2012~16年のサブ解析:641例)についても評価した。また、認知症発症例と非発症例(年齢、性別、教育歴でマッチング)を1:4の割合でマッチングさせたコホート内症例対照研究により、認知症診断前のhs-cTnI値の長期的推移を検討した。

夜間の人工光が心臓の健康に悪影響を与える

 人工的な光による夜間の過剰な照明の悪影響、いわゆる“光害”が、心臓病のリスクを高めることを示すデータが報告された。米マサチューセッツ総合病院のShady Abohashem氏らの研究によるもので、米国心臓協会(AHA)年次学術集会(AHA Scientific Sessions 2025、11月7~10日、ニューオーリンズ)で発表された。  この研究の解析対象は、2005~2008年に同院でPET検査またはCT検査を受けた466人(年齢中央値55歳、男性43%)。光害のレベルは、人工衛星のデータに基づき各地の夜間の人工光の強さを割り出したデータベースと、研究参加者の居住地住所を照らし合わせて把握した。

現金給付による死亡率低下、そのメカニズムとは/Lancet

 米国・ペンシルベニア大学のAaron Richterman氏らは以前、現金給付プログラムが低・中所得国(LMIC)において、女性と幼児の死亡率を人口集団レベルで大幅に低下させることを報告している。同氏らの研究チームは今回、この死亡率の低下の背景にあるメカニズムの探索を目的に検討を行い、現金給付プログラムによって、妊産婦保健サービスの利用や子供の健康・栄養状態などに関連する12のアウトカムが大幅に改善されることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年11月10日号に掲載された。  本研究では、2段階差分の差分分析を用いて、アフリカ、中南米・カリブ海地域、東南アジアの37のLMICにおける人口動態・健康調査(DHS)の個人レベルのデータと、2000~19年の政府主導の現金給付プログラムの包括的なデータベースを統合し、プログラム導入前後で、プログラム実施国と非実施国を比較した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

1日1杯のコーヒーは心房細動を予防する?(解説:名郷直樹氏)

コーヒーは紅茶、日本茶と並び、日本でも最もよく飲まれているカフェイン含有飲料であるが、カフェインの依存性や不整脈に対して避けるべきものとして扱われてきた歴史がある。しかし、カフェインと不整脈の関係を検討した研究結果は必ずしも一致したものではなく、2023年にはカフェインと上室性期外収縮に必ずしも関連が認められなかったというランダム化比較試験も発表されている。このように関連が不確実な状況を踏まえて行われたのが、今回のコーヒーと心房細動の再発の関連をみたランダム化比較試験である。電気的除細動術予定で日頃コーヒーを飲んでいる患者を対象とし、1日1杯以上のコーヒーを飲むグループと、コーヒーを6ヵ月間禁止するグループを比較して、心房細動と心房粗動の発生を1次アウトカムとした、プラセボを使わず、アウトカムの評価をマスキングしたProspective Randomized Open Blinded Endpoint Study:PROBE Studyである。

気象関連疼痛に期待される食事性フラボノイドの有用性

 悪天候や気象変動は健康に悪影響を及ぼし、気象関連疼痛と呼ばれる症状を引き起こす可能性がある。症状の緩和には、鎮痛薬などによる薬物療法が一般的に用いられているが、副作用を引き起こす可能性がある。そのため、非薬物療法や食事療法への関心が高まっている。大塚製薬の池田 泰隆氏らは、気象関連疼痛に対する食事性フラボノイドであるケンフェロールの有効性を評価するため、オープンラベルパイロット研究を実施した。International Journal of Biometeorology誌2025年10月号の報告。

血圧コントロールに地域差、降圧目標達成が高い/低い都道府県は?/東北医科薬科大ほか

 日本における降圧治療開始後の血圧コントロール状況には、地域間で格差が存在し、降圧目標達成割合は医師の偏在や脳血管疾患死亡と関連していることが、岩部 悠太郎氏(東北医科薬科大学)らによる大規模なリアルワールドデータ解析で示された。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、年齢にかかわらず降圧目標を「130/80mmHg未満(診察室血圧)」としているが、本研究では治療開始後にこの目標を達成できた患者は26.7%にとどまった。本研究結果は、Hypertension Research誌オンライン版2025年11月18日号で報告された。