糖尿病は、膵臓がん(PaC)のリスク因子とされているが、最近では、糖尿病自体がPaCの初期兆候として考えられている。今回、東京大学の水野氏らの研究で、糖尿病発症年齢に応じたPaCのリスク因子が明らかになり、PaCの初期兆候とこれらリスク因子を組み合わせることが、PaCのスクリーニングに有用である可能性が示された。(J Gastroenterol 誌オンライン版2012年6月28日付)
対象は、PaCと診断された40例の糖尿病患者と、悪性腫瘍のない120例の糖尿病患者。糖尿病の発症年齢に応じて、PaCの初期兆候とリスク因子について分析した。
主な結果は以下のとおり。
・対象者の糖尿病発症年齢ピークは、40~45歳と60~65歳であった。そこで、糖尿病発症年齢別に早期発症型(<55歳)と晩期発症型(≥55歳)とに分類し、検討した。
・糖尿病新規発症から2年以内にPaCと診断された患者は、早期発症型の0%、および晩期発症型の33%にみられた。
・早期発症型でPaCと診断された患者の平均糖尿病罹病期間は、晩期発症型よりも長かった(26年 vs 9年、p <0.01 )
・早期発症型における有意なリスク因子は糖尿病の家族歴(オッズ比[OR]:3.60)とインスリン使用(OR:3.52)、晩期発症型では、糖尿病発症年齢(OR :1.12)と家族内での複数名の糖尿病発症
(OR:6.13)であった。
・PaCと診断される12ヵ月前には、体重減少と糖尿病の増悪が両群でみられた。
(ケアネット 佐藤 寿美)
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