脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

広範囲脳梗塞の血栓除去術、虚血コアの大きさ等で有効性は異なるか?/JAMA

 広範囲脳梗塞患者の治療において、内科的治療のみと比較して血管内血栓除去術の併用は、幅広い虚血コア体積およびペナンブラプロファイルにわたって機能的アウトカムを改善することが示された。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、非盲検無作為化第III相試験「SELECT2試験」の探索的解析の結果を報告した。急性脳梗塞で大きな虚血コアを有する患者に対する血管内血栓除去術の有効性が、虚血傷害の程度によって異なるかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。

キノコと認知症リスク~日本での研究

 キノコは、食物繊維やいくつかの抗酸化物質が豊富な食材である。このようなキノコの食事摂取が認知症リスクの低下と関連しているかは、不明である。筑波大学の青木 鐘子氏らは、キノコ摂取と認知機能障害リスクとの関連を調査した。その結果、日本人女性において、キノコの食事摂取が認知機能障害リスクの低下と関連していることが示唆された。The British Journal of Nutrition誌オンライン版2024年1月19日号の報告。  1985~99年に毎年実施されていた心血管リスク調査に参加した3つの地域に在住する40~64歳の地域住民3,750人を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。認知症による障害が認められた事例を、1999~2020年に調査した。脳卒中の既往歴の有無にかかわらず、キノコの摂取量に応じた認知症発症数のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

日本における頭痛に対する処方パターンと特徴

 長野県・諏訪赤十字病院の勝木 将人氏らは、メディカルビッグデータであるREZULTを用いて、日本の成人頭痛患者(17歳以上)に対する処方パターンの調査を行った。Cephalalgia誌2024年1月号の報告。  Study1では、2020年に頭痛と診断された患者における急性期治療薬の過剰処方の割合を横断的に調査した。過剰処方は、トリプタンとNSAIDs(30錠/90日以上)、NSAIDs単剤(45錠/90日以上)と定義した。Study2では、最初の頭痛診断から2年超の処方パターンを縦断的に調査した。処方薬剤数は、90日ごとにカウントした。

枕が高いと脳卒中に?/国立循環器病研究センター

 脳卒中は高齢者で多いが、若年~中年者でも特殊な原因で起こることがある。その原因の1つである特発性椎骨動脈解離の発症と枕の高さの関連を、国立循環器病研究センターの江頭 柊平氏らが症例対照研究で検討したところ、枕が高いほど特発性椎骨動脈解離の発症割合が高く、また枕が硬いほど関連が顕著であることが示された。著者らは殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)という新たな疾患概念を提唱している。European Stroke Journal誌オンライン版2024年1月29日号に掲載。

アルツハイマー病治療薬aducanumabの開発・販売を終了/バイオジェン

 米国・バイオジェンは2024年1月31日付のプレスリリースにて、同社とエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬aducanumabの開発および販売を終了することを発表した。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月8日に迅速承認を受けていた。迅速承認の条件として第IV相市販後検証試験であるENVISION試験を実施していたが、本試験を終了する。

脳卒中による認知症を防ぐために!治療可能なリスク因子は

 脳卒中後の認知機能障害および認知症の確立したリスク因子として、高齢や重度の脳卒中が報告されているほか、心房細動や糖尿病の既往歴なども示唆されている。今回、治療可能なリスク因子に焦点を当て、それらの関連の強さを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのJule Filler氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。Lancet Healthy Longevity誌2024年1月号掲載の報告。  脳卒中後の認知機能障害は脳卒中後4年の時点で最大80%に、脳卒中後の認知症は脳卒中後1年の時点で最大40%に認められ、患者・介護者・医療制度に大きな負担をもたらしている。研究グループは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、年齢や脳卒中の重症度以外のリスク因子、とくに治療可能なリスク因子に焦点を当てて評価を行った。

早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性

 空間ナビゲーションは、アルツハイマー病において早期に影響を受ける海馬-嗅内皮質回路機能の重要な基盤となっている。アルツハイマー病の病態生理は、睡眠/覚醒サイクルと動的に相互作用し海馬の記憶を損なうというエビデンスの報告が増えている。ドイツ・University Hospital of Schleswig HolsteinのAnnika Hanert氏らは、早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性との関連を評価した。Neurobiology of Disease誌2024年1月号の報告。  症候性アルツハイマー病コホート(12例、平均年齢:71.25±2.16歳)における睡眠依存性の影響を解明するため、夜間睡眠の前後における、仮想現実タスクによる海馬の場所記憶および単語ペア連想タスクによる言語記憶を評価した。

早期アルツハイマー病における多剤併用と身体能力との関係

 トルコ・University of Health SciencesのAysegul Akkan Suzan氏らは、早期アルツハイマー病患者の歩行を評価するために用いられる特定の身体能力測定と、多剤併用との関連を評価する目的で本研究を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2023年12月11日号の報告。  3次医療センターの認知症外来クリニックで横断的研究を実施した。1日当たり5剤以上の薬物治療を多剤併用の定義とし、対象患者から中等度~重度の認知症患者は除外した。身体的パフォーマンスステータスの評価には、通常歩行速度(UGS)、Timed Up & Go(TUG)テスト、椅子立ち上がりテスト(CSST)を用いた。

日本人高齢者における抗コリン薬使用と認知症リスク~LIFE研究

 抗コリン薬が認知機能障害を引き起こすことを調査した研究は、いくつか報告されている。しかし、日本の超高齢社会において、認知症リスクと抗コリン薬の関連は十分に研究されていない。大阪大学のYuki Okita氏らは、日本の高齢者における抗コリン薬と認知症リスクとの関連を評価するため本研究を実施した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2023年12月号の報告。  2014~20年の日本のレセプトデータを含むLIFE研究(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)のデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。対象は、認知症患者6万6,478例および、年齢、性別、市区町村、コホート登録年がマッチした65歳以上の対照群32万8,919例。1次曝露は、コホート登録日からイベント発生日またはそれに一致したインデックス日までに処方された抗コリン薬の累計用量(患者ごとの標準化された1日当たりの抗コリン薬総投与量)であり、各処方の抗コリン薬各種の総用量を加算し、WHOが定義した1日の用量値で除算して割り出した。抗コリン薬の累計曝露に関連する認知症のオッズ比(OR)の算出には、交絡変数で調整した条件付きロジスティック回帰を用いた。

レボチロキシンの静注投与は不安定な脳死患者の心臓提供率を向上させるか?(解説:小野稔氏)

脳死による脳圧亢進が起こると、カテコラミンをはじめとしたさまざまなメディエータが放出されることが知られている。脳死後によく遭遇する不安定な血行動態や心機能の障害に甲状腺ホルモンを主体とした神経内分泌障害が寄与しているという理論があり、それを予防あるいは改善する目的で欧米では古くから経験的に脳死ドナーの前処置として甲状腺ホルモンが投与されてきた。補充療法の妥当性についてはいくつかの大規模な観察研究が行われ、有効性が示唆されてきた。しかし、無作為化試験は少数例を対象にドナーの血行動態を評価するに限られ、臓器利用率の向上を評価するには不十分であった。