早期経腸栄養は、感染性合併症や入院日数を減らし、肝機能を維持するメリットがあるが、胃全摘術後の早期経腸栄養の効果に関するデータはほとんどない。
今回、胃がん患者の胃全摘術後の早期経腸栄養の効果について完全静脈栄養と比較した無作為化前向き研究の結果が、The Korean Journal of Gastroenterology誌2012年6月25日号に掲載された。Kim氏らの報告。
本試験では、胃がん患者56例を早期経腸栄養群36例と完全静脈栄養群20例に無作為に割り付け、最終的に17例と16例がそれぞれ早期経腸栄養と完全静脈栄養のスケジュールを完了した。術前日と胃全摘術後7日目に栄養状態、肝機能、入院日数、腹部症状を比較した。
試験の結果、これらの調査項目において早期経腸栄養群と完全静脈栄養群の間に有意な差は認められなかった。
主な結果は以下のとおり。
・栄養状態、肝機能は、両群で有意差は認められなかった。
・嘔吐と腹部膨満は、早期経腸栄養群のほうが完全静脈栄養群より多く認められた(2例vs0例;p=0.485、1例vs0例;p=1.000)
・AST・ALT増加、総ビリルビン増加は、完全静脈栄養群のほうが早期経腸栄養群より多く認められた(4例vs2例;p=0.398、1例vs0例;p=0.485、どちらも有意差なし)。
・入院日数は、早期経腸栄養のほうが完全静脈栄養群より短かった(12日vs13日;p=0.289、有意差なし)。
(ケアネット 金沢 浩子)