富山大学の樋口氏らによって、幼児の異物誤嚥(FBA)に関する知識の評価と、知識不足の要因を明らかにする検討が行われた。
FBAの知識に関する8項目のアンケートを作成し、月齢24ヵ月未満の乳児を対象とした定期健診で配布された。1,766件のアンケートが配布され、1,603件が回収された。そのうちの大多数(1,539件)は母親が回答した。不完全であった49件を除き、母親によって回答された1,490件が解析された。
その結果、相当数の母親がFBAの知識に乏しかった。また、FBAのリスク因子であった月齢12ヵ月未満の子の両親(とくに母親)、および月齢12ヵ月以上であっても最初の子だけの母親に対しては、FBAを防止し、迅速に診断するために、十分な情報が必要と結論付けた。
主な結果は以下のとおり。
・小さな玩具がFBAの原因となることを知らなかった母親は4.3%(95%CI:3.3~5.3)であった一方で、20.2%(95%CI:18.2~22.2)がピーナッツや他のナッツ類がFBAの原因となることを知らなかった。
・また、48.1%(95%CI:45.5~50.6)は3歳未満の小児にはピーナッツを与えるべきでないということを知らなかった。
・FBAの症状について、突然の窒息、突然の咳が該当することを知らない母親がそれぞれ27.7%(95%CI:25.4~30.0)、41.8%(95%CI:39.3~44.3)存在した。
・母親の年齢にかかわらず、月齢12ヵ月未満の子の母親、および月齢12ヵ月以上であっても最初の子だけの母親であることは、FBAに関する知識不足の独立したリスク因子であった。
(ケアネット 森 幸子)