ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは8日、洛和会音羽病院正常圧水頭症センター所長 石川正恒氏と共同で『特発性正常圧水頭症(iNPH)』(以下、iNPH)診療における介護保険の削減額を試算したところ、対象患者100名の介護保険の利用額が支給限度額であった場合、削減額は1億4,762万円となり、有病率で試算すると5年間で約4,576億円削減の可能性を見込めることがわかったと報告した。
iNPHは、頭蓋内に過剰に髄液がたまり、脳が圧迫を受けて歩行障害・認知症・尿失禁など様々な症状が出る病気だが、手術で改善する疾患として近年注目を浴びている。また、高齢者認知症の5%~10%がiNPHに関与し、少なくとも31万人が罹患の可能性があるとされている(同社、2009年8 月の「iNPH有病率に関する分析調査」による)。同社では、iNPH疾患の早期診断と治療が、患者や介護者の方々のQOL(Quality of Life)と負担軽減になるばかりでなく、経済的にも大きく寄与すると考え、今回の調査を実施したという。
今回の調査は、前方視的多施設共同研究(SINPHONI:Study of Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus On Neurological Improvement)の対象患者100名について、治療による介護度の改善によって5年間で介護保険費用をいくら削減することが可能かを試算したもの。iNPH診療後のモディファイド・ランキン・スケール(mRS)と要介護度区分を相関させ、iNPH診療における改善度による介護保険削減額を算出した結果、対象患者が介護保険支給限度額を利用した場合に治療費用を含めても5年間でおよそ4,576億2,200万円の削減が可能と推測することができたとのこと。また、介護保険の認定率が16%、受給率が82.3%、利用率が48%として、現時点で実質約300億円規模の介護保険の削減が可能であると予測するという。
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