長期にオピオイド療法を受けている慢性腰痛患者のうち、高用量オピオイドの処方を受けている患者は8.6%であり、慢性腰痛患者全体では2.9%にあたることが明らかにされた。米国・オレゴン健康科学大学のAmy M Kobus氏らがプライマリ・ケアでの腰痛患者の高用量オピオイド使用について調査した結果で、それら患者は、メンタルヘルスの問題や複数の内科疾患を有している割合も高く、潜在的に安全性が懸念される催眠・鎮静薬の複数処方を受けていることも確認されたと報告した。これまで、非がん性疼痛に対する高用量オピオイド療法の関連因子はほとんど明らかになっていなかった。Journal of Pain誌11月号の掲載報告。
研究グループは、腰痛患者における高用量オピオイド使用の出現率を、人口統計学的、臨床的および医療サービス利用と関連づけて調べた。
高用量オピオイド(モルヒネ相当量≧100mg/日と定義)を90日以上連続で使用している患者を、低用量オピオイド使用群(1~99mg/日)および非オピオイド使用群と比較した。
主な結果は以下のとおり。
・高用量オピオイド使用群は453例、低用量群は4,815例、非使用群は1万184例であった(全対象総計1万5,452例)。
・高用量オピオイド使用患者は全対象患者の2.9%であり、オピオイド使用患者のうち8.6%が高用量・長期使用患者であった。
・高用量オピオイド群の使用量中央値は、180.0mg/日であった。
・非使用群と比較して高用量群の健康状態は、より不良であることが報告されていた。
・あらゆる群間比較において、高用量群はメンタルヘルスや依存症を有し催眠・鎮静薬を同時使用している割合が高く(60.5%、274例)、医療サービスの利用も高かった。
・共変量選択法による補正後、高用量オピオイド処方尤度が高かったのは、男性[オッズ比(OR):1.68、95%CI:1.37~2.06]、併存疾患が多い、メディケア被保険者(同:1.65、1.22~2.23)、メンタルヘルスあるいは依存症がある(同:1.58、1.28~1.95)、催眠・鎮静薬の同時処方を受けている(同:1.75、1.42~2.16)、そして救急外来や専門ペインクリニック外来の受診がより多い人であった。
(ケアネット)